執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。
4年生になったその年の秋、テストの答案を広げたら、今までは見なかった×がいくつも並んでいた——そんな夜に心当たりのある、小学4年生の保護者の方へ。
その×の理由は、お子さんのやる気や性格より先に、算数そのものの中にあることがあります。 4年生の算数は、3年生までとは違う「考え方」が一度に増える学年だからです。
この記事では、4年生の算数でつまずきやすい6つの単元と、家庭での確かめ方をお伝えします。テストが返ってくるのを待たなくても、今夜のうちに分かる方法があります。 使うのは、単元ごとに「たった1問」です。後半でご紹介します。
もうひとつ。×がついた単元が見つかったとき、つい最初にやりたくなることが、実は遠回りになることがあります。そして、そのままにしておいた場合に5年生の算数で何が起きるのかも、正直にお伝えします。
なお、この記事に出てくる単元の名前と学年は、文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」と一つずつ照らし合わせたものだけを載せています。
まず結論(一問一答)
Q. 「小4の壁」とは何ですか?
A. 4年生で算数の中身が変わり、つまずきが出やすくなることを指す呼び方です。決まった定義のある用語ではありません。
Q. なぜ4年生なのですか?
A. 算数が、目に見えるもの・数えられるものから、頭の中で考えるものへ変わるからです。面積は道具で測らずに計算で求め、角の大きさは「回転の大きさ」として考えます。
Q. どの単元でつまずきやすいのですか?
A. この記事では、わり算の筆算・小数・分数・がい数・角の大きさ・面積の6つを取り上げます。
Q. 親は何をすればいいですか?
A. 単元ごとに1問だけ解いてもらい、解き方を説明してもらいます。 ×だったら、前の学年の教科書で、同じ名前の単元を確かめます。 親が解き方を教え込む必要はありません。
——ただ、「小4の壁」というこの言葉、実はもう1つの意味で使われていることをご存じでしょうか。
小4の壁とは——「学童の壁」と「学習の壁」。この記事は学習の壁を扱う
「小4の壁」は、主に2つの意味で使われています。
1つは、学童保育をはじめ、放課後の預け先が変わる話です(この記事では扱いません。お住まいの自治体や学校に確かめてください)。
もう1つが、勉強、とくに算数の中身が4年生で変わる話です。この記事が扱うのは、この話だけです。
どちらも決まった定義のある言葉ではなく、使う人によって指す範囲が違います。ですからこの記事では、算数の単元の名前で話を進めます。
——では、なぜ算数だけが、4年生でここまで急に変わるのでしょうか。
なぜ小4でつまずくのか——算数が「目に見えるもの」から「頭の中で考えるもの」に変わる
文部科学省の学習指導要領解説(算数編)で4年生の目標を読むと、1つの学年で学ぶことが、まとめて並んでいます。小数と分数の意味と表し方、平面図形と立体図形、面積、角の大きさ、折れ線グラフ——。
増えるのは量だけではありません。考え方の種類が変わります。 解説の記述から、3つ挙げます。
① 量を「測る」から「計算で求める」へ
3年生までに習う長さや重さは、ものさしやはかりのような道具で測ってきました。ところが4年生の面積は、解説にもあるとおり、道具で測るのではなく、辺の長さを使って計算で求める量です。
② 形を「見る」から「回転の大きさ」で考えるへ
角の大きさは、1本の辺をくるりと回したときの「回転の大きさ」として考えます。見た目の辺の長さとは関係がありません。
③ 「倍」の意味が広がる
3年生までの「倍」は、「いくつ分」でした。4年生では、もとにする大きさを1としたとき、いくつに当たるかという意味に広がり、2.5倍のように小数で表す倍も出てきます。
どれも、手で数えたり、見比べたりするだけでは答えが出ません。頭の中で「1つ分」や「位」を決めてから考える必要があります。
この時期を「9歳の壁」と呼ぶこともありますが、そう呼ばれることがある、という程度の言葉です。大事なのは、4年生でつまずくのはお子さんだけの問題とは限らないということ。学年の中身そのものが変わるからです。
——では、実際にどの単元でつまずきやすいのか、6つに絞って見ていきます。
小4算数でつまずきやすい6単元

4年生の算数には、学習指導要領解説で数えると、4つの領域に16の項目があります。ここで取り上げる6つは、計算と図形の中心になる単元で、解説にも、子どもが間違えやすい点や、教えるときに気をつける点が具体的に書かれているものです。
習う時期は教科書や学校によって前後するので、お子さんの教科書の目次で確かめてください。
わり算の筆算:答えをどの位に書くかで手が止まる
4年生では、「2けた÷1けた」「3けた÷1けた」から、「2けたでわるわり算」まで、筆算で解くようになります。
こんな様子はありませんか。
- 商(答え)を書く位置がずれる(十の位に書くはずの数を、一の位に書いてしまう)
- あまりが、わる数と同じか、それより大きいまま終わっている
- 2けたでわるわり算で、商の見当がつかず、何度も消して書き直している
2けたでわるときは、商の見当を付けて、合わなければ直す手順が入ります(解説でも、この直し方を丁寧に扱うよう書かれています)。書き直しが多いだけなら心配はいりません。見当の付け方そのものが分からずに止まっているなら、確かめどころです。
小数:小数点の位置をそろえずに計算する
4年生では、0.01や0.001の位まで広げた小数のしくみと、小数第二位までの小数のたし算・ひき算、さらに「小数×整数」「小数÷整数」を習います。
こんな様子はありませんか。
- 3.7+2.48 のような計算で、数字の右端をそろえて書いてしまう
- 答えの小数点を、どこに打てばいいか迷う
1つ目は、解説にも「位を揃えるのではなく,末尾を揃えて計算する誤答が多くみられる」と書かれている間違いです。小数点を基準に位をそろえ、空いている位を0と考える——ここが分かっているかが分かれ目です。
分数(同分母のたし算・ひき算):分母どうしも足してしまう
4年生の分数は、分母が同じ分数どうしのたし算・ひき算です。答えが1より大きくなる計算や、仮分数・帯分数も出てきます。
こんな様子はありませんか。
- 3/5+4/5(5分の3+5分の4)を、7/10 と答える
- 仮分数と帯分数を行ったり来たりすると、大きさが分からなくなる
解説でも、3/5+4/5 を図にかいたときに 7/10 と考えてしまう子がいることが取り上げられています。「1/5 がいくつ分か」で数えられているかどうかが、分かれ目です。
なお、分母の違う分数のたし算・ひき算(通分)や約分は、5年生の内容です。4年生の分数でつまずいているときに、先に約分や通分を練習する必要はありません。
がい数:どの位を見て四捨五入するのかを取り違える
4年生では、「約何万何千」のようながい数と四捨五入、「以上・以下・未満」という言葉、計算の結果の見積りを習います。
こんな様子はありませんか。
- 「百の位までのがい数に」と言われて、一の位の数字を見てしまう
- がい数にしたら、もとの数と大きさがまるで変わってしまう(4320 が 43 になる、など)
- 「以下」と「未満」の違いがあいまい
2つ目は、解説でも配慮点として挙げられています。四捨五入の手順より先に、「どの位の数字を見るのか」が分かっているかを見ます。
角の大きさ:分度器の目盛りの読み方で迷う
4年生では、角の大きさを「回転の大きさ」として考え、「度(°)」という単位と分度器を使って、角を測ったりかいたりします。直角は90度、半回転は180度、1回転は360度です。
こんな様子はありませんか。
- 辺が長くかかれた角のほうを、大きい角だと思う
- 分度器の2つの目盛り(内側・外側)のどちらを読むかで迷う
- 180度より大きい角になると、手が止まる
1つ目は、解説で「辺の長さの大小と角の大きさの大小とを混同して捉えることがある」とされている点です。分度器も、慣れるまで時間がかかることが前提になっています。慣れの問題なのか、「回転の大きさ」という考え方の問題なのかを分けて見ます。
面積:たてとよこを足してしまう/周りの長さと混ざる
4年生では、㎠・㎡・㎢という面積の単位と、「長方形の面積=たて×よこ」の公式、それを組み合わせたL字型などの形の面積を習います。
こんな様子はありませんか。
- たてとよこを、かけずに足してしまう
- 周りの長さを聞かれているのに面積を、面積を聞かれているのに周りの長さを答える
- 答えに単位(㎠)を書かない、または「cm」と書く
2つ目のうち、周りの長さを聞かれているのに面積を答える誤りは、国際的な調査の結果として解説にも取り上げられています。解説は、周りの長さと面積の混同を防ぐことも大切だとしています。「1㎠の正方形がいくつ分か」という面積の意味に立っているかどうかが、分かれ目です。
——単元が分かったところで、次に知りたいのは「うちの子は大丈夫か」です。それを確かめる方法があります。
家庭での確かめ方——1単元1問のチェック

テストの点数は、いくつもの単元が混ざった結果です。しかも、返ってくるまで待たなければいけません。単元の名前を決めて1問だけ出せば、今夜のうちに、どの単元で止まっているかが分かります。
6単元の1問は、次のとおりです(答えは保護者の方だけが見てください)。
- わり算の筆算:86÷3 を筆算で(答え:28あまり2)
- 小数:2.6+1.35 を筆算で(答え:3.95)
- 分数:4/7+5/7(答え:9/7、または1と2/7)
- がい数:3748 を四捨五入して、百の位までのがい数に(答え:3700)
- 角の大きさ:分度器で210度の角をかく(見るのは、かく前に「180度より30度大きい」または「360度より150度小さい」と言えるか)
- 面積:たて4cm・よこ7cmの長方形の面積(答え:28㎠)
出し方のルールは4つです。
- 1回に出すのは1単元1問まで。 6問を一度に並べると、テストと同じになります
- 時間を計らない。 速さではなく、どこで止まるかを見ます
- その場で○×を言わない。 解き終わったら、「どうやって解いたか、教えて」と聞きます
- 答えが合っていても、説明で止まったら、その単元は「確かめどころ」として印をつけておきます
答え方にも合図が出ます。小数で1.61なら右端をそろえている、分数で9/14なら分母どうしも足している、がい数で3800なら一の位の8を見ている、面積で22なら周りの長さと混ざっています。
この1問は、お子さんを試すためのものではありません。どの単元で止まっているかという「場所」を知るためのものです。
——もし×がついた単元があったとき、次にすることが大切です。
×だったとき——前の学年の教科書で、同じ名前の単元を確かめる
×がついた単元が見つかると、つい、その単元の問題をたくさん解かせたくなります。 リードでお伝えした「遠回り」は、これです。
4年生の単元の多くは、3年生で習ったことの上に組まれています。たとえば解説では、3年生で習う「九九を1回使うわり算」は、あとで習う商が2けたのわり算や小数のわり算のためにも必要だ、とされています。土台のほうで止まっているなら、4年生の問題をいくら繰り返しても、同じところで止まります。
ですから、先に確かめるのは前の学年の教科書です。手順は3つです。
- ×だった単元の名前を、4年生の教科書の目次で確かめる
- 3年生の教科書の目次から、同じ名前(または名前の一部)が入った単元を探し、はじめの例題を1〜2問やってもらう
- 解けたら4年生の単元に戻る。解けなければ、その3年生の単元の最初のページから確かめる
6単元のうち次の3つは、3年生のどの内容を土台にしているかを、学習指導要領解説で照らし合わせられました。
- わり算の筆算 → 3年生のわり算(九九を1回使って答えを出すわり算、あまりのあるわり算)
- 小数 → 3年生の小数(小数第一位までの小数と、そのたし算・ひき算)
- 分数 → 3年生の分数(1より小さい分数と、答えが1までの簡単なたし算・ひき算)
残りの3つ——がい数・角の大きさ・面積——は、解説で見ると4年生で初めて独立した項目になる内容で、3年生に同じ名前の項目はありません。 なお、角は3年生でも三角形の学習の中で「角の形」として習います。3年生の教科書の目次に「角」の入った単元があっても、角の大きさを「度」で測るのは4年生からです。この3つは、4年生の教科書の、その単元の最初のページ(四捨五入のしかた/1回転は360度/1㎠の正方形がいくつ分か)に戻って確かめます。
——確かめて終わりではありません。そのままにしておくとどうなるのか、知っておいてほしいことがあります。
そのままにすると、5年生以降の算数でどこに響くか
ここは、はっきり書きます。4年生の6単元は、5年生の算数の中に、そのまま部品として入っています。 学習指導要領解説で照らし合わせられたつながりだけを挙げます。
- わり算の筆算 → 5年生の小数のわり算。 5年生の 7.2÷2.4 は、両方を10倍して 72÷24 という「2けたでわるわり算」に直して計算します
- 小数 → 5年生の小数のかけ算・わり算。 4年生の「小数×整数」「小数÷整数」が、「×小数」「÷小数」に広がります
- 分数 → 5年生の、分母の違う分数のたし算・ひき算。 通分して分母をそろえたあとは、4年生の同分母の計算そのものです
- がい数 → 4年生のうちに、2けたでわるわり算の「商の見当」に使います。 そのわり算が、5年生の小数のわり算につながります
- 角の大きさ → 5年生の合同な図形。 「対応する角の大きさが等しい」ことを使います
- 面積 → 5年生の三角形・平行四辺形・ひし形・台形の面積。 どれも、4年生の長方形・正方形の面積の求め方にもどして考えます
部品が欠けたまま5年生に進むと、新しい単元の説明を聞いているその時間に、4年生の計算で手が止まることになります。本人は「5年生の算数が分からない」と感じますが、止まっている場所は4年生です。原因が3年生の内容にまで及んでいれば、確かめる範囲は3学年分に広がります。
4年生のうちに見つければ、確かめる範囲は1〜2学年分で済みます。差がつくのは、見つける時期です。
——では、ここまでを踏まえて、家庭で保護者ができることは何でしょうか。
保護者ができること——教えるより「説明させる」
×を見つけると、隣に座って解き方を教えたくなります。ただ、保護者が先に解き方を言うと、その場では解けるようになっても、お子さんがどこで止まっていたのかが見えなくなります。
家庭でしてほしいのは、「教える」ではなく「説明させる」です。たとえば、こんな声かけです(そのまま写さず、ふだんの言葉に合わせて使ってください)。
保護者:「この問題、どうやって解いたか、説明してくれる?」
お子さん:(説明を始める)
保護者:「なるほど、そこまでは分かってるんだね。じゃあ、この次はどうするの?」
お子さんが説明に詰まったところが、そのままつまずいている場所です。 正解か不正解かを先に言わず、お子さんの言葉で最後まで話してもらうことを優先してください。
詰まったところは、その場で直さず、単元名と一緒にメモしておくだけで足ります。そのメモが、前の学年の教科書のどこを開くかを決める材料になります。
なお、そもそも机に向かうところで止まっている場合は、単元より前に別の理由があることがあります。学年ごとの原因は、勉強しない小学生の、学年別の原因にまとめています。
何度説明させても同じところで止まるときは、家庭だけで埋めるのが難しい合図でもあります。外の手を借りるかどうか、借りるならいつからかは、小学生の塾はいつから(目的別の開始時期)で整理しています。
説明させても止まったままのときは
家庭で1問チェックを試しても、どこで止まっているのか分かりにくいことがあります。外の目で見てもらうのも一つの方法です。
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よくある質問(FAQ)
「小4の壁」とは、結局どういう意味ですか?
放課後の預け先が変わる話と、4年生で算数などの中身が変わる話の、主に2つの意味で使われます。この記事は後者を扱っています。決まった定義のある用語ではないので、どちらの話かを先に確かめると混乱しません。
「小4の壁」は、4年生の何月から何月まで続きますか?
期間を区切ることはできません。 つまずきやすい単元は1年間に散らばっていて、しかも教科書会社によって並び順が違い、学校によっても前後するからです。お子さんの教科書の目次で、6つの単元がどこにあるかを確かめてください。それぞれの単元を習った直後が、1問チェックのしどきです。
テストの点数が良ければ、単元は理解できていると考えていいですか?
点数だけでは判断しにくいことがあります。テストは複数の単元が混ざった結果で、答えが合っていても、解き方の説明で止まることがあるからです。単元の名前を決めて1問出し、説明までできるかを見るほうが具体的です。
前の学年の教科書が手元にありません。どうすればいいですか?
まず担任の先生に相談してください。「この単元は、3年生のどの単元で習った内容ですか」と聞けば、同じ名前の単元がどこにあるかを教えてもらえることがあります。学校にある教科書を見せてもらえる場合もあります。
中学の数学が心配です。今のうちに何をすればいいですか?
今は、4年生の6単元を1問ずつ確かめることが先です。この記事では、小学校の算数が中学のどこにつながるかは扱っていません。中学に上がってからつまずきやすい単元については、中学数学のつまずきやすい単元(中学生向けの記事)にまとめています。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|今日できるのは1問だけでいい
- 「小4の壁」の算数の中身は、単元の名前で言えます。 わり算の筆算・小数・分数・がい数・角の大きさ・面積の6つです
- 確かめ方は1単元1問。 答えより、どこで止まるか、説明できるかを見ます
- ×だったら、前の学年の教科書で同じ名前の単元を確かめます。 同じ名前が無いがい数・角の大きさ・面積は、4年生の単元の最初のページへ
- 6単元は、5年生の算数に部品として入っています。 見つけるなら、4年生のうちです
- 保護者は、教えるより説明させる。 詰まったところが、つまずいている場所です
6つを一度に確かめる必要はありません。今日できるのは、1問だけでいいのです。お子さんが最近習った単元の1問から、始めてみてください。
1問チェックだけで終わらせたくないときに
単元ごとのつまずきは、見つけたあと、どう埋めていくかで差が出ます。全国家庭教師協会の指導現場では、お子さん一人ひとりの答案を見て、つまずいている単元を確かめています。1対1なら、お子さんの答案と、前の学年の教科書を並べて見るところから始められます。
話を聞いてみようと思われたときに
相談だけのご利用も歓迎です。
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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