執筆・監修:小川 真理子先生(受験アドバイザー/指導歴15年)
「何から手をつければいいか」を、現実的な学習計画に翻訳するのが役目。
合格発表を最後まで見終えたあと、お子さんが黙って自分の部屋に入っていった。リビングに残って、スマートフォンに「中学受験 全落ち」と打ち込んだ——そんな小6の保護者の方に向けて書いています。まだ結果が出ていなくて、もしものときを先に知っておきたい方にも、読めるようにしてあります。
いちばん知りたいことから書きます。受けた学校がすべて不合格でも、4月に進む中学校はあります。 市区町村の教育委員会が、入学の2か月前までに、中学校の入学期日を保護者に通知することになっているからです(学校教育法施行令 第5条)。
ただ、進む先がもう決まっているご家庭と、教育委員会に確かめることが残っているご家庭があります。どちらに当たるかは、「進む先を確かめる」の章の表で分かります。
まず結論(一問一答)
Q. 受けた学校がすべて不合格だったら、進む中学はあるのですか?
A. あります。 市区町村の教育委員会は、入学の2か月前までに、保護者に中学校の入学期日を通知することになっています。中学校が2校以上ある市区町村では、その通知で入学する中学校も指定されます(学校教育法施行令 第5条)。私立や国立などの中学校に進むご家庭は、その学校の承諾を示す書面を添えて教育委員会に届け出ます(同 第9条)。この届出をしていなければ、通知された中学校が進む先です。通知書が見当たらないとき、届出を出したかどうか分からないときは、市区町村の教育委員会に確かめてください。
Q. 今日、子どもに何と言えばいいですか?
A. 一言で足ります。「最後の試験まで、受けきったね」。 原因の話はしません。先の話は、締切が迫っているものだけにします。言葉が出ないときは、無理に出さなくてかまいません。
Q. まだ受けられる学校はありますか?
A. 学校ごとに違い、年度でも変わります。 追加の募集をするかどうか、繰り上げ合格の連絡があるかどうかは、その学校が決めます。確かめる先は、その学校の公式サイトの入試情報と募集要項です。受けるかどうかを決める前に、締切だけ先に確かめてください。
Q. 中学受験で全落ちする割合は、どのくらいですか?
A. 受けた学校がすべて不合格だった人の数や割合を調べた公的な統計は、当協会が探した範囲では見当たりませんでした。 インターネット上には数字が出ていますが、出どころを確かめられなかったため、この記事には書きません。割合がいくつであっても、お子さんに4月から通う中学校があることは変わりません。
Q. 高校受験に向けて、いつから何をすればいいですか?
A. 入学前に、高校受験の勉強を始める必要はありません。 入学までは、休むことと、進む中学校の準備が先です。高校受験に向けた勉強の入り口は、中学校で最初の定期テストの日が分かってからで足ります。

受けた学校がすべて不合格だった日——保護者が最初にすること・しないこと
この日に保護者がすることは3つ、しないことも3つです。
すること
- 見ていた事実を、一言だけ言う。 「最後の試験まで、受けきったね」。返事は求めません。言葉はこのままでなくてかまいません。
- 食事と寝る時刻を、きのうと同じにする。 食べなくても席は用意します。寝る時刻になったら、保護者が先に灯りを落とします。
- 出願の締切だけを、大人が確かめる。 まだ出願できる学校を探す可能性が少しでもあるなら、締切が今日や明日のことがあります。受けるかどうかは、今日決めなくてかまいません。締切を知らないまま明日を迎えることだけ、避けてください。通っている塾があれば、結果の連絡は保護者が引き受け、そのときに聞くのが早道です。追加で受けることを考えていないご家庭は、この3つ目は飛ばしてください。
しないこと
- 原因の話をしない。
- 保護者の反省を、お子さんに聞かせない。 「ごめんね」「受けさせたのは私だから」と言うと、お子さんが保護者をなぐさめる側に回ることがあります。
- お子さん抜きで、次に受ける学校を決めない。 締切を確かめるのは、大人だけでできます。受けるかどうかは、本人に一度聞いてからです。

子どもにどう伝え、何を聞くか——小6の受け止め方
小6の受け止め方は、外から見ただけでは分かりません。平気そうに見えても、それで終わったと決めないでください。何日かたってから言葉になることもあります。
結果を保護者が先に知ったとき。 隠さず、その日のうちに、短く伝えます。「今日の学校も、合格ではなかったよ」。理由や感想を足しません。
聞くことは、1つだけです。 「学校で聞かれたら、なんて言うことにする?」。気持ちを聞く質問ではなく、明日の準備を一緒にする質問です。
答え方は、1つ決めておけば足ります。結果ではなく、進む先を言う答え方です。
「◯◯中に行くよ」
進む先がまだ決まっていなければ、「いま決めてるところ」で通せます。それ以上聞かれたら「家で話してるから」と切り上げてよい、と伝えてください。言葉はこのままでなくてかまいません。お子さんが言いやすい形に直してください。
次の日に学校を休みたいと言ったら、行くかどうかは朝に決めます。休むときの連絡は、保護者がしてください。
ここに書いたのは家庭での関わり方で、医学的な判断ではありません。食事や睡眠がとれない日が続くなど、心配になったときは、小学校の担任の先生や養護の先生に相談できます。
進む先を確かめる——通知された公立中学校と、まだ出願できる学校の確かめ方
公立中学校への進学——通知と届出のしくみ
決まりは、学校教育法施行令という政令に書かれています。
- 通知(第5条):市区町村の教育委員会は、保護者に対して、「翌学年の初めから二月前までに、小学校、中学校又は義務教育学校の入学期日を通知しなければならない。」とされています(「二月前」は2か月前の意味です)。中学校が2校以上ある市区町村では、この通知で、入学する中学校も指定されます。
- 届出(第9条):住んでいる市区町村が設置する中学校以外(私立・国立・都道府県立など)に進むときは、保護者が、進む先の承諾を示す書面を添えて、教育委員会に届け出ます。
- 届出をした場合(第5条第3項):届出のあったお子さんには、通知と指定の決まりは当てはまりません。
受けた学校がすべて不合格だったご家庭には、承諾を示す書面がありません。届出は出していないはずです。つまり、通知された中学校が、そのまま4月から通う学校です。確認した自治体の案内では、この通知は「就学通知書」と呼ばれていました。
では、手続きは要るのでしょうか。これは、通っている小学校と自治体によって変わります。2026年10月に確認した2つの自治体の保護者向けの案内には、次のように書かれていました。
- 「お子様が市立小学校に在学中で指定の市立中学校(同封の就学通知書記載の中学校)に進学される場合は、手続はございません。」
- 指定された中学校の変更を希望しない場合は、「教育委員会での手続きは特にありません。」
一方で、1つ目の自治体の同じ案内は、市立小学校以外の小学校(私立・国立・市外)に在学中で市立中学校に進む場合について、「進学先の指定中学校に連絡し、手続等を確認してください。」と書いています。
ご家庭がどれに当たるかを、次の表で確かめてください。
うちの場合、誰に何を確かめるか
| ご家庭の状況 | 確かめる相手 | すること |
|---|---|---|
| A 住んでいる市区町村の公立小学校に在学。通知書が手元にあり、届出は出していない | 通知書に書かれた中学校 | 通知書の中学校が進む先。入学説明会の日、制服・学用品の注文の締切、入学式の持ち物を聞く |
| B 通知書が見当たらない・入学の2か月前を過ぎても届かない | 市区町村の教育委員会 | 進む中学校と、通知書の扱いを聞く |
| C 私立・国立の小学校、または住んでいる市区町村の外の小学校に在学 | 通知書に書かれた中学校か、教育委員会 | 入学の手続きが要るかを聞く |
| D 合格した学校への届出を、すでに出した覚えがある | 市区町村の教育委員会 | 公立中学校に進むことを伝え、手続きを聞く |
| E 指定された中学校の変更や学校選択の申請をしている・入学までに引っ越す | 申請先の教育委員会 | 申請の結果と、入学する中学校を聞く |
| F 上のどれにも当たらない・どれに当たるか分からない | 市区町村の教育委員会 | 住所とお子さんの学年を伝え、進む中学校を聞く |
リードで「進む先がもう決まっているご家庭」と書いたのがA、「確かめることが残っているご家庭」がB〜Fです。
Aのご家庭も、進む中学校に1本電話をしてください。受験に集中しているあいだに、入学説明会や制服の注文の案内が過ぎていることがあります。通知書は、入学のときに学校へ出すよう案内している自治体もあります。捨てずに保管してください。
まだ出願できる学校があるかの確かめ方
追加の募集や繰り上げ合格は、する学校もあれば、しない学校もあります。同じ学校でも年度で変わります。確かめる場所は3つです。
- その学校の公式サイトの入試情報と募集要項。 追加の募集をするかどうか、繰り上げ合格の連絡のしかたが書かれていることがあります。書かれていなければ、学校に問い合わせます。呼び方は「追加募集」「二次募集」など、学校ごとです。
- 通っている塾。 その年の動きを知っていることがあります。
- 都道府県や私学団体の発表。 追加の募集の状況をまとめて公表している例があります。同じような発表があるかは、地域によります。
どこで見つけた情報も、最後はその学校の公式発表で確かめてください。先に見るのは締切です。
結果が出る前でも、確かめておける3つ
まだ結果が出ていないご家庭は、次の3つを、大人のあいだで済ませておけます。お子さんの前ではしません。
- 就学通知書が届いているか、どこに置いたかを確かめる。 どの中学校が書かれているかも見ておきます。まだ届いていないこともあります。送られる時期は自治体ごとに違い、入学の2か月前までに通知する決まりです。
- 受ける学校の募集要項で、繰り上げ合格と追加の募集についての書き方を読んでおく。
- すべての結果が出る日の夜に、誰が家にいて、夕食をどうするかを決めておく。
受験の途中で不合格が続いているご家庭も、同じ3つです。残りの試験が終わるまで、お子さんに「もしも」の話はしません。
「次」をいつ決めるか——追加で受けるか、公立中に進むか
順番を決めておきます。期限、本人の言葉、保護者の考え、の順です。
1. 期限を確かめる。 追加で受けるなら出願の締切、通知された中学校に進むなら説明会や制服の締切です。
2. 本人に、一度だけ聞く。 先に「どちらを選んでも、4月に通う中学校はあるよ」と伝えます。そのうえで、二択で聞きます。「もう1校受けられるとしたら、受けたい? ここで終わりにしたい?」。答えが「分からない」なら、期限の前の日まで待ちます。締切が今日や明日のときだけ、今日のうちに聞きます。
3. 保護者の考えは、最後に言う。 先に言うと、お子さんはそれに合わせます。
追加で受けるほうを選ぶときは、1つだけ確かめてください。通学にかかる時間と、卒業まで通う学校かどうかを、調べないまま出願することになっていないか。調べる時間が取れないなら、受けないという決め方もあります。
どちらを選んでも、保護者が決めたのではなく、家族で決めた形にします。
入学までの過ごし方と、中1の最初の学期
入学まで——することは3つです。
- 進む中学校に、電話を1本かける。 入学説明会の日、制服・学用品の注文の締切、入学式の持ち物を聞きます。締切を過ぎていたときの扱いも、その電話で分かります。
- 受験勉強の続きをさせない。 勉強は小学校の宿題だけに戻します。「せっかくここまでやったのだから」と問題集を続けると、お子さんの中で受験が終わりません。お子さんが自分から「やりたい」と言ったものがあれば、止めなくてかまいません。
- 卒業までの行事を、受験と切り離す。 卒業式や学校の行事は、受験の結果と関係のない時間です。「受験が終わったら」と先に延ばしていた約束があれば、ここで果たします。
休んだあと、春休みに中学校の勉強の入り口へどう触れるかは、中学受験をやめた後の学習計画(小6の秋から中1の一学期まで)にまとめています。途中で受験をやめたご家庭に向けて書いた計画ですが、春休みと中1の一学期の部分は同じように使えます。
中1の最初の定期テストまで——することは3つです。
- 入学後に配られる年間の行事予定で、最初の定期テストの日を確かめる。 時期と回数は学校ごとに違います。
- 受験で習った内容と重なる授業でも、ノートと提出物を最初から出す。 中学校では、定期テストや提出物をもとに通知表の評定がつきます。「知っているから」と手を抜いた提出物は、評定に響くことがあります。
- 最初のテストは、点数より先に、どの単元で落としたかを見る。 答案を一緒に見て、落とした単元を1つだけ言葉にします。
「受験勉強をしてきたから中学の勉強は大丈夫」と、お子さんに言わないでください。大丈夫かどうかは、最初のテストで分かります。
3年後の高校受験を、いつ話題にするか
保護者から持ち出すのは、中学校の生活が回り始めてからにしてください。 目安は、最初の定期テストが返ってきたあとです。お子さんのほうから先に言い出したら、そのときに聞きます。
結果が出た直後の「高校受験で取り返そう」は、励ましのつもりでも、お子さんには「同じことをもう一度やる」という予告に聞こえることがあります。
保護者ご自身のこと
していただきたいことは2つです。
1. 「誰のせいか」の話に、期限を置く。 家族の大人のあいだで、原因の話は入学式が終わってから、と先に決めます。期限があると、今日は言わずに済みます。
2. 合格の報告が流れてくる場所から、数日離れる。 保護者どうしの連絡やSNSは、見ない日があってかまいません。
原因を一つに決められる材料は、今日の時点ではそろっていません。眠れない日、食べられない日が続くときは、保護者ご自身も、かかりつけの医師などに相談してください。ここに書いたのは、医学的な判断ではありません。
よくある質問(FAQ)
きょうだいや祖父母には、どう伝えればいいですか?
事実と進む先だけを、短く伝えます。「受けた学校は合格ではなかった。4月からは◯◯中に通う」。祖父母には、本人の前で結果の話をしないでほしいことを、先に一言添えてください。下のきょうだいの受験の話には、つなげません。
同じ小学校の友だちに、結果を知られてしまいますか?
知られるかどうかは、保護者には決められません。「◯◯中に行くよ」と進む先を言う答え方を、お子さんと1つ決めておきます。学校でつらいことがあったら、担任の先生に伝えてください。
受験をやめさせておけばよかったのでしょうか?
いまの時点では、答えを出せません。合否は、いくつものことが重なって決まるからです。この問いを考えるのは、入学式が終わってからにしてください。いま考えるのは、進む先と、入学までの過ごし方だけです。
公立中学校で、やっていけるでしょうか?
やっていけるかどうかを、入学前に言い切ることはできません。お子さんと学校によって違うからです。確かめられるのは入学後で、見る点は3つです。朝、起きて学校に行けているか。授業で習ったことを家で話すか。最初の定期テストで、どの単元を落としたか。気になることがあれば、中学校の担任の先生に早めに伝えてください。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|進む中学はあります。最初にする1つは、時期で違います
- 受けた学校がすべて不合格でも、4月に進む中学校はあります。私立などへ進む届出をしていなければ、教育委員会から通知された中学校です
- 手続きが要るかどうかは、通っている小学校と自治体で変わります。確かめる相手は、表のA〜Fで分かります
- まだ出願できる学校があるかは、学校ごと・年度ごとです。先に見るのは締切です
- 決める順番は、期限、本人の言葉、保護者の考えです
- 高校受験の話は、中学校の生活が回り始めてからにします
今日、最初にすることは、いまの時期によって違います。当てはまる行を1つだけ見てください。
| いまの時期 | 今日、最初にする1つ |
|---|---|
| 結果がそろう前(受験の途中を含む) | 就学通知書が届いているか、どこに置いたかを確かめる(届く時期は自治体ごと) |
| 受けた学校がすべて不合格だった日 | 「最後の試験まで、受けきったね」と一言だけ言う |
| その翌日から入学まで | 表のA〜Fで確かめる相手を見つけ、電話を1本かける |
| 中学校に入ってから | 年間の行事予定で、次の定期テストの日を確かめる |
もう済んでいることなら、今日は何もしなくてかまいません。
お子さんと、中学校の勉強の話ができるようになったら
ここまでの内容は、ご家庭だけで進められます。進む先の確認にも、入学までの過ごし方にも、外の力は要りません。
中学校の勉強の進め方を誰かに見てほしくなったとき——それは今日でなくてかまいません——1対1の家庭教師という方法もあります。全国家庭教師協会の小学生コースには中学進学準備の指導が、中学生コースには定期テスト対策の指導があります。
話を聞いてみようと思われたときに
相談だけのご利用も歓迎です。今日でなくてかまいません。



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