併願優遇とは|私立高校の仕組みと基準の確かめ方、地域による違い(東京都の例)

併願優遇とは|私立高校の仕組みと基準の確かめ方、地域による違い(東京都の例) 高校受験

執筆・監修:小川 真理子先生(受験アドバイザー/指導歴15年)
「何から手をつければいいか」を、現実的な学習計画に翻訳するのが役目。

私立高校の説明会の資料に「併願優遇」とあった。ほかの保護者は「基準さえ満たせば、もう合格みたいなもの」と話していた——そんな中3の保護者の方に向けて書いています。

先に答えを書きます。併願優遇は、確認した東京都の私立高校の令和9年度(2027年春入学)の募集要項では、一般入試の区分の1つでした。学校の基準を満たし、中学校の先生と高校の「入試相談」を経て出願します。そして東京都では、合格の約束ではありません。 入試相談で高校が述べるのは「合格の可能性」までと、東京都と私立学校の団体が合意しているからです。

もうひとつ。知っておきたいのは、合否のことだけではありません。公立高校が第一志望のご家庭ほど効いてくる、お金の期限の話があります。「優遇」の中身の章で、あわせてお伝えします。

確かめた資料は東京都のものです。呼び方も仕組みも、地域と学校で違います。

まず結論(一問一答)

Q. 併願優遇とは何ですか?
A. 私立高校の一般入試の区分の1つです。 確認した東京都の私立高校2校の令和9年度(2027年春入学)の募集要項では、ほかの学校を第一志望にして併願で受ける人のうち、学校の基準を満たし、中学校の先生と高校の入試相談を経た人が出願する区分でした。条件は学校ごとに違います。

Q. 併願優遇なら、合格は約束されますか?
A. 東京都では、約束されません。 入試相談で私立高校は「合格の可能性」を述べるにとどめ、確約も内定もしないと、東京都と私立学校の団体が合意しています。確認した2校とも、当日に学科試験と面接がありました。

Q. 基準は、どこで分かりますか?
A. 受ける学校の募集要項と説明会、そして中学校の先生です。 内申の数え方や欠席の条件などを、学校ごとに決めています。

Q. 推薦とは、どう違いますか?
A. 入試の区分が違います。 確認した募集要項では、併願優遇は一般入試の中の区分で、推薦入試とは別でした。

Q. 併願優遇で受けると、ほかに何校まで受けられますか?
A. 学校が決めていることがあります。 確認した1校は「国公立1校および他の私立1校との併願可」としていました。受験校の組み方は、後半で紹介する記事にまとめています。

併願優遇とは——確認した募集要項の書き方

この記事で確かめたのは、東京都教育委員会の発表と、東京都の私立高校2校の令和9年度(2027年春入学)の募集要項です。2校が東京都の私立高校を代表するわけではありません。

2校とも、併願優遇を一般入試の区分の1つとして置いていました(1校は「併願優遇(併願)」、もう1校は「併願優遇【一般入試】」)。読み取れた形は3つです。

  1. 出願には条件があります。 学校の基準を満たし、入試相談を経ることです。1校は出願資格を「本校の併願優遇基準を満たし、中学校長の確認がある者」としていました。
  2. 入試相談とは別に、出願があります。 1校は「入試相談の受理後も、別途出願が必要です。」と案内していました。
  3. 当日の試験があります。 2校とも、国語・英語・数学の学科試験と面接がありました。

併願優遇の流れを6つの段階で示した図。募集要項・説明会では保護者とお子さんが基準、加点、入学手続きの期限を確かめる。入試相談では中学校の先生と高校が基準を満たしているかを確かめ、東京都の合意では高校が述べるのは合格の可能性まで。出願は入試相談とは別に行う(確認した1校)。当日の試験は学科試験と面接(確認した2校)で、合否は総合的に判定(確認した1校)。合格発表のあとは保護者が入学手続きの期限と待ってもらうための届け出を確かめる。第一志望の結果が出たら、入学手続きをするか辞退を連絡するか(連絡のしかたは学校ごと)。東京都の資料と東京都の私立高校2校の令和9年度の募集要項で確認した流れであること、呼び方・順番・期限は都道府県と学校で違うこと、日付は受ける学校の募集要項で確かめることを注記した、併願優遇とは何かを流れで示した図

——では、何が「優遇」なのでしょうか。

「優遇」の中身と、入学手続きを待つ期限

確認した資料から読み取れた「優遇」と、あわせて知っておきたい期限を、順に見ます。

「優遇」は、出願の前に、基準を満たしているかを中学校の先生を通して高校と確かめられることです。 入試相談をするのは受験生や保護者ではありません。1校は「在籍する中学校の先生と本校教頭が行うものです。」と書いていました。

あわせて知っておきたいのが、入学手続きの期限です。 リードで「お金の期限の話」と書いたのは、これです。公立高校が第一志望だと、公立の結果が出る前に私立の入学手続きの期限が来ることがあります。東京都と私立学校の団体の合意には、次の文があります。

「都立高校との併願者に係る私立高校の入学金等の納入期限については、保護者の経済的負担に留意し、各校で十分配慮する。ただし、推薦入試による合格者については、この限りでない。」

確認した1校は、併願優遇の入学手続きを併願校の合格発表の翌日の正午まで待ち、「併願校届をもって延納手続きとします。」と書いていました。中学校の先生向けの案内には「入学を決めるまで、手続き費用の負担はありません。」とあります。

ただし、待ってもらえるのは併願優遇だけではありません。確認した2校とも、入試相談の要らない一般入試にも待つ区分があり、1校は単願や第一志望で受けた区分を「延納は出来ません」としていました。

期限と、待ってもらうための手続きは、学校ごと・区分ごとです。期限を知らないまま合格発表を迎えると、公立の結果を待たずに入学金を納めることになりかねません。出願の前に、募集要項の入学手続きの欄から、①期限 ②届け出が要るか ③辞退の連絡のしかた、の3つを書き出してください。締切と延納の欄の探し方は、入学金と手続きの締切(高校受験にかかる費用)にまとめています。

——では、入試相談で基準を満たしていると分かれば、合格は決まりなのでしょうか。

東京都では合格の約束ではない——入試相談で決まること・当日の試験で決まること

ここで書くのは東京都の場合です。東京都教育委員会の「令和9年度高等学校就学計画について」(都内の公立中学校から2027年春に入学する生徒が対象)に、東京都と東京私立中学高等学校協会の合意として、次の1文があります。

「私立高校が中学校との間で入試相談を行う場合は、(中略)一般入試及び推薦入試について、合格の可能性を述べるにとどめ、確約、内定はしないものとする。」

入試相談で高校が述べるのは「合格の可能性」までで、確約も内定もしません。そして確認した2校とも、併願優遇でも当日に学科試験と面接がありました。1校は一般入試の選考方法を「調査書・学科試験・個人面接を総合的に判定」と書いていました。

だから、「併願優遇で落ちることはあるか」の答えは「あります」です。落ちる割合の数字は、確認した資料にはありません。この記事では確率を書きません。

裏返せば、当日の答案と面接は合否の材料です。お子さんが動かせることは3つあります。

  1. 当日の学科試験を、本番として準備します。 受ける学校の過去の入試問題で、出題の形と時間配分を一度は体験しておきます。
  2. 面接の受け答えを、声に出して練習しておきます。
  3. 基準に使われる評定が決まるまで、提出物と定期テストを落としません。 東京都の確認事項では、推薦などの入試相談の資料は中学校3年間の学習記録などです。

——では、その基準はどこを見れば分かるのか。募集要項の欄を順に見ます。

基準の確かめ方——募集要項の欄・説明会・中学校の先生

基準は学校ごと・年度ごとに決められています。この記事では学校ごとの数値は書かず、見る場所を書きます。確かめる先は、募集要項、説明会での個別の相談、そして入試相談をする中学校の先生です。1校は、細かい扱いを「詳細は説明会等で個別にご相談ください。」と案内していました。

募集要項では、次の5つの欄を見てください。

  1. 区分の名前:「併願優遇」と書いてあるか、別の名前か。一般入試か、推薦入試か
  2. 出願の条件(基準):内申の数え方(3科・5科・9科など)、どの学期の評定か、欠席の条件、評定に1が無いこと、加点、併願できる学校の数、住所の条件
  3. 入試相談:要るかどうか、誰と誰が行うか、そのあとに別に出願が要るか
  4. 当日の試験と選考方法:科目、面接、何で判定するか
  5. 入学手続き:期限、待ってもらうための届け出、辞退の連絡方法、納めたお金の扱い

併願優遇を募集要項で確かめる5つの欄を並べた記入式の図。区分の名前(併願優遇と書いてあるか、別の名前か、一般入試か推薦入試か)、出願の条件(内申の数え方として3科・5科・9科など、どの学期の評定か、欠席の条件、評定に1が無いこと、加点、併願できる学校の数、住所の条件)、入試相談(要るかどうか、誰と誰が行うか、そのあとに別に出願が要るか)、当日の試験と選考方法(科目、面接、何で判定するか)、入学手続き(期限、待ってもらうための届け出、辞退の連絡方法、納めたお金の扱い)の5行に、受ける学校ごとのメモ欄と学校名の記入欄を付けた。書かれていないことは推測で埋めず学校か中学校の先生に確かめること、基準の数値は学校ごと・年度ごとであることを注記した、併願優遇の基準の確かめ方の図

書かれていないことは、推測で埋めないでください。学校か中学校の先生に確かめます。

欠席日数の条件を置く学校もあります(確認した2校とも置いていました)。すでに条件に届かないかもしれないときも、そこで決めつけないでください。扱いは学校ごとで、中学校の先生を通して高校に確かめる手があります。加点の項目(確認した1校は検定や部活動など)も学校ごとです。

お子さんの評定が基準に届いているかは、三者面談で確かめます。何をどの順で聞くかは、三者面談(中学)で聞くことにまとめています。

——形と確かめ方が分かったところで、混同されやすい「推薦」「専願」との違いです。

推薦・専願との違い

3つは、見ている点が違います。

  • 推薦は、入試の区分です。確認した2校とも、推薦入試を一般入試とは別に置いていました。
  • 専願(単願)は、受け方です。合格したらその学校に入学することを前提に受けます。
  • 併願優遇は、確認した募集要項では、一般入試の中の、併願で受ける人のための区分でした。

違いが出やすいのは入学手続きです。前に引いた東京都の合意は、納入期限への配慮について「推薦入試による合格者については、この限りでない」としています。推薦で受けるか、併願優遇で受けるかで、期限の扱いが変わることがあります。

住む都県で使える区分が変わる例もありました。確認した1校は、令和9年度の募集要項で、併願優遇を東京都と神奈川県の受験生だけに設け、ほかの道府県の受験生には推薦入試の中の「併願」の区分を用意していました。

推薦の仕組みは高校受験の推薦入試(保護者が見る判断基準)に、専願・単願で受けると何を約束するかは専願と併願の違い(専願・単願とは何を約束する受け方か)にまとめています。

地域で違う——確認できたのは東京都の資料

この記事で開いたのは、東京都の資料と、東京都の私立高校の募集要項だけです。ほかの道府県の資料は開いていません。

「併願優遇」という言葉を使わない地域や、仕組みが違う地域があります。お住まいの都道府県の仕組みは、中学校の進路指導の先生がいちばん正確です。ほかの県の説明を、そのまま当てはめないでください。前の章の1校のように住所で使える区分が変わる学校もあるので、都県をまたいで受けるときは、募集要項で住所の条件を確かめてください。

基準を確かめたあとに残るのは、当日の学科試験です
確認した学校では、併願優遇でも当日の学科試験がありました。中学生コースの「高校入試対策」の内容をまとめています。
▶ 家庭教師の高校入試対策(中学生コース)を見る

基準に届かないとき・受験校の組み方は別の記事で

内申が足りないと言われたときに、志望校を諦める前に確かめることは、内申点が足りないと言われたら(諦める前に確認する5つ)にまとめています。

併願校を何校受けるか、滑り止めをどう選ぶかは、私立高校の併願と滑り止めの選び方(受験校は「4層」で組む・何校受けるか)で扱っています。

よくある質問(FAQ)

公立高校に合格したら、併願優遇で受かった私立高校は辞退できますか?

併願は、ほかの学校も受けたうえで進学先を決められる受け方です。確認した1校は、入学手続きを併願校の合格発表の翌日まで待ち、「入学辞退をする場合は、必ず在籍する中学校を通じてご連絡ください。」と書いていました。連絡のしかたと期限は学校ごとなので、入学手続きの欄で確かめてください。

入試相談には、保護者も行くのですか?

入試相談は、中学校の先生と高校のあいだで行われます。保護者とお子さんが説明会などで高校に相談する場とは別です。確認した1校は、入試相談のあとにも別に出願が要ると案内していました。

模試の偏差値は、基準に使われますか?

東京都では使わないことになっています。東京都と私立学校の団体の確認事項に「業者テストによる偏差値等を資料として利用しない」とあり、推薦などの入試相談の資料からも偏差値の資料を除いています。東京都以外は、この記事では確かめていません。

併願優遇でも、面接はありますか?

確認した2校は、どちらも面接を行っていました。有無と形は学校ごとなので、募集要項の試験の欄で確かめてください。面接で自分のことを短く話す組み立ては、高校受験の自己PR(面接で30秒・1分で話す組み立て)で扱います。

内申が基準に少し届きません。もう併願優遇は使えませんか?

決めつける前に、中学校の先生を通して高校に確かめてください。確認した1校は、基準に満たない場合に加点されることがあると書き、説明会などで個別に相談するよう案内していました。届かないときの考え方は、先に紹介した内申点の記事にまとめています。

まとめ|併願優遇は、基準と期限を募集要項で確かめて使う

  • 併願優遇は、確認した東京都の募集要項では一般入試の区分の1つです。基準を満たし、入試相談を経て出願します
  • 東京都では、入試相談で高校が述べるのは「合格の可能性」までです。確認した2校とも当日に学科試験と面接があり、1校は合否を総合的に判定すると書いていました
  • 確かめられた「優遇」は、入試相談で前もって基準を確かめられることです。入学手続きを待つ期限は、併願優遇でない区分にもあり、区分ごとに違います
  • 募集要項で見る欄は5つです。区分の名前、出願の条件、入試相談、当日の試験、入学手続きです
  • 呼び方と仕組みは地域と学校で違います。確かめたのは東京都の資料です

今日することは1つです。受ける私立高校(決まっていなければ候補の1校)の募集要項を開き、入学手続きの欄の期限を書き出してください。

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