執筆・監修:小川 真理子先生(受験アドバイザー/指導歴15年)
「何から手をつければいいか」を、現実的な学習計画に翻訳するのが役目。
三者面談で、担任の先生に「私立は専願ですか、併願ですか」と聞かれて、とっさに答えられなかった——そんな中3の保護者の方に向けて書いています。
先に答えを書きます。専願は、その学校に進むことを前提に受ける方式です。併願は、ほかの学校も受けたうえで進学先を決められる方式です。「単願」は、確認した募集要項では、専願と求めていることが重なっていました。ただし、呼び方と条件は学校ごとに違います。この記事を書くにあたって私立高校9校の募集要項を開いたところ、9校のうち3校は、「専願」の相手を「併願」とは書いていませんでした。その読み方は、「言葉の整理」の章で。
もうひとつ。専願で合格したあとに「知らなかった」となりやすいのは、言葉の意味ではありません。募集要項の、別の欄に書かれていることです。どの欄かは、記事の中ほどでお伝えします。
なお、この記事は高校受験の話です。大学入試の専願・併願は、仕組みが別です。
まず結論(一問一答)
Q. 専願と併願の違いは何ですか?
A. 合格したあと、その学校に入学することが前提かどうかです。 専願は、その学校に進むことを前提に受ける方式です。確認した私立高校の募集要項には、専願の出願資格として「合格した場合には必ず本校に入学する者。」と書かれていました。併願は、ほかの学校も受けたうえで進学先を決められる方式で、「併願方式:本校以外も受験可」と書く学校がありました。呼び方と条件は学校ごとに違うので、受ける学校の募集要項が正です。
Q. 単願は、専願と違うのですか?
A. 確認した募集要項では、求めていることが重なっていました。 「単願」と書く学校には、「単願方式:本校のみ受験」とあり、同じ入試の受験資格に「合格した場合、本校に入学することを誓約する者」とありました。ただし、書き方は学校ごとに違います。言葉で判断せず、受ける学校の募集要項の文で確かめてください。
Q. 専願のほうが受かりやすいのですか?
A. 学校ごとです。 確認した9校のうち2校は、専願(単願)と併願で合否の扱いに差をつけることを、募集要項に書いていました。単願の受験者の合計点に点数を加えると書く学校と、併願の合格の線を専願より高く置くと書く学校です。差があるか、どのくらいかは学校で違います。「専願なら受かる」とは考えず、受ける学校の募集要項で確かめてください。
Q. 専願でも落ちることはありますか?
A. あります。 専願で約束をするのは受ける側です(確認した募集要項では「合格した場合には必ず本校に入学する者。」など)。学校が合格を約束する方式ではありません。数字の確かめ方と、落ちたあとの動き方は、別の記事「私立高校の専願(単願)で落ちる確率と、落ちたらどうなるか」で扱います。
Q. 公立高校が第一志望のときは、どちらで受けますか?
A. 併願です。 学校によっては「併願」という名前ではなく、専願ではない一般入試・前期入試などの区分になります。入学を出願の条件として書く学校を専願で受けて合格すると、公立高校に進む道は残りません。どの区分が併願にあたるかは、募集要項の出願資格で確かめます。
——では、「専願」「単願」は、募集要項に実際にはどう書かれているのか。9校分を並べます。
専願とは・単願とは——言葉の整理
先にお断りします。私立高校の入試の呼び方と条件は、学校ごとに違います。
この記事では、令和9年度(2027年春入学)の私立高校9校の募集要項(学校の公式サイトにある募集要項・入試概要のページと、要項のPDF)を開き、そこに書かれている文だけを使います。「専願」と書く学校が6校、「単願」と書く学校が3校でした。9校は検索で開けた学校で、全国の割合を表すものではありません。どの地域がどちらの言葉を使うかも、9校では決まりません。
お子さんが受ける学校は、次のどの書き方でしょうか。手元に募集要項があれば、開きながら読んでください。
専願とは——出願資格に書かれていること
「専願」と書く6校のうち、専願の出願資格を文で書いていたのは4校です。
- 「合格した場合には必ず本校に入学する者。」
- 「合格した場合、必ず本校に入学する者」
- 「専願入試においては、合格した場合は本校への入学を確約できる者。」
- 「本校を第一志望とする者」
3校は、合格したら入学することを、出願の条件としてはっきり書いています。残る1校は「第一志望とする者」という書き方でした。この書き方の学校を受けるときは、合格したあとの扱いを、出願の前に学校か中学校の先生に確かめてください。
6校のうち残る2校は、専願の意味を文で説明していませんでした。
単願とは——「本校のみ受験」と、入学の誓約
「単願」と書く3校のうち、意味が文で読み取れたのは2校です。1校は、出願方式の欄に「単願方式:本校のみ受験」とあり、同じ入試の受験資格に「合格した場合、本校に入学することを誓約する者」とありました。出願書類には誓約書が入っています。もう1校は、単願の入試の受験資格に「本校のみを受験する者」と書いていました。
つまり1校目の単願は、「ほかの学校を受けない」ことと「合格したら入学する」ことの両方を求めています。専願と書く学校が求めていたことと重なります。2校目が文で書いていたのは、「ほかの学校を受けない」ことまでです。
残る1校は、出願の種別として「単願」「併願」が並んでいるだけで、開いた要項に意味の説明はありませんでした。
専願の相手が「併願」と書かれていない学校
リードで触れた3校です。この3校では、入試の区分の名前に「併願」が使われていません。入試の区分は、学校ごとに、専願入試・前期入試・後期入試/専願入試・一般入試/専願・一般前期・一般後期でした。
このような学校では、専願ではない区分(前期・一般など)が、ほかの学校と合わせて受ける入試にあたります。3校のうち1校の募集要項は、奨学生制度の表で、前期・後期入試を「他校との併願」ができる区分として書いていました。見分け方は、区分ごとの出願資格に「合格したら入学する」という条件が書かれているかどうかです。3校のうち別の1校は、「専願入試においては」と断ったうえで、入学の確約を条件にしていました。
専願と併願の違いは、募集要項の3つの欄で確かめる
| 募集要項で見る欄 | 専願(単願) | 併願 |
|---|---|---|
| ① 出願資格・受験資格(合格したときの約束) | 入学を条件として書く学校がある(「合格した場合には必ず本校に入学する者。」など) | 出願資格に、入学を条件にする文は、確認した要項にはなかった |
| ② 出願方式・入試区分(ほかの学校を受けられるか) | 「本校のみ受験」と書く学校がある | 「本校以外も受験可」と書く学校がある |
| ③ 入学手続き(期限と、納めたお金) | 期限が早い、または1回で納める学校がある | 期限が遅い、または2回に分かれる学校がある |
3つの欄に書かれていないことは、推測で埋めないでください。学校に問い合わせるか、中学校の先生に確かめます。合否の扱いに差をつけるかどうかは、この3つとは別に、学校ごとに書かれています(一問一答の3つ目)。

言葉の意味は、ここまでです。ただ、専願で本当に差が出るのは、合格したあとです。
専願は「入学の約束」——合格したあとに起きること
専願(単願)にしようと考えているご家庭は、この章がいちばん大事です。リードで「別の欄」と書いたのは、入学手続きの欄です。
期限は、専願のほうが早い学校がありました。 9校のうち7校は、専願(単願)の合格者と、それ以外の区分の合格者とで、入学手続きの期限や回数が違っていました。この7校では、専願(単願)のほうが、期限が早いか、入学金などを1回で納めて手続きを終える形でした。それ以外の区分は、期限が遅いか、2回に分けて納める形でした。併願の入学金の納入期間を、公立高校の合格発表日からとする学校もありました。別の1校は、「単願推薦の手続延期はございません。」と書いています。一方で、単願と併願の期限が同じ学校も1校ありました。
納めたお金は戻らない、と書く学校がありました。 9校のうち5校の募集要項に、入学金などを返さないという文がありました。そのうち3校の文です。
- 「一度払い込んだ入学申込金、施設拡充費は返金いたしません。」
- 「※ 納入された学納金は返金不可」
- 「一旦納入された入学金(入学登録金)は返還いたしません。」
期限を過ぎたときの扱いを書く学校もありました。 「※入学申込金、施設拡充費を期限内に納入されない場合は、入学の権利を取り消します。」という文です。
専願で合格すると、入学手続きの期限は、公立高校の結果を待たずに来ます。期限と金額を知らないまま合格発表の日を迎えると、1週間ほどのうちにまとまったお金を用意することになります。出願の前に、募集要項の入学手続きの欄を読み、期限をカレンダーに書いてください。
入学金の締切を募集要項のどこで確かめるかは、入学金と手続きの締切(合格後すぐ出るお金)に詳しくまとめています。
専願で合格したあとに入学しなかった場合にどうなるかは、この記事では書きません。確認した募集要項に書かれていたのは、入学することが出願の条件だ、というところまでです。少しでも迷いがあるなら、出願の前に、併願で受けられるかを学校と中学校の先生に確かめてください。
ここまで読んで、「それは推薦と同じ話では」と思われた方もいるはずです。似ていますが、見る場所が違います。
専願と推薦の違い
専願と推薦は、見ている場所が違います。推薦は「推薦書が要るかどうか」、専願(単願)は「合格したら入学する約束があるかどうか」です。
確認した募集要項で見ると、こうなっていました。
- 推薦入試の受験資格に「在籍の中学校長より推薦を受けた者」とあり、出願書類に推薦書が入っている学校がありました。この入試には「合格した場合、本校に入学することを誓約する者」という条件も付いていました
- 同じ学校の、推薦書が要らない別の入試(単願方式)にも、入学の誓約は付いていました
- 「単願推薦」「併願推薦」のように、単願・併願という言葉が推薦と組み合わさっている学校もありました。提出書類には推薦書が入っています。この学校は、個別相談で推薦の要件を満たしていれば推薦書を渡す、と書いていました
つまり、入学の約束は、推薦かどうかとは別に付きます。お子さんが受ける入試について確かめるのは2つです。推薦書が要るか。合格したら入学することが条件か。どちらも募集要項の受験資格と出願書類の欄に書かれています。
推薦入試で何人が受けて何人が合格しているかの調べ方は、「高校の推薦入試で落ちる確率(応募人員と合格人員からの出し方)」で扱います。
専願か併願か、推薦かどうか。どれも、出願したあとでは変えにくいものです。
出願前に家庭で決めておく3つ
ここからは、出願の前に、ご家庭で決めておくことです。
確認した募集要項には、「単願から併願への変更はできません。」と書いている学校がありました。出願のあとに方式を変えられるかどうかは学校ごとですが、変えられない前提で準備しておくほうが安全です。決めておくことは3つあります。
1. 第一志望はどこか。
公立高校か、その私立高校か。専願(単願)は、その私立に進むと決めているご家庭の受け方です。公立高校が第一志望なら、私立は併願(学校によっては一般・前期などの区分)で受けます。
2. 専願で合格したら、その学校に入学すること。
入学を出願の条件として書く学校を専願で受けるなら、合格した時点で進学先が決まります。お子さん本人と保護者の両方が、それで納得しているか。片方だけが決めている状態で出願しないでください。
3. 入学手続きの期限と、納めたお金の扱い。
受ける学校ごとに、いつまでに、何を納めるのか。納めたお金は戻るのか。募集要項の入学手続きの欄から書き出します。

3つが決まったら、三者面談で中学校の先生に伝え、その学校の募集要項の読み方が合っているかを確かめてください。面談で何をどの順で聞くかは、三者面談(中学)で聞くことにまとめています。
受け方が決まったあとの「入試までの勉強」を確かめたいなら
専願でも併願でも、入試当日の検査は残ります。公立・私立を問わない高校入試対策の内容を、中学生コースのページにまとめています。
▶ 家庭教師の高校入試対策(中学生コース)を見る
併願校・滑り止めの組み方は別の記事で
この記事で扱ったのは、専願・単願という言葉の意味と、併願との違いまでです。
併願とは何か、併願優遇とは何か、滑り止めを何校受けるか、受験校をどう組むかは、私立高校の併願と滑り止めの選び方(受験校は「4層」で組む)にまとめています。公立高校が第一志望のご家庭は、そちらを先に読んでください。
よくある質問(FAQ)
専願と併願を、両方受けることはできますか?
学校と日程によります。確認した募集要項には、「単願方式:本校のみ受験」と書く学校がありました。この学校を単願で受けるなら、ほかの学校は受けられません。合格したら入学することを出願資格に書く学校を専願で受けるなら、合格した時点で進学先が決まります。A校を専願、B校を併願という受け方ができるかは、それぞれの学校の出願資格と、入試の日程で決まります。受ける学校の募集要項と、中学校の先生に確かめてください。
専願で不合格だったら、同じ学校の一般入試を受けられますか?
学校ごとです。確認した募集要項には、専願入試のほかに、前期・後期や一般入試といった別の区分を設けている学校がありました。ただし、専願で受けた人がその区分に出願できるかどうかは、開いた範囲では書かれていませんでした。出願の前に、募集要項で確かめるか、学校に問い合わせてください。専願で落ちたあとの動き方は、専願で落ちる確率を扱う別の記事にまとめます。
出願の手続きは、専願と併願で違いますか?
出願のときに選ぶ方式(専願・単願・併願など)の欄が、いちばん大事な違いです。願書の書き方、そろえる書類、ネット出願の進め方は、高校受験の願書の書き方と出願手続きにまとめています。
大学入試の専願・併願も、同じ意味ですか?
言葉の考え方は似ていますが、仕組みは別です。大学入試では、専願を条件にするかどうかが大学と入試方式ごとに決まっています。高校生向けの記事ですが、大学の公募推薦で併願できるかで整理しています。
専願入試は、誰でも受けられますか?
出願資格を満たしていれば受けられます。出願資格は学校ごとです。確認した募集要項には、専願入試の出願資格にも「生活態度が真面目で出席状況が良好である者。」という条件を置く学校や、専願の一部の方式で、中学校の先生を通した事前の相談を経ることを求める学校がありました。お子さんが資格を満たしているかは、募集要項の出願資格の欄と、中学校の先生で確かめてください。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|言葉より先に、募集要項の3つの欄を読む
- 専願は、その学校に進むことを前提に受ける方式。 併願は、ほかの学校も受けたうえで進学先を決められる方式です
- 単願は、確認した募集要項では、専願と求めていることが重なっていました。 呼び方と条件は学校ごとに違います
- 見る欄は3つ。 出願資格(合格したときの約束)、出願方式・入試区分(ほかの学校を受けられるか)、入学手続き(期限と、納めたお金)です
- 専願のほうが受かりやすいかは、学校ごと。 差をつけると募集要項に書く学校があります
- 出願のあとに方式を変えられない学校があります。 第一志望・入学の約束・手続きの期限の3つは、出願の前に決めます
今日することは1つです。お子さんが受ける私立高校の募集要項を開いて、3つの欄に印を付けてください。
受け方が決まったら、入試までの学習を無料体験で相談してみませんか
専願にするか併願にするかは、ご家庭と中学校の先生とで決めることです。決まったあとに残るのは、入試当日までの学習です。全国家庭教師協会の中学生コースでは、公立・私立を問わず、高校入試対策を行っています。
まずは無料体験で、お子さんのいまの成績と、受験校の予定をお聞かせください。入力は30秒、費用はかかりません。
話を聞いてみようと思われたときに
相談だけのご利用も歓迎です。
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。
あわせて読みたい
- 高校の志望校の決め方5ステップ|2027年入試改革でも後悔しない選び方【保護者向け】
- 私立高校の学費は3年間でいくら?無償化後に残る費用の内訳
- 公立高校と私立高校の違い|無償化後の費用・校風・入試を比べる



コメント