私立高校の学費は3年間でいくら?無償化後に残る費用の内訳

私立高校の学費は3年間でいくら?無償化後に残る費用の内訳 高校受験

執筆・監修:小川 真理子先生(受験アドバイザー/指導歴15年・志望校選び/学習計画/進路相談)
「何から手をつければいいか」を、現実的な学習計画に翻訳するのが役目。

中3の二学期。三者面談で「私立の併願校はどうしますか」と聞かれて、その場では答えられずに持ち帰った——このページは、そんなご家庭に向けて書いています。

先に結論から。文部科学省の最新の調査では、高校3年間で保護者が支出した学習費の全国平均は、私立が352万1,361円、公立が178万4,895円です。入学の年に学校へ納める額の全国平均は78万460円。2026年4月からは就学支援金の所得制限がなくなり、私立の支給上限は年45万7,200円になりました。

ただ、ここで1つ引っかかることがあります。「私立高校の授業料の平均」として、45万7,331円と27万9,170円という2つの数字が世の中に流通しています。どちらも文部科学省の調査結果です。この2つの違いがわからないまま総額を見積もると、想定と実際がずれます。まず、そこから説明します。

まず結論(一問一答)

Q. 3年間でいくらかかりますか?
A. 全国平均で私立352万1,361円/公立178万4,895円です(文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」訂正版)。塾や習い事などの学校外の費用も含んだ金額です。

Q. 入学の年に学校へ納めるのはいくらですか?
A. 全国平均で78万460円。入学料16万5,898円・授業料45万7,331円・施設整備費等15万7,232円を合わせた額です(同「令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果」)。

Q. 無償化で授業料はゼロになりますか?
A. なるとは限りません。 就学支援金は「授業料を限度として」支給され、私立の上限は年45万7,200円。授業料が上限を超える学校では、差額が残ります。

Q. 授業料以外も無償化の対象ですか?
A. 対象外です。 入学料・施設整備費等・修学旅行費・教科外活動費・通学関係費などは、これまでどおり必要になります。

Q. 支援金は家庭に振り込まれますか?
A. 振り込まれません。学校が代わりに受け取ります(代理受領)。手元の現金が増えるわけではありません。

「私立高校の授業料の平均」には2つの数字がある

文部科学省は、私立高校の授業料について性格の違う2つの調査を出しています。ここを分けておかないと、総額の見積もりが合いません。

① 学校が定めている額(いわば定価)
「令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果」。私立高校(全日制)の授業料の全国平均は45万7,331円(年額)です。募集要項に載っているのは、こちらの系統の数字です。

② 保護者が実際に支出した額
「令和5年度子供の学習費調査」。私立高校(全日制)の授業料は27万9,170円(年額)。就学支援金が差し引かれたあとに、家計から出ていった額です。

同じ「平均」でも、①は学校が請求する額、②は家庭が払った額です。この記事では、募集要項と突き合わせるときは①、家計の見通しを立てるときは②という使い分けで進めます。

なお、就学支援金の私立の支給上限は年45万7,200円(2026年4月1日施行・所得制限なし)です。①の全国平均45万7,331円と並べると、ほぼ同じ水準にあることがわかります。ただしこれはあくまで全国平均で、授業料は学校ごとに異なります。 ご検討中の学校が平均を上回るなら、その分は差額として残ります。

では、入学の年に実際に学校へ納めるのはいくらか。ここにも全国平均が出ています。

入学の年に学校へ納めるお金――全国平均は78万460円

私立高校の初年度に学校へ納めるお金の内訳

文部科学省「令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果」(令和6年12月24日公表)による、私立高校(全日制)の初年度納付金の全国平均です。

項目 全国平均(年額)
入学料 165,898円
授業料 457,331円
施設整備費等 157,232円
合計 780,460円

※各項目は平均額のため、単純に足した額とは1円の差があります(公表値は780,460円)。

前回調査(令和4年度)は75万8,881円でしたので、2.8%増という変化です。

この3項目のうち、就学支援金の対象は授業料だけです。入学料と施設整備費等は対象の外にあります。

そして、ここに制服代・教科書代・通学定期代は含まれていません。 それらは学校に納めるお金ではなく、別に用意するお金だからです。「初年度納付金」という言葉が指しているのは、あくまで学校の口座に振り込む分だけ、と考えてください。

2年目以降はどうなるかというと、入学料はなくなり、授業料と施設整備費等が続く形になります。つまり入学の年がいちばん大きく、そのあとは少し軽くなる。ただし2年目・3年目には修学旅行の積立や教科外活動の費用が入ってくるので、単純に入学料の分だけ減るわけではありません。

ここまでは「学校が定めている額」の話です。ただし初年度だけを見ていると、3年間の姿を外します。次は、保護者が実際にいくら支出したかを見ます。

3年間で実際に支出した額――私立352万円・公立178万円

こちらは文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」から。保護者が実際に支出した額の全国平均です。

高校3年間の学習費総額 令和3年度 令和5年度
公立(全日制) 1,544,900円 1,784,895円
私立(全日制) 3,156,929円 3,521,361円

1年あたりでは、公立59万6,954円/私立117万9,261円。公立と私立の比率は1対2.0です。

この総額は2つに分かれます。

  • 学校教育費(学校に関わる費用):公立35万1,523円/私立83万2,650円
  • 学校外活動費(塾・通信教育・習い事など):公立24万5,431円/私立34万6,611円

私立では、総額の70.6%が学校教育費です。公立は58.9%なので、私立のほうが「学校に払う分」の比重が大きくなります。

逆に言うと、公立を選んだご家庭は、支出の4割強が学校の外に向かっているということでもあります。学校外活動費には塾・通信教育・習い事・スポーツクラブなどが含まれるので、「公立に行けば教育費が半分で済む」とは限りません。総額で見ると1対2.0でも、その中身の構成は公私でかなり違う、というのが実際のところです。

中学のうちに同じ費目(塾・通信教育など)をどう見積もっておくかは、中学生の塾代の相場と、家計の中での配分の決め方で扱っています。

もうひとつ、この数字を読むときの前提を1つだけ。私立高校(全日制)に通う生徒は、全体の35.5%です(令和5年度学校基本統計)。つまり私立の平均は、3人に1人が経験している金額であって、特殊なケースの数字ではありません。

なお、この調査は1年間・子ども1人あたりの支出を集計したものです。きょうだいが同時に高校に通う時期がある場合は、単純にその人数分が重なります。3年間の総額を見るときは、ご家庭の進学の時期が重なるかどうかもあわせて確認しておくと、見通しが立てやすくなります。

※この調査は令和6年12月25日に公表されたあと、数値の訂正があり、令和8年1月16日に訂正版が公表されています。本記事は訂正版の数値を使っています。ネット上には訂正前の数値を載せた記事も残っているため、他の記事と数字が合わない場合はこの点をご確認ください。
※令和3年度以前とは調査項目の定義が拡大しているため、学校教育費の単純な比較はできません。

お子さんが受ける学校が平均より授業料の高い学校なら、この差はもう少し広がります。

私立の学校教育費83万2,650円。このうち、就学支援金が届くのはどこまででしょうか。

授業料以外は何にいくらか――学校教育費の8項目

学校教育費の内訳です(令和5年度・訂正版/年額)。

項目 公立 私立
入学金等 18,027円 80,290円
授業料 45,272円 279,170円
修学旅行費等 36,500円 62,778円
学校納付金等 35,630円 127,346円
図書・学用品・実習材料費等 62,284円 73,312円
教科外活動費 49,499円 63,440円
通学関係費 97,634円 136,790円
その他 6,677円 9,524円
合計 351,523円 832,650円

私立でいちばん大きいのは授業料(33.5%)、次いで通学関係費(16.4%)と学校納付金等(15.3%)。公立でいちばん大きいのは通学関係費(27.8%)です。公立は授業料が就学支援金でまかなわれるため、通学にかかる分が相対的に前に出てきます。

用語は調査の定義に沿っています。

  • 学校納付金等=施設整備費等・学級会費・その他の学校納付金・PTA会費・後援会等会費・寄附金の合計
  • 通学関係費=通学費・制服・通学用品費の合計。制服代はここに入っています
  • 修学旅行費等=修学旅行・遠足・見学・移動教室のために支払った経費。個人的に要した経費は含みません

この8項目のうち1つには、実際には通わなかった学校に納めたお金が含まれています。文部科学省の注記に書かれているのですが、後ほど触れます。

就学支援金が届くのは授業料だけ

就学支援金が届く範囲と、対象外として残る費目

高等学校等就学支援金は、授業料を支援する制度です。文部科学省は「授業料が下記に達しない場合には、授業料を限度として就学支援金を支給します」としています。上限額がそのまま配られるのではなく、授業料の実額が上限を下回ればその実額まで、上回れば差額は自己負担です。

区分 支給上限(年額)
私立(全日制) 45万7,200円
公立(全日制) 11万8,800円
国立 11万5,200円
私立(通信制) 33万7,200円

2026年4月1日施行。所得制限はありません。

もう1つ、見落とされやすい点があります。この支援金は設置者(学校)が代理受領します。保護者の口座に45万円が振り込まれ、そこから授業料を払うのではありません。手元のお金が増えるわけではない、という意味です。ですから「支援金で入学金や制服代をまかなう」という組み立てはできません。

対象の外に残るのは、入学料・施設整備費等・修学旅行費等・教科外活動費・図書・学用品費・通学関係費(制服、通学定期)です。

制度そのものの仕組み(申請の方法、経過措置、上限額の考え方)は、私立高校の無償化のデメリットと負担額の出し方でまとめています。

ここまでは全国どこでも同じ話です。ここから先は、お住まいの都道府県で変わります。

併願で「入学しなかった学校」に納めたお金も、この統計に入っている

先ほどの表にあった「入学金等」。文部科学省はこの項目をこう定義しています。

「入学金等」とは、入学にあたって要した諸費用であり、併願等で実際には入学しなかった学校へ納付した金額を含む

つまり、私立の入学金等8万290円という平均には、受験料と、押さえで納めて結果的に進学しなかった学校への納付分が混ざっています。併願校を2校にするか1校にするかは、この項目に直接効いてきます。

いま併願校を2校で迷っているご家庭は、ここがそのまま自分の話になります。ただし、いつまでに、いくら納める必要があるか(延納や返還の扱いを含めて)は学校ごとに違います。 金額と期限は、必ず志望校の募集要項で確認してください。

ここで押さえておきたいのは、この費用は「進学した学校」の学費とは別枠で発生するということです。3年間の総額を計算するとき、多くのご家庭は進学先の学費だけを積み上げます。ところが実際には、受験の段階で、進学しない学校にもお金が動くことがある。統計の平均値にそれが含まれているのは、それが珍しいことではないからです。

避けられる費用というより、あらかじめ見込んでおく費用と考えてください。募集要項で「延納の申請ができるか」「公立の合格発表後まで待てるか」を確認しておくと、納める必要があるかどうかがその場で分かります。

なお、併願校を何校にするか・どう組むかは、私立高校の併願はどう決める?で扱っています。

併願校の入学金を、募集要項のどの項目で確かめ、いつまでに用意するかは、併願校の入学金は、いつまでにいくら必要かで手順にしています。

都道府県で変わる部分と、変わらない部分

国の高等学校等就学支援金は全国一律です。私立45万7,200円・公立11万8,800円という上限額も、所得制限がないことも、どこに住んでいても同じです。

変わるのは、その上に都道府県が独自に置いている私学助成です。上乗せの有無・金額・対象の条件は都道府県ごとに違い、年度ごとに見直されます。この記事では個別の都道府県の助成額は扱いません。年度で変わる数字を記事に固定すると、読んだ時点で古くなるからです。

お住まいの都道府県の私学助成をご確認ください。 学校の入試説明会でも、その学校に通う場合に使える制度をまとめて案内しています。

では、面談までに何を確認しておけばよいか。5つに絞りました。

併願校を決める前に、募集要項で確認しておく5項目

ここから先は、今週の面談までにできることです。全国平均は目安であり、実際の額は志望校の募集要項にしか書かれていません。 平均とご家庭の実額の差は、次の5項目に出ます。

  1. 授業料の年額 —— 45万7,200円(就学支援金の上限)を上回るか下回るか。上回る分は自己負担として残ります
  2. 入学料と施設整備費等の額、納入の期限 —— 就学支援金の対象外です
  3. 入学金の延納・返還の扱い —— 併願する場合はここが効きます
  4. 年間の諸費(学校納付金等)と、修学旅行の行き先・積立額 —— 3年分の合計で見てください
  5. 通学経路と定期代 —— 学校に納めるお金ではありませんが、3年間では小さくない項目です

この5つが埋まれば、平均値ではなくご家庭の実額で3年間の見通しが立ちます。三者面談で何を聞くかは、三者面談(中学)で聞くこと10選も参考にしてください。

3年間の見通しの立て方(この5項目からの組み立て)

集めた数字は、次の順で足すと整理できます。

  1. 入学の年にまとまって出るもの = 入学料 + 施設整備費等 + 制服・指定用品 + 教科書・教材(1回分)
  2. 毎年かかるもの =(授業料 − 就学支援金の支給額)+ 学校納付金等 + 通学定期代 → これを3倍
  3. 学年の途中で出るもの = 修学旅行の積立 + 教科外活動の費用

1と2と3を足せば、それがご家庭の3年間の概算です。全国平均と比べて多いか少ないかを気にする必要はありません。 見るべきなのは、その金額を用意できる形になっているかどうかだけです。

なお、この計算では塾や通信教育などの学校外の費用は含めていません。 学習費調査で見たとおり、私立でも年34万6,611円が学校の外に向かっています。3年間の資金計画を立てるときは、その分も別に見ておいてください。

金額の見通しが立ったあと、多くのご家庭が次に詰まるのは、別のところです。

よくある質問

Q. 私立高校の学費は3年間でいくらですか?
全国平均で352万1,361円です(文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」訂正版)。学校教育費と学校外活動費の合計で、公立は178万4,895円です。

Q. 2026年から私立高校の授業料は無償になりますか?
授業料を限度として、年45万7,200円まで支給されます。所得制限はありません。ただし上限を超える分は自己負担です。制度の詳細は無償化の仕組みの記事で扱っています。

Q. 入学金は無償化の対象ですか?
対象外です。入学料の全国平均は16万5,898円(令和6年度調査)で、就学支援金では支えられません。

Q. 就学支援金はいつ振り込まれますか?
保護者には振り込まれません。学校が代理受領して授業料に充てます。申請は学校を経由して行います。

Q. 制服や修学旅行費はどのくらいかかりますか?
全国平均では、通学関係費(通学費・制服・通学用品費)が私立で年13万6,790円、修学旅行費等が年6万2,778円です。学校によって差があります。

Q. 私立と公立で3年間の差はどのくらいですか?
学習費総額で1対2.0です。ただし学校・地域・通学経路で変わりますので、募集要項での確認が前提になります。

まとめ|3年間の総額は「授業料の外側」で決まる

  • 「私立高校の授業料の平均」には2つある。学校が定める額(45万7,331円)と、保護者が実際に支出した額(27万9,170円)。募集要項と突き合わせるときは前者、家計の見通しには後者
  • 就学支援金が届くのは授業料だけ。入学料・施設整備費等・修学旅行費等・教科外活動費・通学関係費は、対象外として残る
  • 全国平均はあくまで目安。3年間の実額は、志望校の募集要項の5項目で決まる

進学先の費用が見えてくると、次に決めることが1つ残ります。その学校が、いまの成績で射程に入っているかどうかです。ここが決まらないと、費用の計算をやり直すことになります。

志望校そのものの選び方は高校の志望校の決め方5ステップで扱っています。

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