執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。
過去問の関数の大問で、(1)は合っているのに(2)(3)は白紙。解説を読めば分かるのに、別の年の問題になるとまた手が止まる——そんな中3のあなたに向けて書いています。
先に答えです。入試の関数の大問で問われることは、交点・面積・動点・変域・図形との融合の5つの型に分けて練習できます(当協会の分け方)。型ごとに「最初の1手」が決まっていて、それを知っていれば、(3)でも途中まで進めます。
ただ1つ、解き方を知っていても×になる落とし穴があります。xの範囲の両端を式に入れるだけで答えを書くと、ある条件のときに×になります。確認した東京都の入試(令和6〜8年度)では、その条件の問題が3年続けて出ていました。分かれ目は「型④変域」の章で。
もう1つ。三角形の面積を求める問題は、三角形がどんな形でも、最初に引く線は1本で決まります。その1本は「型②面積」の章で。
まず結論(一問一答)
Q. 高校入試の関数の大問では、何が出ますか?
A. グラフの交点や直線の式、三角形の面積、動く点、変域、図形の性質を使う問題です。 この記事ではこれを5つの型に分けます(当協会の分類)。どの型が何番の小問で出るかは都道府県や年度で違い、道のりと時間のグラフを読む大問を出す県もあります。
Q. まず、どの小問を取りに行けばいいですか?
A. (1)と(2)からです。 確認した東京都の3年分(令和6〜8年度)では、(1)(2)は変域・座標・直線の式を1つ求める問題でした。(3)は「最初の1手」まで書いて、時間が残ったら戻ります。
Q. 動点の問題が苦手です。
A. 点が角を曲がるところで時間を区切り、区切りごとに式を立てます。 1本の式で全部を表そうとすると、答えを1つ落としやすくなります。
Q. 変域でいつもミスします。
A. xの範囲に0が入っているかを、最初に確かめます。 関数 y=ax² で0が入っていれば、yの範囲の一方の端は0です。
Q. グラフの式そのものが分からないときは?
A. 関数の大問の前に、中2・中3の単元に戻ります。 戻る順番は中学数学のつまずきやすい単元と「やり直す順番」にまとめています。
——では、入試の関数の大問はどんな作りになっているのか。まず(1)から(3)までの並び方を見ておきます。
入試の関数の大問は、(1)から(3)へ難しくなる
確認した東京都立高校の共通問題では、令和6年度(2024年春入学)から令和8年度(2026年春入学)までの3年とも、大問3が関数の大問で、小問は3つでした。並びは次のとおりです。
- (1) 変域か、点の座標を1つ求める
- (2) 直線の式を求める
- (3) 面積の条件(「ある図形の面積が、別の図形の面積の何倍になるとき」)から、点の座標を求める
(1)(2)は手順が1つで終わり、(3)はいくつかの手順を組み合わせます。3年のうち令和7年度は、放物線を使わない直線だけの大問(1次関数の入試問題)でした。どの都道府県でも同じ並びとは限りませんが、「後ろの小問ほど手順が増える」と思って自分の県の過去問を開くと、どこまで取れているかが見えます。
教科書の単元でいえば、入試の関数は中1の比例・反比例、中2の一次関数、中3の関数 y=ax²(「二次関数」と呼ばれることもあります)の組み合わせです。
どの小問まで取りに行くかは、今の自分の点数で決めます。その決め方は高校入試の数学でよく出る問題(頻出単元と、得点源の決め方)にまとめているので、ここからは型ごとの解き方に進みます。先に、5つの型と最初の1手を1枚にまとめておきます。

——最初の型は、ほかの4つの土台になる「交点」です。
型①グラフの式と交点の座標——代入か連立で求める
グラフが通る点から式を決める問題と、2つのグラフが交わる点の座標を求める問題です。最初の1手は、式を決めるなら分かっている点の座標を代入すること、交点を求めるなら2つの式を連立することです。
【例1|当協会が作った問題】
放物線y = ax²は点B(6, 18)を通る。点Aは放物線上にあり、x座標は −2 である。
(1) aの値を求めなさい
(2) 直線ABの式を求めなさい
解き方
- (1) Bの座標を代入して、
18 = a × 6² = 36a。よって a = ½ - (2) Aのy座標は
½ × (−2)² = 2なので、A(−2, 2)。傾きは(18 − 2) ÷ (6 − (−2)) = 16 ÷ 8 = 2。y = 2x + bにAを代入して2 = −4 + b、b = 6。よって y = 2x + 6
逆に、放物線 y = ½x² と直線 y = 2x + 6 の交点を求めるときは、2つの式を連立します。½x² = 2x + 6 の両辺を2倍して x² − 4x − 12 = 0、(x + 2)(x − 6) = 0 より x = −2, 6。交点のx座標は、二次方程式の解として出てきます。
よくある×は、傾きを出すときの符号です。6 − (−2) を 6 − 2 と書くと、傾きが 16 ÷ 4 = 4 になってしまいます。差は「右の点 − 左の点」の順に引くと決めて、負の数にはかっこを付けて書きます。
——座標が出そろったら、次はその点を結んで三角形をつくります。
型②三角形の面積——座標から面積を出す
リードで「最初に引く線は1本」と書いたのは、y軸(またはy軸に平行な直線)です。この線で三角形を2つに切ると、切り口が共通の底辺になり、高さはx座標から読めます。y軸が三角形の中を通らないときは、x座標がまん中の頂点を通る、y軸に平行な直線で切ります。
【例2|例1の続き】
原点をOとする。△OABの面積を求めなさい。
解き方:直線ABとy軸の交点をCとすると、C(0, 6)。△OABをy軸で△OACと△OBCに切ると、どちらも底辺は OC = 6。高さはAとBのx座標の絶対値(2と6)なので、△OAC = 6 × 2 ÷ 2 = 6、△OBC = 6 × 6 ÷ 2 = 18、合わせて 24。まとめて「OC ×(2点のx座標の差)÷ 2 = 6 × 8 ÷ 2 = 24」と1行で書いても同じです。
等積変形——同じ面積の三角形をつくる点
「△PABの面積が△OABと等しくなる点P」を求める問題では、Oを通りABに平行な直線を引きます。 平行な直線の上の点なら、ABからの距離(高さ)が同じなので、面積も同じです。例2の続きで、Pが放物線上にあり、x座標が0より大きく6より小さいとき、Oを通りABに平行な直線は y = 2x。½x² = 2x より x = 0, 4。xは0より大きいので、P(4, 8) です。

面積を二等分する直線
頂点Oを通って△OABの面積を2等分する直線は、向かい合う辺ABの中点を通ります。ABの中点は ((−2 + 6) ÷ 2, (2 + 18) ÷ 2) = (2, 10) なので、直線は y = 5x です。
——面積が出せるようになったら、次はその点が動き出します。
型③動点——点が動くときの場合分け
点が図形の辺の上を動き、面積や長さがどう変わるかを問う型です。最初の1手は、点が角を曲がる時刻で時間を区切ること。 区切りごとに、底辺と高さのどちらが変わるかを見て式を立てます。
【例3|当協会が作った問題】
長方形ABCDで、AB = 4cm、BC = 6cm。点Pは頂点Bを出発し、辺の上を B→C→D→A の順に毎秒1cmで動く。出発してからx秒後の△ABPの面積を y cm² とする。
(1) yをxの式で表しなさい
(2) △ABPの面積が8cm²になるのは何秒後か
解き方:Pが角を曲がるのは、Cに着く6秒後と、Dに着く10秒後です。Aに着くのは16秒後。
- 0 ≦ x ≦ 6(PがBC上):底辺AB = 4、高さBP = x →
y = 2x - 6 ≦ x ≦ 10(PがCD上):高さはBCと同じ6のまま →
y = 12 - 10 ≦ x ≦ 16(PがDA上):高さAP = 16 − x →
y = 32 − 2x
(2) y = 8 になるのは、2x = 8 より x = 4 と、32 − 2x = 8 より x = 12。答えは4秒後と12秒後の2つです。
区切らずに y = 2x だけで解くと、12秒後を落とします。区切りごとに、出てきた答えがその区間に入っているかも確かめます(x = 4 は 0〜6 に、x = 12 は 10〜16 に入っている)。
——式を区切るときに出てきた「xの範囲」。次の型は、その範囲そのものを問います。
型④変域——xの範囲からyの範囲を出す(0をまたぐとき)
リードで「ある条件のときに×になる」と書いた条件は、関数 y=ax² で、xの範囲が0をまたぐことです。
【例4|当協会が作った問題】
関数y = ½x²で、xの変域が−2 ≦ x ≦ 6のとき、yの変域を求めなさい。
両端を代入すると、x = −2 で y = 2、x = 6 で y = 18。ここで「2 ≦ y ≦ 18」と書くと×です。xの範囲に0が入っているので、x = 0 のとき y = 0 になり、これがいちばん小さい値です。正しくは 0 ≦ y ≦ 18。
同じ範囲でも、直線 y = 2x + 6 なら答えは 2 ≦ y ≦ 18(両端の値)です。直線は増え続けるか減り続けるので両端で決まり、放物線は原点で折り返すので、0が範囲に入るかで答えが変わります。だから最初の1手は、xの範囲に0が入っているかを見ること。aが負の数のときは、0がいちばん大きい値になります。
確認した東京都の共通問題では、令和6〜8年度(2024〜2026年春入学)の3年とも、xの範囲が0をまたぐ問題が出ていました(大問1の小問か、関数の大問の(1))。福岡県でも、令和7年度(2025年春入学)の大問1に同じ形がありました。
逆向きに「yの変域が 0 ≦ y ≦ 18 になるときのa」を問う形もあります。いちばん大きいyは x = 6 のときなので、36a = 18、a = ½ です。
——ここまでの4つは、座標と式だけで解けました。最後の型は、図形の性質を持ち込みます。
型⑤図形との融合——相似・三平方と組み合わせる
座標から辺の長さや線分の比を求める型です。相似の証明など図形そのものの解き方は図形の単元で扱うので、ここでは座標とのつなぎ方だけを見ます。最初の1手は、長さなら座標の差で直角三角形をつくること、一直線上の比ならx座標の差を並べることです。
【例5|例1・例2の続き】
(1) 線分ABの長さを求めなさい
(2) 直線ABとy軸の交点をCとするとき、AC : CB を求めなさい
解き方
- (1) AからBへ、横に
6 − (−2) = 8、縦に18 − 2 = 16。三平方の定理でAB² = 8² + 16² = 320、AB = 8√5 - (2) A、C、Bは一直線上にあるので、長さの比はx座標の差の比になります(平行線と線分の比)。
AC : CB = (0 − (−2)) : (6 − 0) = 2 : 6 =1 : 3
(2)の比は、例2の △OAC = 6 と △OBC = 18 の比(1 : 3)とも一致します。底辺OCが同じ三角形どうしは、面積の比が高さの比になるからです。5つの型は、同じ座標の上でつながっています。
関数の大問の×が、(3)に集まっていたら
過去問の関数の大問で×(自信がなかった△も)がついた小問を、図解①の表に正の字で振り分けてみてください。(3)の面積や動点に印が集まっていたら、その表をおうちの人に見せて、高校入試対策の中身を一緒に見てみてください。
▶ 各県の最新の受験情報を踏まえた、家庭教師の高校入試対策
——では、自分の県では、どの型が出ているのでしょうか。
過去問で、自分の県の関数の大問の型を数える
「よく出る」は、県によって違います。確認した2つの県でも、関数の大問の顔ははっきり違いました。
| 東京都(共通問題) | 福岡県 | |
|---|---|---|
| 確認した年度 | 令和6〜8年度(2024〜2026年春入学) | 令和7・8年度(2025・2026年春入学) |
| 関数の大問 | 大問3。座標平面の放物線・直線と、面積の条件 | 大問4。道のりと時間のグラフを読む(一次関数) |
| 関数 y=ax² の出方 | 令和6・8年度は大問3、令和7年度は大問1の小問 | 大問1の小問(変域、グラフをかく) |
同じ「関数の大問」でも、練習しておく形が違うということです。ネットで見つけた「よく出る問題」が、自分の県の形と同じとは限りません。練習の順番は、自分の県の過去問で決めます。
手順は3つです。
- 志望校のある県の過去問を3年分そろえ、関数の大問と、大問1などに入っている関数の小問に印をつける
- 1問ずつ、5つの型のどれに当たるかを余白に書く。 2つの型に当たるものは、両方に印をつける。どれにも当たらないもの(道のりと時間のグラフなど)は「その他」として、問われ方をメモする
- 3年分で多かった型から練習する
数学全体を数える3ステップは「高校入試の数学でよく出る問題」の記事にあり、ここでは関数の大問だけを型で数えます。過去問をいつから何年分やるかは高校受験の過去問はいつから?何年分?で整理しています。
よくある質問(FAQ)
どの型から練習すればいいですか?
自分の県の過去問で多かった型からが基本です。 決められないときは、交点と変域から始めます。どちらも1つの手順で答えが出るうえ、確認した東京都の3年分(令和6〜8年度)では、交点は関数の大問の(2)に毎年、変域は(1)か大問1の小問に置かれていました。面積・動点・図形との融合は、交点で座標が出せることを前提に解く型です。
関数の大問で時間が足りなくなります。
(3)は「最初の1手」まで書いたら、次の大問へ進みます。 座標を代入する、y軸(またはy軸に平行な直線)で三角形を切る、時間を区切る——ここまで書いておけば、戻ってきたときに続きから始められます。途中の式に点が入るかどうかは採点の基準によるので、志望校のある県の過去問の解答例で確かめてください。
グラフをかくのが遅いです。
きれいにかかなくてかまいません。 放物線はおおまかな形、直線は2点を結ぶだけで十分です。大事なのは、点の横に座標を書き込むこと。ただし、福岡県の令和8年度(2026年春入学)の大問1のように、グラフそのものをかかせる問題が出る県もあるので、自分の県の過去問で確かめてください。
規則性の大問も出る県でした。
規則性も、表をかいて増え方から式にする、という決まった手順で解けます。 型と式の立て方は高校入試の規則性の問題(よく出る型と、n番目を式で表す手順)にまとめています。
前の単元に戻ったほうがいいか迷います。
型の例を解いて、手が止まった場所で決めます。 例1の(2)で直線の式が出せなければ中2の一次関数に、例4で ½x² の値の計算が止まるなら中3の関数 y=ax² に戻るのが先です。戻る順番は、最初の一問一答で紹介した「中学数学のつまずきやすい単元」の記事にあります。
家庭教師の利用についての疑問は、よくある質問にまとめています。
まとめ|関数の大問は「型」と「最初の1手」で進める
- 入試の関数の大問は、交点・面積・動点・変域・図形との融合の5つの型に分けて練習する(当協会の分け方)
- 最初の1手は、交点=代入か連立、面積=y軸(またはy軸に平行な直線)で切る、動点=角で時間を区切る、変域=0が入っているかを見る、図形との融合=座標の差で直角三角形か、一直線上ならx座標の差の比
- (1)(2)を先に取り、(3)は最初の1手まで書いて進む
- どの型が何番で出るかは県で違う。自分の県の過去問3年分で数える
今日できるのは1つです。過去問の関数の大問を1つ解いて、×がついた小問を図解①の表に振り分けてください。その表をおうちの人に見せておくと、次に何を練習するかを一緒に決めやすくなります。
保護者の方へ——解き方ではなく「どの小問で止まった?」と聞く
この記事でお子さんが自分でやることは、3つです。関数の大問を5つの型に振り分けること、型ごとの「最初の1手」を書く練習、自分の県の過去問で型を数えることです。
保護者の方にお願いしたいのは、1つだけです。関数の大問の答案を一緒に開いて、「どの小問で止まった?」「それは5つの型のどれ?」と聞いてください。数学の解き方が分からなくても構いません。答えが返ってきたら、「その型の最初の1手は書いた?」と続けてください(型ごとの最初の1手は図解①にあります)。書いてあれば止まったのはその先、書いていなければ最初の1手の手前です。
やらないでほしいのは、解説を読み聞かせて解き方を教えることです。止まった場所が分からないまま解き方だけを覚えると、別の年の問題で、また同じところで止まります。
「どの小問で止まった?」と聞く役を続けるのが難しい場合や、答案を一緒に見られる大人が身近にいない場合は、家庭教師という方法もあります。
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