執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。
宿題の割合の文章題で、お子さんの鉛筆が止まっている。横から「40÷50でしょ」と言いかけて、「なんで50でわるの?」と聞かれ、うまく答えられなかった――そんな小学5年生の保護者の方に向けて書いています。
先に答えを書きます。割合が難しいのは、計算よりも前に、問題文の2つの数のうちどちらを「もとにする量」にするかを、自分で決めなければならないからです。ですから教えるときは、公式より先に、問題文の「もとにする量」に印を付けるところから始めます。教える順番は、4年生の「何倍」→もとにする量を選ぶ→小数のかけ算・わり算→百分率に直す、の4段です。
ただし、「『〜の』の前が、もとにする量」とだけ教えると、逆のほうを選んでしまう問題文があります。どんな文かは、見つけ方の章でお伝えします。
なお、単元の内容と学年は、文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」で確かめたものだけを書いています。
まず結論(一問一答)
Q. 小5の割合がわからないとき、何から教えればいいですか?
A. 公式より先に、問題文の中の「もとにする量」に印を付けるところからです。 式は「もとにする量×割合=くらべる量」の1つで足ります。式が立たないときは、どの数がもとにする量かが決まっていないことを、先に疑います。
Q. 割合は、何年生で習いますか?
A. 4年生と5年生です。 学習指導要領の解説では、4年生で「割合が2,3,4などの整数で表される簡単な場合」を、5年生で割合が小数で表される場合と百分率を扱うとされています(歩合にも触れます)。何月に習うかは、教科書と学校によって違います。
Q. 公式を覚えるための図で教えてもいいですか?
A. 使ってかまいません。 3つの言葉を円の中に並べて、かけ算かわり算かを思い出す図のことです。ただ、あの図が教えてくれるのは、3つの数が決まったあとの計算です。どの数がもとにする量かは、図に入れる前に自分で決めることになります。
Q. どこでつまずいているのか、分かりません。
A. 4段に分けて、1段1問で確かめます。 4年生の「何倍」、もとにする量を選ぶ、小数のかけ算・わり算、百分率に直す、の4段です。後半に確かめシートを置きました。
Q. 教科書の言葉が、私が習ったものと違います。
A. 教科書によって、言い方が違うからです。 教科書会社2社が公開している年間指導計画(1社は前の版)で確かめたところ、「もとにする量」は2社で共通でした。相手の言葉は「くらべる量」「比べられる量」と分かれていました。お子さんの教科書の言い方に合わせてください。この記事では「くらべる量」と書きます。
——では、そもそも割合とは、何を表している数なのでしょうか。
割合は何を表す数か——4年生の「何倍」の続き
割合は、5年生で急に出てくる考え方ではありません。4年生までに習った「何倍」の続きです。
例題1(4年生の「何倍」)
赤いテープは20cm、白いテープは5cmです。赤いテープの長さは、白いテープの長さの何倍ですか。
式:20÷5=4 答え:4倍
このとき、白いテープの5cmを「1」とみて、赤いテープがそのいくつ分かを数えています。「1」とみるほうがもとにする量(白いテープの5cm)、くらべるほうがくらべる量(赤いテープの20cm)、何倍かを表す数の4が割合です。
5年生の割合で広がるのは、この「4」が、0.8や1.25のような小数の場合です(小数で表す倍そのものは、4年生の小数の学習で出てきます)。文部科学省の学習指導要領解説(算数編)でも、5年生は「割合が小数で表される場合に考察の対象を広げ」る学年とされています。解説の言葉では、もとにする量は「基準量」、くらべる量は「比較量」です。
言葉の式にすると、こうなります。
もとにする量 × 割合 = くらべる量(例題1なら、5×4=20)
覚える式は、これ1つで足ります。分からない数を□にして、この式に入れます。割合を求めるなら 5×□=20 で、□=20÷5。わり算の式は、ここから出てきます。
始める前に、お子さんの教科書(手元になければノート)で、割合のページを開いてください。「もとにする量」と、その相手の言葉が、どう書かれているか。保護者の方が別の言葉で教えると、お子さんは学校と家で2つの言葉を使い分けることになります。
お子さんが例題1で止まるなら、5年生の問題を増やす前に、4年生の「何倍」に戻ります。戻る場所は、後半の4段のところで。
——では、小数や%が出てくる5年生の問題で、どうやって「もとにする量」を見つけるのか。ここが、この記事の中心です。
問題文から「もとにする量」を見つける
学習指導要領の解説には、「割合を示す表現の中から,基準量や比較量を明確にすることも必要となる。」と書かれています。問題文の言い方がいろいろあるので、どれがもとにする量かを読み取ること自体が、学ぶ内容に入っているのです。
印は3つ——丸・線・四角の順に付ける
- 丸:割合を表している数か言葉に、丸を付けます。「◯倍」「◯%」「◯割」と、「何倍」「何%」です。「引き」「増し」が付いていたら、そこまで丸に入れます
- 線:丸のすぐ前にある「〜の」の「〜」に、線を引きます。これが、もとにする量です(「〜をもとにすると」「〜をもとにした」と書いてあれば、その「〜」です)
- 四角:残ったほうの量を、四角で囲みます。これが、くらべる量です
印が付いたら、「(四角)は、(線)の(丸)」の1文に言い直します。
例題2
青いリボンは40cm、黄色いリボンは50cmです。黄色いリボンの長さは、青いリボンの長さの何倍ですか。
丸=「何倍」/線=「青いリボンの長さ」(40cm)/四角=「黄色いリボンの長さ」(50cm)
式:40×□=50 □=50÷40=1.25 答え:1.25倍例題3(聞き方を逆にした問題)
青いリボンは40cm、黄色いリボンは50cmです。青いリボンの長さは、黄色いリボンの長さの何倍ですか。
丸=「何倍」/線=「黄色いリボンの長さ」(50cm)/四角=「青いリボンの長さ」(40cm)
式:50×□=40 □=40÷50=0.8 答え:0.8倍
同じ2本のリボンでも、聞き方が変わると、もとにする量が入れ替わります。答えも、1.25倍と0.8倍で別の数です。
この見つけ方で誤りやすい3つの型
冒頭で触れた「逆のほうを選んでしまう問題文」は、1つ目です。
① 「〜の割合」と書いてあるとき。 「本を借りた人の割合を求めましょう」の「本を借りた人」は、もとにする量ではなく、くらべる量です。丸を付けるのは「割合」という言葉ではなく、倍・%・割の付いた数か、「何倍」「何%」です。問題文に「〜の何倍」「〜の何%」が見当たらないときは、何をもとにしてくらべているかを確かめて、「本を借りた人は、クラス全体の何倍ですか」のように「〜は、〜の何倍」の文に言い直してから、印を付けます。
② 小さいほうの数や、先に出てきた数を、もとにする量だと思ってしまうとき。 例題3のように、もとにする量のほうが大きく、答えが1より小さくなる問題があります。大きい数を小さい数でわると、1.25倍になってしまいます。決め手は、数の大きさや順番ではなく、丸のすぐ前の「〜の」です。
③ 「◯%引き」「◯%増し」のとき。 もとにする量の見つけ方は同じですが、丸を付けた数を、そのまま式に入れることはできません。「20%引き」なら、代金はもとにする量の80%です(後の例題7)。「20%増し」なら120%です。また、「AはBより20%多い」のように「より」で書かれた文では、「より」の前のBがもとにする量で、AはBの120%です。「より」の型は、この記事の例題では扱いません。
——印が付いたら、次は式です。式を立てる前に1本の線の図にかくと、かけ算かわり算かで迷いにくくなります。
線の図にかく——言葉・図・式をつなぐ
いちばん大事な決まりは1つです。もとにする量の真下に「1」を書く。
- 線を1本引きます。線の上に量(cm・L・人など)を、線の下に割合を書きます
- 左はしは、上も下も0です
- 線の上にもとにする量を書き、その真下に「1」を書きます
- くらべる量と、その割合を、上下にそろえて書きます。割合が1より小さければ「1」の左、大きければ右です
- 分からない数は、□にします
例題4(くらべる量を求める)
大きいバケツには8L入ります。小さいバケツに入る量は、大きいバケツに入る量の0.6倍です。小さいバケツには何L入りますか。
丸=「0.6倍」/線=「大きいバケツに入る量」(8L)/四角=「小さいバケツに入る量」(□L)
式:8×0.6=□ 答え:4.8L例題5(もとにする量を求める)
今年とれたじゃがいもは60kgで、これは、去年とれた量の1.5倍です。去年とれた量は何kgですか。
丸=「1.5倍」/線=「去年とれた量」(□kg)/四角=「今年とれたじゃがいも」(60kg)
式:□×1.5=60 □=60÷1.5=40 答え:40kg

例題5のように、線を引いた「もとにする量」のほうが、分からない数になることもあります。それでも、真下に「1」を書くことは変わりません。60×1.5 としてしまうのは、もとにする量に印の線を引かずに、出てきた数をそのままかけたときです。
学習指導要領の解説も、割合については「言葉と図や式を関連付けるような活動を取り入れることが大切である」としています。図は、きれいにかけなくてかまいません。上下がそろっていれば足ります。
——ここまでの割合は「◯倍」でした。同じ割合が、%や割で書かれることがあります。
百分率と歩合——もとにする量を100や10とみた言い方
百分率(%)は、もとにする量を100とみた割合の表し方です。小数で表した割合に100をかけると、百分率になります。歩合は、もとにする量を10とみて、「割」で表します。
| 小数(もとにする量を1とみる) | 百分率 | 歩合 |
|---|---|---|
| 1 | 100% | 10割 |
| 0.1 | 10% | 1割 |
| 0.01 | 1% | 1分 |
1.25倍は125%、0.8倍は80%です(例題2・例題3の答え)。式に入れるときは、%や割を小数に直してから入れます。
例題6(割合を求めて、百分率で表す)
5年2組は30人です。このうち、今週、図書室で本を借りた人は18人でした。本を借りた人は、クラス全体の何%ですか。
丸=「何%」/線=「クラス全体」(5年2組の30人)/四角=「本を借りた人」(18人)
式:30×□=18 □=18÷30=0.6 0.6を百分率に直して、答え:60%例題7(「◯%引き」)
定価800円の筆箱を、定価の20%引きで買いました。代金は何円ですか。
丸=「20%引き」/線=「定価」(800円)/四角=「代金」(□円)
20%引きなので、代金は定価の80%(100%−20%)。小数に直すと0.8
式:800×0.8=□ 答え:640円
例題7で 800×0.2=160 と計算すると、出てくるのは「安くなった分」で、代金ではありません。「3割引」も同じで、代金はもとにする量の7割(0.7)です。
——ここまでが、教える順番です。では、お子さんは、このうちのどこで止まっているのか。1問ずつ確かめる方法があります。
つまずく場所を4段で確かめる

4段は、この記事の章の順番と同じです。教えるときも、確かめるときも、上から順に進めます。1回に出すのは1段1問。答えは、保護者の方だけが見てください。
| 段 | 確かめる1問 | 答え | ×だったら戻る場所 |
|---|---|---|---|
| 1 4年生の「何倍」 | 大きい水そうには12L、小さい水そうには4Lの水が入ります。大きい水そうに入る水の量は、小さい水そうに入る水の量の何倍ですか。 | 3倍(12÷4) | 4年生の教科書の目次で、「倍」や「割合」という言葉の入った単元 |
| 2 もとにする量を選ぶ | 5年生は80人、6年生は100人です。5年生の人数は、6年生の人数の何倍ですか。もとにする量は、どちらですか。 | もとにする量は6年生の人数(100人)。80÷100=0.8倍 | この記事の例題2と例題3で、丸・線・四角を付け直す |
| 3 小数のかけ算・わり算 | 18÷0.6 | 30(確かめ:0.6×30=18) | 5年生の教科書の、小数のかけ算・わり算の単元 |
| 4 百分率に直す | 0.07を百分率で表しましょう。 | 7% | 小数・百分率・歩合の表の「1=100%」 |
答え方にも合図が出ます。段2で 100÷80=1.25 と答えたら、大きい数を小さい数でわっています。段4で 70% と答えたら、100をかけるところで位がずれています。
段1で止まったら、5年生の割合の問題は、いったん置いてください。 「何倍」の意味があいまいなまま%の問題を増やしても、同じところで止まります。単元の名前は教科書によって違うので、目次で探します。
段3で、5年生の単元に戻っても止まるときは、4年生の小数とわり算の筆算まで戻ります。確かめ方は小4算数でつまずきやすい6単元と、家庭での確かめ方(1単元1問のチェック)にまとめています。
4段とも解けるのに、テストの文章題で止まるときは、「誤りやすい3つの型」のどれかに当たっていないかを見ます。それでもはっきりしなければ、答案を持って担任の先生に聞くのが早道です。
同じ段で何度も止まるときは、家庭の外の手を考える目安の1つになります。考え方は小学生の塾はいつから(授業のつまずきは、学年より「どの単元か」で決まる)に整理しています。
——止まっている場所が分かったら、あとは教え方です。保護者が口にするのは、答えでも式でもありません。
4段のどこで止まっているかが、分かりにくいときは
1問ずつ確かめても、止まっている場所がはっきりしないことがあります。小学生コースの「学校授業サポート」は、お子さまの使用している教科書に沿って、授業で理解が不十分だった部分を、完全マンツーマンの個別指導でサポートする内容です。
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教えるときの声かけ——答えを言わずに聞く3つの問い
横で見ていると、つい式を言いたくなります。けれども、保護者が先に式を言うと、その1問は解けても、お子さんがどこで止まっていたのかが見えなくなります。聞くのは、3つの印と同じ3つです。
- 「割合を表している数は、どれ?」(丸)
- 「それは、何の◯倍って書いてある?」(線=もとにする量)
- 「じゃあ、くらべているのは、どれ?」(四角=くらべる量)
例題4なら、こうなります(そのまま写さず、ふだんの言葉に合わせて使ってください)。
保護者:「この問題で、割合を表している数は、どれ?」
お子さん:「0.6倍」
保護者:「それは、何の0.6倍って書いてある?」
お子さん:「大きいバケツに入る量の」
保護者:「じゃあ、くらべているのは、どれ?」
お子さん:「小さいバケツに入る量」
保護者:「いまの3つを、線の図にかいてみよう」
答えが違っていても、その場で直さなくてかまいません。「もう一度、丸のすぐ前を読んでみて」と、問題文に戻します。3つのうちどの問いで止まったかを、メモしておいてください。
よくある質問(FAQ)
割合の式が、3つとも覚えられません。
3つ覚えなくてかまいません。「もとにする量×割合=くらべる量」の1つを、分からない数を□にして書けば、残りの2つはわり算で出せます(例題2・例題5)。式を覚えることより、どの数がもとにする量かを決めることに、時間を使ってください。
割引や食塩水の問題は、どう教えますか?
割引は例題7の型です。「◯%引き」「◯割引」は、代金がもとにする量の何%(何割)にあたるかに直してから、式に入れます。食塩水の問題は、この記事の例題には入れていません。学校で習った範囲かどうかを、教科書で確かめてからにしてください。
割合は、6年生や中学校の勉強につながりますか?
つながります。学習指導要領の解説は、5年生の割合で身につける力が、6年生の比や、中学校の数学・理科の学習に生かされるとしています。いま「もとにする量」を確かめておく意味は、ここにあります。
毎日、どれくらい練習させればいいですか?
問題の数より、1問ごとに3つの印を付けているかを見てください。印を付けて1文に言い直すところまでなら、1日1問でも練習になります。家庭での勉強時間そのものの考え方は、別の記事「小学生の勉強時間はどれくらい?全国調査(小6)の実態」で扱います。
親の私も、割合がよく分かりません。
保護者の方が説明できなくてもかまいません。必要なのは、3つの問いを順に聞くことと、お子さんの教科書の例題を一緒に読むことです。教科書の例題には、その教科書の言葉がそのまま載っています。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|公式より先に、「もとにする量」に印を付ける
- 割合は、4年生の「何倍」の続きです。 5年生では、その数が小数の場合を扱い、百分率でも表します
- 式は「もとにする量×割合=くらべる量」の1つ。 分からない数を□にして入れます
- もとにする量は、丸・線・四角の印で見つけます。 丸(◯倍・◯%)のすぐ前の「〜の」が、もとにする量です
- 誤りやすい型は3つ。 「〜の割合」、数の大きさや順番、「◯%引き」です
- 教える順番も、確かめる順番も、4段です。 4年生の「何倍」→もとにする量を選ぶ→小数のかけ算・わり算→百分率に直す
- 言葉は、お子さんの教科書に合わせます。 「くらべる量」「比べられる量」など、教科書によって違います
今日することは1つです。確かめシートの段1の1問を、お子さんに出してみてください。
割合のどこで止まっているか、無料体験で相談してみませんか
もとにする量に印を付けることも、4段の1問を出すことも、ご家庭でできます。難しいのは、同じ段で何度も止まるときに、前の学年のどこまで戻るかを決めることです。全国家庭教師協会の小学生コースでは、お子さまの使用している教科書に沿って、授業で理解が不十分だった部分を、完全マンツーマンの個別指導でサポートしています。
まずは無料体験で、お子さんがいま止まっている問題をお聞かせください。入力は30秒、費用はかかりません。相談だけのご利用も歓迎です。
話を聞いてみようと思われたときに
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。


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