高校の赤点は留年になる?進級の基準と学年末までにすること

高校の赤点は留年になる?進級の基準と学年末までにすること 勉強法

執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。

定期テストの答案が返ってきて、右上の点数が赤いペンで囲まれていた——。この記事は、いまそういう場面にいる高校生に向けて書いています(保護者向けの章も1つ置きました)。

先に結論です。赤点を1回取ったことが、そのまま留年に直結するわけではありません。 進級が決まるのは学年の終わりで、それまでに取り返す機会が用意されていることもあります。

この記事で答えるのは、①赤点はどう決まるのか ②留年が決まる条件は何か ③学年末までに何をすればいいかの3つです。いまの学校で進級することを前提に書きます。

ひとつだけ先に。赤い数字だけを見て動くと、確かめるべきことを1つ飛ばしてしまいます。 そして、留年が決まる条件には、実は2つの物差しがあります。

まず結論(一問一答)

Q. 赤点を1回取ったら、留年しますか?
A. 1回の赤点だけで、留年が決まるわけではありません。 進級の判定は学年の終わりに、1年分の成績と出席をもとに行われます。

Q. 留年の基準は、全国どこでも同じですか?
A. 同じではありません。 法令が決めているのは大きな枠組みだけで、「何点」「何時間休んだら」という線は、学校ごとの決まり(内規)で定められています。

Q. いま、いちばん先にやることは何ですか?
A. 自分の学校の基準を、担任の先生に確かめることです。 聞き方は、後半で5つの質問文にしてあります。

——ただ、進級を決める「成績」と「出席」の2つには、それぞれ見落としやすい落とし穴があります。

「赤点」とは何か――単位認定の基準に届かなかった点数

赤点は、定期テストなどの点数が、学校の決めた基準に届かなかったときの呼び名です。 法令や学習指導要領の用語ではなく、基準に届かない点を赤い字で書いたことからそう呼ばれるようになった、といわれます。

赤点が気になるのは、その先に単位があるからです。高校では、科目ごとに単位が認められて、はじめてその科目を修めたことになります。赤点の線は、その単位を認めるかどうかに関わる目安です。

よく混ざる4つの言葉を分けておきます。

  • 赤点:テスト1回分の点数についての呼び名
  • 評定:学期や学年の終わりに付く5段階の成績。提出物や授業での取り組みなども材料になる
  • 単位の認定:その科目を修めたと、学校が認めること
  • 進級:その学年の課程の修了が認められ、次の学年に上がること

赤点は、このうちいちばん手前の1つです。赤点が評定を下げることはありますが、赤点1回で評定がいくつになるかは、学校の成績の付け方によります。「赤点」から「留年」までは、一足飛びにはつながりません。

高校で赤点を取ったときに進級が決まるまでの4段階の流れ図。赤点→追試・補習・課題→単位の認定→進級判定の順に並び、各段階で学校によって違う点(基準の決め方、救済措置の有無と方法と時期、出席時数の数え方、何が重なると留年になるかの内規)を注記した図

図のとおり、どの段階にも、学校によって違う点があります。 では、いちばん手前の「学校の決めた基準」は、どこで確かめられるのでしょうか。

赤点は何点から?――学校ごとに違う2つの決め方

「赤点は何点から」という全国共通の点数はありません。 決め方には、大きく2つの型があります。

① 点数で線を引く型:「◯点未満は赤点」と、点数そのもので決めます。わかりやすい反面、テストが難しい回には、線を下回る生徒が増えることがあります。

② 平均点をもとに線を引く型:「平均点の◯割に届かなければ赤点」のように、その回の平均点をもとに決めます。同じ点数でも、回によって赤点になったりならなかったりします。

2つを組み合わせる学校もあります。同じ点数でも、学校が違えば扱いが違うので、友達の学校の話やネットで見かけた数字は当てはまりません。

確かめる場所は3つです。

  1. 生徒手帳:学校のきまりが載っていることがあります
  2. 学校のきまり(成績や単位の認定についての規程):入学時の資料などに載っていることがあります
  3. 担任の先生:早く、正確に答えてもらえる確認先です

点数型か平均点型かが分かるだけで、次のテストの目標の立て方が決まります。

ただ、基準がわかっても、赤点=留年ではありません。赤点のあとには、取り返す機会が続くことがあります。

赤点のあとに起きること――追試・補習・課題という救済措置

学校によっては、赤点を取った生徒に取り返す機会を用意しています。代表的なのは3つです。

  • 追試:同じ範囲で、もう一度テストを受ける
  • 補習:授業の外で、つまずいたところを学び直す
  • 課題:プリントやレポートなどを提出する

どれを行うか、何回あるか、いつ行うかは、学校ごとに違います。

ここに、成績の側の落とし穴があります。追試や補習は、受ければそれで単位が認められる、というものではありません。 追試にも合格の線がある場合がありますし、追試の点を成績にどう反映するかも学校で違います。「追試があるから大丈夫」と準備を後回しにすると、せっかくの機会が、ただ受けるだけで終わります。

対象になったら、「いつ」「何を」「どこまでやれば取り返したことになるのか」を先生に確かめてください。そのうえで追試までにやることは、赤点の答案を捨てずに、間違えた問題がどの単元でつまずいたものかを確かめることです。同じ範囲で受け直すなら、落とした問題の元をたどるのが近道です。

では、この機会を活かせなかったとき、何が重なって留年が決まるのでしょうか。

留年が決まる条件――単位の修得と、出席(欠席の時数)

学校教育法施行規則は、各学年の課程の修了や卒業を認めるにあたって生徒の平素の成績を評価して定めること(第57条第1項)と、全課程を修了したと認めた者に校長が卒業証書を授与すること(第58条)を定め、どちらも第104条で高等学校に準用しています。全課程の修了を認めるにあたって74単位以上を修得した者について行うこと(第96条第1項)も定めています。一方で、「何点で」「何時間休んだら」認めないという具体的な線は、法令には書かれていません。 この線は学校ごとの内規で決まるため、同じ点数・同じ欠席でも、学校によって扱いが違います。 そして線に近づいていても、取れる手段はあります。 補習や課題を用意している学校もありますし、担任の先生に相談して、何をすれば取り返せるのかを聞くことは、どの学校でもできます。

内規で見られるのは、主に2つの物差しです。

① 成績(単位の修得):科目ごとに、赤点や追試の結果、評定などをもとに単位が認められたかどうか。認められない科目がいくつあると進級できないのかも、学校ごとに決まっています。

② 出席(欠席の時数):ここが出席の側の落とし穴です。出席は、学校全体の欠席日数だけでなく、科目ごとの授業の時数で見られることがあります。出席すべき時数のうち一定の割合を超えて欠席すると、その科目の単位を認めない、という決まりを持つ学校があります。全体の欠席は少なくても、特定の曜日や時間帯に休みや遅刻が重なると、その科目だけ時数が足りなくなることがあります。

リードで「確かめるべきことを1つ飛ばしてしまう」と書いたのは、この出席のことです。点数ばかり気にしていると、科目ごとの時数を確かめ忘れます。

留年が決まるのは、主にこの2つのどちらか、あるいは両方が学校の線に届かなかったときです。

——ここまでが「仕組み」の話です。ここから先は、「いま、何をするか」です。

学年末までに親がすること――今月・学期末・学年末の3段階

ここからは、お子さんの赤点を知って、まず何をすればいいか迷っているお母さん・お父さんへ向けて書きます。

この節だけは強くお伝えします。進級の判定は、1年分の成績と出席をもとに出ます。残りの定期テストの回数も授業の時数も、月が進むごとに減っていきます。 動くのが1か月遅れれば、取り返す材料が1か月分減るということです。しかも高校では、待っていても、学校から詳しく知らせてもらえるとは限りません。聞きに行くのは、保護者の側です。 だから、最初の一歩は「今月」です。

今月:担任の先生に確かめ、本人とは点数以外の話をする

① 担任の先生に、基準と今の状況を確かめる。 聞くことは次の章の5つの質問にまとめてあります。

② 本人とは、点数以外の話をする。 点数を責められた本人は、次から答案を見せなくなります。声をかけるなら、たとえばこうです。

「点数のことは置いておいて、最近授業でどのあたりが分かりにくいか教えてくれる?」

聞きたいのは、どの単元から分からなくなったかです。

③ 次の定期テストまでの使い方を、本人と決める。 範囲を確かめる週、ワークを1周する週、間違えた問題に絞る週と役割を変えていく考え方は、定期テストまでの4週間を、週ごとの役割で分ける考え方(中学生向けの記事)にまとめています。考え方は高校の定期テストでも同じです。

学期末:出席と、追試・補習の対象かどうかを確かめる

① 出席の時数を、科目ごとに確かめる。 前の章の「出席の側の落とし穴」です。学期の区切りで一度、確かめてください。

② 追試・補習・課題の対象かどうかを確かめる。 本人任せにすると、期限や日程を取り違えることがあります。

③ 評定を、科目ごとに見る。 学校の線に近い科目が1つなのか、複数なのかで、学年末までの動き方が変わります。

学年末:進級判定の時期と方法を確かめ、来年度の立て直しを考え始める

① 進級判定がいつ、どう知らされるかを確かめる。 学年最後の定期テストは判定の前に残る大きな機会なので、日程と範囲を早めに押さえておきます。

② 来年度に向けた立て直しを考え始める。 進級できるかどうかと、来年度の授業についていけるかどうかは別の問題です。判定を待たずに、どの単元から戻るかを決めておくと、新学期の最初でつまずきにくくなります。

(高校生本人が読んでいる場合は、この3段階を「自分が確かめること」と読み替えて使えます。)

今月・学期末・学年末ですることがわかったら、次は担任の先生に、実際にどう聞くかです。

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担任面談で確認する5つの質問

面談は、三者面談の時期を待たずに、今月のうちにお願いしてかまいません。保護者が聞く形で書いてありますが、生徒本人が聞くときは「うちの子の」を外してください。言い回しは、学校に合わせて変えてかまいません。

高校の赤点・留年が心配なときに、担任の先生との面談で確認しておきたい5つの質問を一覧にしたチェックシート。赤点の基準の決め方、追試や補習の対象と時期、科目ごとの出席の時数、進級の判定に影響しそうな科目、家庭でできること、の5問を並べた図

  1. うちの子の赤点の基準は、点数ですか、平均点をもとにしていますか。
  2. 追試や補習の対象になっていますか。時期はいつ頃になりますか。
  3. 出席の時数は、科目ごとに見て、学年末まで足りていますか。
  4. いま、進級の判定に影響しそうな科目はありますか。
  5. 家庭でできることはありますか。

答えはその場でメモし、数字や日付で答えてもらえたものは控えておくと、学期末・学年末に確かめ直すときの基準になります。

——もう1つ。赤点を繰り返す子には、指導現場で見えてくる共通点があります。

赤点が続く子に共通すること――科目・時期・提出物

全国家庭教師協会の指導現場では、赤点が続く生徒に、似た傾向が見られることがあります(指導現場での傾向であり、すべての生徒に当てはまるものではありません)。

① 科目:前の単元に、分からないまま来たところがある。 数学や英語のように前の内容を使って進む科目では、赤点の原因がいま習っている単元より前にあることがよくあります。範囲だけを勉強しても点が伸びないときは、ここを疑います。

② 時期:テスト範囲が発表されてから動き始める。 発表後の短い期間では、ワークを1周しきれないことがあります。

③ 提出物:課題の遅れが重なっている。 提出物は評定の材料になることがあり、テストの点が線に近い科目ほど響きやすくなります。

勉強そのものから離れている様子があるなら、勉強しない高校生の、学年ごとに次に動く数字で、いまの学年で何を優先するかを先に整理しておくと動きやすくなります。

——もう一つ、見落とされがちなのが、赤点が大学受験にどう響くかです。

評定平均と推薦への影響

赤点が評定を下げることがあり、それが評定平均に響きます。 評定平均は高校で付いた評定を平均した数字で、大学の学校推薦型選抜(指定校推薦など)では、出願の条件として使われることがあります。評定平均には高1の評定も入るため、高1で下がった評定も、あとから計算に加わります。 どの大学がどの値を条件にしているかは大学ごとに違うので、高校の進路指導の先生や、大学の募集要項で確かめてください。

評定平均の計算方法と、目標から逆算する方法は、別の記事(評定平均の出し方と「あと何点」の逆算)にまとめています。

よくある質問(FAQ)

赤点は何点から取ったことになりますか?

全国共通の基準はありません。 点数で線を引くか、平均点をもとに線を引くかなど、決め方は学校ごとです。生徒手帳や学校のきまりを見るか、担任の先生に確かめてください。

赤点を何回取ったら留年になりますか?

「◯回で留年」という全国共通の回数はありません。 留年は赤点の回数そのものではなく、単位の修得と出席(時数)の2つをもとに、学校ごとの内規で判定されます。

出席日数は、どのくらいまでなら大丈夫ですか?

全国共通の日数の基準はありません。 注意したいのは、学校全体の日数だけでなく、科目ごとの時数で見られることがある点です。科目ごとに、担任の先生に確かめてください。

追試に落ちたらどうなりますか?

学校によって対応が違い、一律の答えはありません。 再度の追試や課題で対応する学校もあれば、そこで単位の判断に進む学校もあります。「次に何があるのか」「いつまでに何をすればいいのか」を、担任の先生にすぐ確かめてください。

学校から、通信制高校への転校を選択肢として示されました。今すぐ決めるべきですか?

その場で決めなくてかまいません。 まず、いまの学校で進級の可能性がどれくらい残っているのか——何が足りていて、何をすれば取り返せるのか——を担任の先生に確かめてください。いつまでに決める必要があるのかという期限も聞き、選択肢を比べる時間を取ってから判断してかまいません。

そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。

まとめ|赤点と留年の基準は学校ごと。最初の一歩は今月のうちに

  • 赤点1回で、留年が決まるわけではありません。 進級は学年の終わりに判定されます
  • 赤点の点数も留年の線も、学校ごとの内規で決まります
  • 赤点のあとには、追試・補習・課題の機会が用意されていることがあります。 ただし、受ければ済むものではありません
  • 留年を決める物差しは「成績」と「出席」の2つ。 出席は科目ごとの時数で見られることがあります
  • 学年末までにすることは、今月・学期末・学年末の3段階です

今月のうちにできることは、1つです。担任の先生に、5つの質問を持って話を聞きに行ってください。 基準が分かれば、次のテストの目標が決まります。

学年末に向けて、家庭でできることを一緒に整理しませんか

赤点や留年の基準は、学校によって違います。担任の先生への確認と並行して、ご家庭での学習の立て直しを考えたいときは、無料体験でご相談いただけます。1対1の家庭教師なら、赤点の答案を一緒に見ながら、どの単元から戻るかを本人と決めていくことができます。

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