執筆・監修:佐伯 悠介先生(学習コーチ/指導歴8年)
勉強の前に「机に向かえる仕組み」から。つまずいた子の伴走が専門。
「範囲が広すぎて、どこから手をつけていいか分からない」——定期テスト前になると、そうつぶやく高校生がいます。教科書とノートを何冊も広げたまま、どこから手をつけるかを決められずに時間だけが過ぎていく、という声も聞きます。部活と両立しながら、定期テストの順位が下がってきたわが子の後ろ姿を見ている保護者もいます。
中学までのやり方をそのまま続けると、高校では思ったように点数に結びつかないことがあります。理由は、本人のやる気の問題である前に、授業の進み方そのものが、中学と変わるからです。中学と同じ感覚のまま高校に上がると、気づかないうちに前提がずれていきます。
まずはその仕組みを知ったうえで、1週間の置き方から、定期テスト前に厚くする科目・薄くする科目の決め方、そして日々の回し方が評定にどうつながるかまで、順番に見ていきます。
なお、すでに授業についていけないと感じているなら『高校の勉強についていけない』の記事のほうが、机に向かうこと自体が難しいなら『高校生が勉強しない』の記事のほうが、先に役立ちます(どちらも、この記事の後半でご案内します)。この記事は、まだ大きくつまずいていない方向けの、標準的な回し方です。
まず結論(一問一答)
Q. 高校生の勉強法は、中学と何が違いますか?
A. 授業の進め方・科目の数・評価の材料の3つが変わります。 予習を前提に授業が進み、選択科目で科目数が増え、提出物や授業への取り組みも評価の材料に含まれるようになります。中学までのやり方をそのまま続けると、この3つの変化に合わなくなっていきます。1つずつの変化は小さく見えても、積み重なると、勉強の回し方そのものを見直す必要が出てきます。
Q. 何から変えればいいですか?
A. まず1週間の中に「置く日」を決めること。そして、定期テスト前は全教科を同じ厚さで回さないことです。時間を増やす前に、この2つを先に決めます。やることを増やすより、決めることを先に済ませるほうが、結果として続けやすくなります。
では、中学のやり方がなぜ高校では通用しにくくなるのか、次で確認します。
中学のやり方が通用しにくくなる3つの変化——授業の進め方・科目の数・評価の材料
中学生のときと同じやり方をそのまま続けていると、うまくいかないことがあります。原因は気持ちの問題ではなく、学校の仕組みそのものが変わっているからです。変わることは3つあります。1つずつ、順番に見ていきます。
①授業の進め方——予習を前提に進み、演習は家に回る
高校の授業は、教科書を予習してきたことを前提に進むことが増えます。中学では授業のなかで問題を解く時間が多く取られていましたが、高校では、授業のなかで演習にあてる時間は短くなり、問題を解く時間は家庭に回ってきます。授業のある日に、短い復習を置くと、次の授業についていきやすくなります。逆に、復習を置かないままにしておくと、分からないところが積み重なっていきます。
②科目の数と分かれ方——選択科目で科目数が増える
高校では、必修科目に加えて選択科目が加わり、教科が細分化されていきます。中学までは主要教科を中心に回せていた勉強が、高校では科目の種類そのものが増えます。全教科を同じ密度で回そうとすると、たいてい時間が足りなくなります。だから、全教科を同じ厚さで回さないという考え方が、高校では必要になります。
③評価の材料——提出物・授業への取り組みを含む
高校の評定は、定期テストの点だけでなく、提出物や授業への取り組みも含めて、観点別に付けられるのが一般的です。テスト前だけ頑張っても、日常で出すものを落としていると、評定には届きにくくなります。逆に言えば、テストの点数だけが評定のすべてではありません。

3つとも、「中学までのやり方が通用しにくくなる理由」であって、量が増えた・減ったという単純な話ではありません。中学までとは前提が変わった、というだけです。ここからは、変えたほうがいいやり方を順番に見ていきます。
1週間の回し方——授業のある日に復習、週末に演習、と「置く日」を決める
1週間の回し方は、難しく考える必要はありません。ポイントは、「置く日」を先に決めておくことです。時間割やスケジュールを細かく作り込むより、まずは「いつ開くか」だけを決めておくほうが、結果として続きやすくなります。
授業のある日は、その日に習った範囲を、短時間だけ振り返ります。ノートを読み返す、問題集の該当ページを1〜2問だけ解く、という程度で十分です。時間の長さを決めるより、「授業のある日は毎回開く」という日を決めておくほうが続きます。細部まで完璧にする必要はなく、開くこと自体を習慣にする、というくらいの気持ちで十分です。
週末は、平日に置ききれなかった演習に回す日にします。授業で配られたプリントや問題集のうち、平日に手が回らなかった分をまとめて進めます。部活の予定や外出の予定があっても、週末のどこかに、まとまった時間を1回置いておくと、平日の遅れを取り戻しやすくなります。
ここで大事なのは、時間数を約束しないことです。学年や部活動の予定によって、使える時間は変わります。時間数より先に、「この曜日は開く」という置く日を決めておくことのほうが、続けやすさにつながります。1週間のすべての日に、同じだけの勉強時間を確保する必要はありません。
1週間の置き方が決まったら、次はテスト前です。全科目を同じ密度で回すと、たいてい時間が足りなくなります。何を基準に、厚くする科目を選べばいいのでしょうか。
高校の定期テストの回し方——全教科を同じ厚さで回さない
範囲を確かめる→ワークを解く→間違えた問題をやり直す→暗記と提出物を進める、という中学の定期テストでも使われる週ごとの役割の考え方は、高校の定期テストでもそのまま使えます。そのうえで高校で加わるのが、科目の厚さの配分です。
高校は科目数が多く、すべての科目に同じだけの時間をかけようとすると、結局どの科目も中途半端なままテスト当日を迎えることになりかねません。そこで役立つのが、次の確認表です。
| 科目 | 範囲は前の単元に積み上がるか | 提出物・課題は評価に入るか | 前回、学校の基準に近かったか | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| (記入欄) | 厚くする/標準/薄くする |
『診断』ではなく、確認表です。 3つの問いに、科目ごとに当てはめていきます。当てはまる問いが2つ以上の科目は『厚くする』、1つの科目は『標準』、1つも当てはまらない科目は『薄くする』が目安です。薄くするといっても、手をつけないという意味ではありません。ワークをひととおり解くことと、出すべき提出物を出すことは、どの科目でも省きません。
1つ目の問い「範囲は前の単元に積み上がるか」は、積み上げ型の科目かどうかを確かめるものです。積み上がりのある科目は、後回しにするほど取り戻しにくくなります。2つ目の問い「提出物・課題は評価に入るか」は、テスト前の演習と並行して、出し忘れがないかも確認しておく必要があることを示しています。3つ目の問い「前回、学校の基準に近かったか」は、前回のテストで危なかった科目を、今回も同じように後回しにしないための確認です。記入するのは本人です。保護者は、記入した表を一緒に見るところまでにしておくと、勉強の中身に入りすぎずに済みます。

学校の基準に近い科目(赤点の基準に近い科目)は、この基準にかかわらず薄くしないでください。 どれだけ他の科目を厚くしたい事情があっても、学校の基準に近い科目を薄くすることだけは避けます。進級の基準がどう決まっているかは、高校で赤点を取ったときの進級の基準にまとめています。
範囲発表を待ってから動き出すのではなく、範囲発表より前の段階から、厚くする科目の見当をつけておくと、テスト前に慌てにくくなります。「何週間前から」を一律には決めません。学校や科目によって、範囲の出方も、必要な準備量も変わるからです。それより、厚くする科目を先に決めておくことのほうが、時間の使い方を左右します。
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回し方が決まっても、科目ごとの特徴を知っておくと迷いが減ります。
科目別のコツ(要点だけ)——英語・数学は積み上げ、国語、理科・社会は単元ごと
科目によって、勉強の性質が違います。要点だけ押さえておきます。
英語・数学:積み上げ型
これまでに習った内容の上に、新しい内容が積み重なっていく科目です。前の単元でつまずいたままにしておくと、新しい単元も理解しにくくなります。定期テストの直前だけでなく、日々の復習で、前の単元とのつながりを保っておくことが大事です。テスト範囲そのものは狭く見えても、実際にはそれ以前の単元の理解が前提になっていることが多い科目です。
国語:単元ごとに完結しやすい
現代文・古文・漢文は、単元ごとにある程度独立しています。テスト範囲の文章・古文単語・文法事項を、範囲に沿って進めれば対応しやすい科目です。積み上げ型の科目ほど早く始める必要はありませんが、古文単語や漢字といった暗記事項は、直前にまとめてやろうとすると量が多くなりがちです。
理科・社会:単元ごと+暗記の比重
理科・社会も単元ごとに区切りやすい一方、暗記する量が多くなります。範囲が発表されたら、暗記事項を早めに始めておくと、テスト直前に演習の時間を確保しやすくなります。用語を覚えるだけで終わらせず、仕組みや流れを理解しながら覚えると、応用問題にも対応しやすくなります。
科目の性質を踏まえたうえで、確認表の「厚くする・薄くする」の判断に反映させると、時間の配分がさらに整理しやすくなります。積み上げ型の科目を後回しにしすぎない、という点だけは、どの学年でも共通して気をつけておきたいところです。
実はここまでの回し方は、評定にもつながっています。
日々の回し方が評定につながる仕組み——テストの点だけで決まらない
高校の評定は、定期テストの点だけで決まるものではありません。提出物や授業への取り組みも含めて、観点別に付けられるのが一般的です。配点の比率は学校によって異なります。
つまり、テスト前だけ頑張っても、日常で出す提出物や授業での取り組みを落としていると、評定には届きにくくなります。確認表で「提出物・課題が評価に入るか」を問いに入れているのは、このためです。テストの点数だけを追いかけていると、日常の部分を見落としがちになります。
評定平均の出し方や、大学入試での使われ方は、指定校推薦で使われる評定平均の出し方にまとめています。
では保護者は何をすればいいのか。勉強の中身ではなく、別のところで支える方法があります。
保護者ができること——勉強の中身ではなく「場所と時間」を整える
保護者ができることは、勉強の中身に口を出すことではありません。場所と時間を整えることです。高校生になると、勉強の中身は、本人と学校の先生のほうが詳しくなっていきます。だからこそ、環境を整えるという形での関わり方が役に立ちます。
たとえば、こんな形です。
テスト前の1週間だけでも、リビングの一角や自室に、教科書とノートを広げたままにしておける場所を空けておく。『何時から何時まで』と時間を区切らず、『夕食のあと』『部活から帰って着替えたら』のように、始めどきだけ決めておく。
ご家庭の生活リズムに合わせて、時間や場所は変えてください。大切なのは、勉強を始めるハードルを少しでも下げておくことです。
問題集や参考書の予算は、あらかじめ上限を決めておくと選びやすくなります。上限の中で何を選ぶかは、本人に任せてかまいません。
勉強の中身そのものには、立ち入らなくてかまいません。保護者が高校生に関われる範囲の全体像は、保護者が関われる3つの窓口(情報・お金・学校との窓口)でまとめています。
それでも、うまく回らないときがあります。そのときに最初に見るべき場所を、最後にお伝えします。
回らないとき——先に「止まっている位置」を見る
それでも回らないときは、まず「止まっている位置」を見てください。回し方の問題なのか、それとも回し方より前の問題なのかを、先に見分けます。
授業そのものが分かりにくいなら、回し方より前の問題です。どこで止まっているかを確かめる方法は、授業についていけないときの、止まっている位置の確かめ方の記事にまとめています。ここまでの回し方をそのまま続けても、授業の理解そのものが追いついていなければ、効果は出にくくなります。
家庭の中だけでは回らないときは、学校の先生・塾・家庭教師といった外の手を借りる方法もあります。全国家庭教師協会の指導現場では、定期テスト前に、この記事の確認表と同じ考え方で、厚くする科目を一緒に決めるところから始めることがあります(※指導の進め方は生徒により異なり、結果を保証するものではありません)。
回し方が決まっても、実際に迷う場面は出てきます。よくある質問をまとめました。
よくある質問(FAQ)
高校生の勉強法は、中学と何が違いますか?
授業の進め方(予習前提)・科目の数・評価の材料(観点別評価)の3つが変わります。 中学までと同じやり方を続けると、この3つの変化に合わなくなっていきます。それぞれの変化にどう対応すればいいかは、「中学のやり方が通用しにくくなる3つの変化」の節にまとめています。
高校の定期テストは、いつから勉強を始めればいいですか?
範囲発表を待ってから動き出すのではなく、範囲発表より前から、厚くする科目の見当をつけておく考え方です。 「◯週間前から」と週数を一律には決めていません。学校や科目によって、範囲の出方も必要な準備量も変わるためです。科目ごとに厚さを決める基準は、確認表の節で紹介しています。
高校生の平均勉強時間はどれくらいですか?
具体的な数値は出典によって異なり、断定できません。 学年が上がるほど、特に高3で勉強時間が増える傾向がある、という範囲でお答えします。時間の長さを追いかけるより、まずは置く日を決めることのほうが大事です。
学年(高1・高2・高3)で勉強法は変えるべきですか?
考え方の土台は同じで、学年で変わるのは重点です。 高1は授業についていく型をつくる時期、高3は受験の演習が加わる時期、という違いはあります。ただし、この記事で紹介した「置く日を決める」「厚さを配分する」という考え方そのものは、どの学年でも共通して使えます。学年ごとの始めどきについては、大学受験の勉強を、学年ごとにいつから始めるかで詳しく解説しています。
勉強のやり方が分からないときはどうすればいいですか?
自己判断で決めず、教科担任の先生に「このやり方で合っているか」を聞く方法があります。 授業を担当している先生は、その科目でどこを重視しているかを一番よく知っています。今のやり方に不安があるときほど、早めに確認しておくと安心です。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|置く日と、厚くする科目を決める
- 中学と高校では、授業の進め方・科目の数・評価の材料が変わります
- 1週間の中に「置く日」を決めておくと、日々の回し方が続きやすくなります
- 定期テスト前は、全教科を同じ厚さで回さず、確認表で厚くする科目を決めます
- 日々の回し方は、そのまま評定にもつながっています
- 保護者ができるのは、勉強の中身ではなく「場所と時間」を整えることです
どれも、一度に全部やろうとする必要はありません。今日からできることは、1つです。今週、どの日に「置く日」を作るかを、1つ決めてみてください。
今日から、置く日を1つ決めてみませんか
ここまでの回し方は、ご家庭だけでも進められます。それでも「うちの子に合った厚さの配分」を一緒に確認したいときは、いつでもご相談ください。1対1の家庭教師なら、お子さんの時間割や得意・不得意に合わせて、厚くする科目の見当を一緒に確認できます。
話を聞いてみようと思われたときに
相談だけのご利用も歓迎です。
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。



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