執筆・監修:佐伯 悠介先生(学習コーチ/指導歴8年/専門:学習習慣づくり・不登校/先取り支援)
勉強の前に「机に向かえる仕組み」から。つまずいた子の伴走が専門。
宿題のプリントを15分で終えて、すぐ遊びに行く小2の子。塾のない日は、ほとんど机に向かわない小5の子。「よその子は、毎日どれくらい勉強しているの?」と気になっている保護者の方へ。
先に結論です。全国の公的なデータがあるのは小学6年生だけです。令和8年度の全国学力・学習状況調査では、平日の勉強時間は「30分以上1時間未満」28.9%と「1時間以上2時間未満」28.3%がほぼ並び、2つで57.2%です(合計は当協会の計算)。小1〜小5の学年ごとの公的な数字は、当協会が調べた範囲では見つかりませんでした。
ただし、この数字とお子さんの時間を、そのまま比べないでください。何を「勉強時間」に数えるかをそろえないと、足りているのに足りないと思い込むことも、その逆もあります。そろえ方は後半で。よく聞く「学年×10分」の出どころも、確かめた範囲でお伝えします。
まず結論(一問一答)
Q. 小学生は、1日にどれくらい勉強していますか?
A. 全国の公的なデータは小学6年生だけです。令和8年度の全国学力・学習状況調査では、平日(月〜金)の授業以外の勉強時間は「30分以上1時間未満」28.9%、「1時間以上2時間未満」28.3%でした。塾・家庭教師・インターネット学習の時間を含む数字です(国立教育政策研究所の質問調査報告書による)。
Q. 「学年×10分」は本当ですか?
A. 全国調査から出た数字ではありません。アメリカで宿題の量の目安として紹介され、国内でも公立小学校の手引きが使っていますが、出どころを一次資料で確かめることはできませんでした。
Q. 低学年は、何分くらいが目安ですか?
A. 学年ごとの公的な数字はありません。お子さんの学校が家庭学習の手引きなどで目安を示していれば、それがいちばん近い基準です。
Q. 勉強時間が長いほど、成績はいいのですか?
A. 同じ調査では、普段から勉強している児童のほうが平均正答率が高い「傾向」が報告されています。時間を延ばせば成績が上がる、という因果を示したものではありません。
Q. 何分やらせるかを決める前に、何をすればいいですか?
A. 1週間、何に何分かかっているかを、宿題・塾など・自分で選んだ勉強の3つに分けて記録します。
1つ目の答えの数字には、読み飛ばされやすい中身があります。
全国学力・学習状況調査(令和8年度)で見る小6の勉強時間
平日の分布——塾・家庭教師の時間も含む
この調査は、テストと一緒に子どもへの質問もしています。勉強時間の質問は、学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)1日当たりどれくらい勉強するか。かっこ書きで、学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に教わっている時間、インターネットを活用して学ぶ時間も含むとされています。
| 平日の勉強時間(小6・令和8年度) | 割合 |
|---|---|
| 3時間以上 | 10.8% |
| 2時間以上3時間未満 | 11.2% |
| 1時間以上2時間未満 | 28.3% |
| 30分以上1時間未満 | 28.9% |
| 30分未満 | 14.4% |
| 全くしない | 5.7% |
出典:国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書 質問調査【速報版】」紙面p.25(PDF p.38)。6つの合計は99.3%で、残りの0.7%は表に出ていない回答(無回答など)です(当協会の計算)。
上の3つを合わせた「1時間以上」は50.3%で、ほぼ半分です(当協会の計算)。この調査は区分ごとの割合で、平均の分数は出していません。
令和6・7年度と比べると
同じページには前の2年度の値も載っています。「1時間以上」の合計は令和6年度54.9%、令和7年度54.3%、令和8年度50.3%。「30分未満」と「全くしない」の合計は18.2%、18.4%、20.1%です(いずれも当協会の計算)。報告書はこの「1時間以上」の割合について、前回(令和7年度)との差を5ポイント未満の「概ね横ばい」としています。一方、9回前の平成28年度との比較には「10ポイント以上の減少」の記号がついています。

この数字から言えないこと
- 小1〜小5の時間:調査の対象は小6(と中3)だけです
- 休日の時間:休日の質問もありますが、区分ごとの値をこの記事では確かめきれていないため、載せていません
- 何分やれば足りるか:実態を聞いた調査で、目安を示したものではありません
では、小1〜小5の数字はどこにあるのでしょうか。
小1〜小5の数字はどこにあるか——民間調査を読むときの注意
小学校の学年ごとの家庭学習の時間を載せた公的な統計は、当協会が調べた範囲では見つかりませんでした。手がかりは民間の研究機関の調査です。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査2022」(2022年7〜9月・インターネット調査・有効回答13,398組)では、学校がある日の学校外の勉強時間(学校の宿題+宿題以外の勉強+学習塾)が、小4〜6生で平均78分でした。小4〜6生は子ども本人の回答です(3,664組)。小1〜3生は保護者が答えていて、平均は48分でした(4,716組)。
同じ調査の2025年の結果では、2015年からの11年で、学校外の学習時間が小4〜6生で1日17分、小1〜3生(保護者の回答)で9分減ったと発表されています(2026年6月30日発表)。
民間の数字を読むときは、次の3つを確かめます。
- 誰が答えたか:子ども本人か保護者か。塾の合格者や通信教材の会員など、答えた人が限られる調査は、全体の目安になりません
- 何を数えたか:宿題だけか、塾まで含むか
- いつの調査か:上の11年の変化のように、年が違えば数字も動きます
2つ目の「何を数えたか」は、よく聞くあの目安にも関わります。
「学年×10分」はどこから来た目安か
「学年×10分」「学年×10分+10分」という目安は、検索するとよく目にします。当協会で出どころをたどった結果は、次のとおりです。
- アメリカ:公共ラジオNPRの記事(2015年)が、宿題の研究者ハリス・クーパー氏の紹介する「10分ルール」として、学年に10を掛ける目安を伝えています。対象は宿題の量です。ただし、研究者の論文などで式そのものが書かれていることは確かめられませんでした
- 日本:北海道苫小牧市と大阪府八尾市の公立小学校が、保護者向けの手引きで「学年×10分(+10分)」を目安として載せています。どちらにも出典は書かれていません
- 文部科学省:当協会が確かめた範囲では、文部科学省の資料に「学年×10分」は見当たりませんでした
つまり「学年×10分」は、全国調査から出た数字でも、出どころを一次資料で確かめられる基準でもない、広く使われている通説です。
使うなら、もとの意味どおり宿題の量の目安として。塾の時間まで含む全国の数字と並べて「足りない」「多すぎる」を決めるものではありません。お子さんの学校が手引きで目安を出しているなら、そちらを先に見てください。
ここまでの3つの数字は、じつは数えているものがそれぞれ違います。
時間の長さより先に、家庭で確かめること——何が「勉強時間」に入っているか
冒頭で「そろえ方は後半で」と書いたのは、このことです。
| 数字 | 数えているもの |
|---|---|
| 全国学力・学習状況調査(小6) | 授業以外の勉強すべて(塾・家庭教師・インターネット学習を含む) |
| 親子調査2022(小1〜3生 平均48分・小4〜6生 平均78分) | 学校の宿題+宿題以外の勉強+学習塾 |
| 学年×10分 | もとは宿題の量の目安 |
お子さんの「30分」が宿題だけなら、塾まで含む全国の数字より短く見えて当然です。反対に、塾の日を入れて「毎日2時間」と思っていても、家で自分から机に向かう時間は0分かもしれません。比べる前に、中身を分けて数えます。
宿題・塾など・自分で選んだ勉強を分けて数える
- 宿題:学校から出たもの(自主学習ノートのように、中身を本人が選ぶものでも、学校から出ていればここ)
- 塾など:塾・家庭教師・通信教材・親が用意したドリルなど、本人以外が中身を決めている勉強
- 自分で選んだ勉強:宿題以外で、本人が中身を決めた勉強(苦手の練習や、宿題でない自主学習など)
1週間、記録をとる
平日5日と休日2日、寝る前に「今日は何を何分やった?」と聞いて、下の表に書きます。高学年なら本人が書いてもかまいません。宿題に時間がかかった日は、メモ欄に教科と単元を一言。この表は、いまの中身を知るための記録です。分の数字を毎日の目標にすると、時間を埋めること自体が目的になりやすいので、目標の分数は書き込みません。

毎日の時刻や場所がまだ決まっていないなら、その決め方は勉強しない小学生への関わり方(時刻と場所を先に決める)に、低学年の例でまとめています。
記録から見えること
1週間分がそろったら、次の3つを見ます。
- 合計の列:小6なら、表の「平日の合計」を5で割ると、全国の表と並べて見られます。ほかの学年は全国の数字ではなく、翌週の記録と比べます
- 宿題の列:同じくらいの量の宿題に毎日長くかかっているなら、時間を足す前に、メモ欄の教科と単元を見ます。どこかで止まっているサインかもしれません
- 自分で選んだ勉強の列:合計が長くても、ここが1週間ずっと0分なら、家で自分から机に向かう流れはまだこれからです。最初の一歩は、この列に短い時間でも1回書き込めることです
「何時間やらせればいいか」は、この3つを見てから決めても遅くありません。数字の正解を探すより、1週間の中身を知るほうが、次にすることがはっきりします。
記録をとっても、机に向かう流れが続かないなら
「自分で選んだ勉強」の列が空いたまま、宿題も始めるまでに時間がかかる——そんな週が続くなら、小学生コースの「勉強習慣づけ」を見てみてください。当協会は、この時期に身につけたいのは勉強量よりも、机に向かう習慣と、わからないところを自分で見つける力だと考えています。
▶ 小学生コースの「勉強習慣づけ」を見る
中学受験をする場合の勉強時間は、別の考え方になる
中学受験をするご家庭では、通う塾の授業日数や宿題の量で、家庭の時間の使い方が大きく変わります。この記事の全国の数字は受験をしない子も含むため、受験準備の目安にはなりません。目的別の始め方は小学生の塾はいつから(中学受験を目的にする場合)にまとめています。
中学に上がると、勉強時間はどう変わるか
全国学力・学習状況調査は、中学3年生にも同じ質問をしています。中学生の分布と見方は中学生の平均勉強時間(全国学力・学習状況調査の中3の分布)で解説しています(記事は令和7年度の結果をもとにしています)。
よくある質問(FAQ)
宿題だけで十分ですか?
宿題は、学校が授業に合わせて出しているものです。まずは毎日終わることが土台で、低学年のうちは宿題の分で足ります(親が問題を足すと、次の日から始めにくくなることがあります)。宿題が毎日の流れで終わるようになって、それでも「自分で選んだ勉強」の列が1週間ずっと0分なら、本人が選んだものを短い時間から1つ入れてみてください。
休日は、どれくらい勉強すればいいですか?
同じ全国調査に休日の質問もありますが、区分ごとの値はこの記事では確かめきれていないため、載せていません。休日は習い事や家族の予定で大きく変わるので、1週間の合計で見るほうが実態に合います。
毎日の勉強に、何をやればいいですか?
宿題のほかに「自分で選んだ勉強」を入れるなら、自主学習のネタから選ぶ方法があります。教科ごとのアイデアは小学生の自主学習のネタ一覧(教科別のアイデアとノートの書き方)にまとめています。
いつまで親が隣で見ているべきですか?
学年で一律には決まりません。「隣に座る→近くにいる→任せて確かめる」と少しずつ手を離す考え方を、上で紹介した「勉強しない小学生」の記事に、低学年・中学年・高学年に分けて書いています。
宿題に時間がかかりすぎます。
量より先に、どこで止まっているかを見ます。記録のメモ欄で教科と単元を確かめ、算数なら小4でつまずきやすい算数の単元と、家庭での確かめ方の手順で、1単元ずつ確かめられます。
家庭教師の利用についての疑問は、よくある質問にまとめています。
まとめ|何分やるかを決める前に、1週間の中身を分けて数える
- 全国の公的なデータは小6だけ。令和8年度は平日「30分以上1時間未満」28.9%、「1時間以上2時間未満」28.3%(塾・家庭教師などの時間を含む)
- 小1〜小5の学年ごとの公的な数字は、当協会が調べた範囲では見つかっていない。民間調査は、誰が答え、何を数えたかを確かめて読む
- 「学年×10分」は、出どころを一次資料で確かめられない通説。使うなら宿題の量の目安として
- 勉強時間は、宿題・塾など・自分で選んだ勉強に分けて、1週間で見る
今日できることは1つです。今夜から1週間、図解②の表に3つの列を分けて書いてみてください。
お子さんの1週間の記録を手に、無料体験で相談してみませんか
記録の表で、どの列が空いているか、どの教科で時間がかかっているかが見えたら、それが相談の出発点です。小学生コースは完全マンツーマンで、お子さんが使っている教科書に沿って進め、つまずきの原因になっている単元までさかのぼって指導します。
まずは無料体験で、いまの学習の様子をご相談ください。入力は30秒、費用はかかりません。相談だけのご利用も歓迎です。
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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