執筆・監修:中村 文香先生(国語・社会指導/指導歴9年)
「なんとなく」で解いていた読解を、根拠を持って解く読み方へ変えるのが専門。
一問一答を渡せば、用語はほとんど答えられる。年号も言える。それなのに、模試の社会だけは返ってくるたびに、同じような場所に×が並んでいる——中3のお子さんの答案を前にした、お母さん・お父さんに向けて書いています。
先に結論をお伝えします。高校入試の社会で出るのは、地理・歴史・公民の3分野です。ここは、どの都道府県でもおおむね変わりません。変わるのは「聞かれ方」のほうです。同じ「選挙」でも、用語を答えるだけの問題と、グラフを読んで説明する問題と、理由を一文で書く問題では、必要な作業がまったく違います。社会の点が動くのは、覚える量を増やしたときではなく、どの聞かれ方で落ちているかが分かったときです。
この記事では、①「よく出る」が都道府県で違う理由、②地理・歴史・公民それぞれの頻出テーマと、その出方、③4つの出題形式での分け方、④時事問題の扱い、⑤保護者の関わり方を、順にお伝えします。社会に詳しくなくても大丈夫です。答案を形式で仕分ける作業は、社会に詳しくない人ほど落ち着いてできます。
ひとつだけ先に。「社会は暗記科目だから、点が取りやすい」——多くのご家庭がそう考えています。ところが、公表されているある調査を見ると、この前提はそのままでは成り立ちません。 何が起きているのかは、記事の中ほどでお伝えします。そしてもうひとつ。社会には、多くの記事が同じ順序を書いているのに、その出どころがどこにも書かれていないという話があります。こちらは、次の見出しですぐに。
- まず結論|5つの質問に先にお答えします
- 「よく出る問題」は都道府県で違う――過去問3年分でテーマの偏りを数える3ステップ
- 地理の頻出テーマと、その出方――資料がなければ問題が始まらない
- 歴史の頻出テーマと、その出方――順序と「なぜ」で問われる
- 公民の頻出テーマと、その出方――「仕組み」を図と結びつけて問われる
- 出題形式が社会の得点を決める――用語・資料の読み取り・記述・年代整序
- 「暗記で解ける問題」と「考察が要る問題」の見分け方
- 時事問題は「今年のニュース」を追わない
- 「覚えたのに解けない」が続くときは、覚える量では戻らない
- 保護者ができること――社会は、親が手伝える数少ない教科
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|社会は「分野」より「形式」で見ると、次にやることが決まる
- お子さんの社会が「暗記」と「考察」のどちらで止まっているかを、一緒に確かめませんか
まず結論|5つの質問に先にお答えします
Q. 高校入試の社会では、何が出ますか?
A. 地理・歴史・公民の3分野から、資料(地図・グラフ・統計・年表・史料)とセットで出題されます。「歴史がいちばん多く、次に地理、公民は少ない」という説明をよく見かけますが、その順序を公表した資料は、確認した範囲では見当たりません。
Q. 3分野のどれから手をつければいいですか?
A. 志望校の過去問で、×が固まっている分野からです。そのうえで一点だけ。手薄になりやすいのは公民です。3分野の中で最後に学ぶため、地理・歴史にくらべて触れている期間が短いからです。
Q. 一問一答は役に立ちますか?
A. 入口としては、いちばん効率のいい形式です。ただし、一問一答で測れるのは「用語を答えられるか」までです。答案には、それでは届かない設問がもう一段あります。
Q. 記述問題は、何を書けばいいですか?
A. 理由を一文です。「〜だから」「〜のため」で結び、資料の数値や語句を一つ入れます。いちばんもったいないのは、書き方が分からずに欄を空けたまま出すことです。
Q. 時事問題は、どこまで対策が必要ですか?
A. 「今年のニュース」を追いかける必要はありません。 時事は単独で出るというより、公民や地理の単元に接続した形で出ます。ニュースを見たら「これは教科書のどこの話か」を確かめるだけで足ります。
——ただ、この5つの答えには前提があります。そもそも「よく出る問題」は、全国共通ではありません。
「よく出る問題」は都道府県で違う――過去問3年分でテーマの偏りを数える3ステップ
「高校入試 社会 よく出る問題」と検索すると、頻出テーマを3分野ごとに並べた記事がいくつも出てきます。中身はどれも似ています。中学校で学ぶ社会の範囲そのものが学習指導要領で決まっているため、そこから重要なものを選べば、自然と同じ顔ぶれになるからです。
問題は、その先です。多くの記事に「歴史がいちばん多く、次に地理、公民は少ない」という順序が置かれていますが、この順序の出どころは、どの記事にも書かれていません。公立高校の入試問題は都道府県ごとに、私立は学校ごとに作られます。それを全国で集計して公表した資料は、確認した範囲では見当たりません。つまりこれは、広く共有されている目安(通説)であって、公表された統計ではないということです。
だからといって、当社が別の順序を出すつもりもありません。同じことをするだけだからです。代わりにお伝えしたいのは、手元の過去問のほうが正確だということです。
もう一点、社会という教科について知っておいていただきたいことがあります。社会は、全国規模の公的なデータがいちばん乏しい教科です。国が行っている全国規模の学力調査には、社会はそもそも調査の対象教科として入っていません。国語・数学・英語・理科には調査の年があるのに、社会だけは無いのです。ですから「全国の中学生が社会でどれくらい取れているか」を示す公的な数字は、そもそも存在しません。ネット上の数字が各社の独自集計に寄りやすいのには、こうした背景があります。
いちばん確実なのは、志望校の過去問を3年分そろえて、自分で数えることです。手順は3つだけです。
- 過去問3年分を、大問ごとに3分野へ仕分ける。 地理・歴史・公民のどれかを、大問の余白に書き込むだけで構いません
- 大問ごとの小問数を数える。 分野の偏りは、大問の数より小問の数に出ます
- 形式を正の字で数える。 用語を答えるだけの問題/資料の読み取り/記述/年代整序——この4つで仕分けます
3年分あれば傾向はおおむね見えます。この作業は社会の知識が要りません。設問の指示文(「何というか」「読み取れることを書け」「理由を書け」「古い順に並べよ」)を見れば仕分けられるので、保護者の方でもできます。過去問をいつから、何年分やるかは高校受験の過去問はいつから、何年分使うかで整理しています。
先に、3分野の全体像を1枚にしておきます。「どのテーマが出るか」と「どの形式で問われるか」を、縦と横で見てください。

ただ、過去問を数えて分かるのは出題する側の傾向だけです。「うちの子がそのうちどれを落としているか」は、そこには書かれていません。 そちらは、記事の後半で扱います。
地理の頻出テーマと、その出方――資料がなければ問題が始まらない
地理でよく出るのは、次のテーマです。
- 世界の姿と各州の特色(時差の計算、緯度と経度、州ごとの産業や文化)
- 気候(雨温図の読み取り、気候帯と人々の暮らし)
- 日本の地形(山地・河川・平野、季節風、海流)
- 地形図の読み取り(等高線、地図記号、縮尺と実際の距離)
- 農業と水産業(促成栽培・抑制栽培、産地と輸送)
- 工業(工業地帯・工業地域、原料と製品の移動)
- 貿易と交通(輸出入品の変化、貿易相手国)
- 人口(人口ピラミッド、過疎と過密)
- 環境・災害・エネルギー(発電の種類、防災の取り組み)
地理の出方には、はっきりした特徴があります。資料の読み取りに最も寄るのです。「この県の名前を答えなさい」という形より、雨温図・統計表・地形図を先に見せて、そこから答えさせる形が定番です。「4つの雨温図のうち、この都市のものはどれか」「この統計表が示す農産物は何か」といった具合に、資料を読めなければ設問が始まりません。
もうひとつ、地理には計算が混ざります。地形図の縮尺から実際の距離を出す問題と、時差を求める問題です。どちらも手順が決まっているので、一度通れば安定します。
ここで多いのが、「県名も産地も言えるのに、資料の問題だけ×が並ぶ」という落ち方です。原因は知識ではなく、資料の見方の手順が決まっていないことにあります。何の資料か、単位は何か、いちばん大きい数値と小さい数値はどこか——この順で見る習慣がないと、正しい知識を持っていても選べません。
ご家庭で確かめるなら、聞くのは一言で足ります。「この表、何が書いてあるの?」 正解ではなく、資料から読み取れる事実を言わせてください。
地理が「資料を読む分野」なら、歴史は「順序と理由の分野」です。
歴史の頻出テーマと、その出方――順序と「なぜ」で問われる
歴史でよく出るのは、次のテーマです。
- 古代(律令国家のしくみ、大陸との交流)
- 平安〜鎌倉(摂関政治、武士の登場、鎌倉幕府、元寇)
- 室町〜安土桃山(勘合貿易、応仁の乱、検地と刀狩)
- 江戸(幕藩体制、対外政策、三大改革、開国と幕末)
- 明治〜大正(明治維新と近代化、自由民権運動、条約改正、第一次世界大戦と大正デモクラシー)
- 昭和〜戦後(世界恐慌、第二次世界大戦、戦後の改革、高度経済成長)
歴史の出方の中心は、年代整序と因果です。出来事を古い順に並べる問題、年表の空欄に入る出来事を選ぶ問題、そして「なぜその政策が行われたのか」「その結果どうなったのか」を書かせる問題。「いつ起きたか」より「何のために起き、その結果どうなったか」が問われていると考えてください。
ここに史料・年表・グラフが重なります。史料の一節を読ませて「これはどの改革のものか」を問う、輸出額のグラフを見せて「この変化が起きた理由を書け」と続ける——歴史でも、資料が設問の入口になることが増えています。
「年号を全部覚えないと並べ替えは解けないのでは」と心配される方が多いのですが、並べ替えの多くは、同じ時代の中の前後関係を問うています。目安になる年号をいくつか押さえたうえで、出来事どうしのつながりが分かっていれば、順序は決まります。
ご家庭で聞くなら、「この出来事、何のために起きたの?」 の一言です。答えが出てこないときは、用語だけが宙に浮いています。
そして3分野のうち、いちばん最後に習い、いちばん手薄になりやすいのが公民です。
公民の頻出テーマと、その出方――「仕組み」を図と結びつけて問われる
公民は、多くの学校で中3になってから学ぶ分野です。地理・歴史にくらべて触れている期間が短く、入試までの時間も限られます。それでも入試は3分野から出ますから、手薄になりやすいところほど、先に全体像を見ておく価値があります。ここは少し厚めにお伝えします。
憲法と人権
日本国憲法の三大原則、基本的人権の種類(自由権・平等権・社会権・参政権・請求権)、公共の福祉、新しい人権(環境権・知る権利・プライバシーの権利)、そして憲法改正の手続き。「この事例はどの権利にあたるか」という形で、具体的な場面とセットで問われます。
三権分立と政治の仕組み
国会(二院制、衆議院の優越)、内閣(議院内閣制)、裁判所(三審制、司法権の独立、裁判員制度)、そして三権の抑制と均衡の図。この図は、矢印の向きと役割を入れ替えた形で繰り返し出ます。「誰が誰に対して、何をできるのか」が答えられれば、たいていの設問は通ります。
選挙と地方自治
選挙の原則、小選挙区制と比例代表、一票の格差、投票率。地方自治では、直接請求のしくみと地方財政。ここはグラフとセットで出やすいところです。年代別の投票率や、議員一人あたりの有権者数の表を読ませて、そこから課題を書かせる形が定番です。
経済と財政
価格の決まり方(需要と供給)、株式会社のしくみ、労働と雇用の変化、金融と日本銀行のはたらき、税(直接税と間接税、累進課税)、国の歳入と歳出、景気の変動。公民の中で最も資料が多いのがここです。需要と供給のグラフ、歳入と歳出の内訳、景気変動の図——図が読めるかどうかで点が変わります。
国際社会と社会保障
国際連合のしくみ(総会、安全保障理事会、常任理事国の拒否権)、地域統合、地球環境問題、持続可能な開発目標(SDGs)、社会保障の4つの柱と少子高齢化。ここは時事問題との接点が最も多く、記述でも問われます。
公民の出方をひとことで言えば、「仕組みを、図や資料と結びつけて問う」です。用語を答えるだけの設問より、「なぜこの制度があるのか」「この制度は何のためにあるのか」を書かせる設問が目立ちます。
ご家庭で聞くなら、「これ、誰が誰に対して持っている力なの?」 です。三権分立でも、選挙でも、税でも、この一言で確認できます。
3分野の顔ぶれが見えたところで、同じテーマでも点が取れたり取れなかったりする理由に進みます。分野ではなく、形式の話です。
出題形式が社会の得点を決める――用語・資料の読み取り・記述・年代整序
答案の用語を答える問題は合っているのに、その下の「理由を書きなさい」だけが空欄というご家庭に、特に読んでいただきたい節です。
分野が同じでも、形式が変われば別の問題になります。 「選挙は分かっているはずなのに点が来ない」のは、選挙を知らないからではなく、グラフの読み取りや理由の記述という、別の作業でつまずいているからです。社会の答案を分野で眺めても、この違いは見えません。形式で分けたときだけ見えます。
入試の社会で問われる形式は、大きく4つです。
| 形式 | どう出るか | ここで落ちているときのサイン |
|---|---|---|
| 用語・語句を答える | 「〜を何というか」/表の空欄にあてはまる語を書く | ここは取れていることが多い |
| 資料の読み取り | 雨温図・統計表・地形図・グラフ・年表・史料を読む/2つの資料を見比べる | 用語は書けるのに、資料がついた設問だけ×が並ぶ |
| 記述(理由・説明) | 「理由を書け」「資料をふまえて説明せよ」/指定語句つき | 欄が空白のまま返ってくる |
| 年代整序・組み合わせ | 出来事を古い順に並べる/語句と説明を組み合わせる/分野をまたぐ複合問題 | 一つずつは分かるのに、順序と対応で崩れる |
この4つのうち、いちばん取り返しが早いのは記述です。理由ははっきりしています。白紙で出した答案と、一文書いた答案では、返ってくる点が違うからです。
記述で守ることは3つだけです。①「〜だから」「〜のため」で結ぶ。②指定語句があれば全部使う。③資料の数値や語句を一つ引いて書く。 たとえば「この地域で促成栽培が行われている理由を書け」なら「冬でも温暖な気候を生かして、他の産地より早く出荷するため」。「衆議院の議決が優先される場合があるのはなぜか」なら「任期が短く解散もあるため、国民の意思をより反映していると考えられるから」。結び方と、入れる材料さえ決まっていれば、書けないことはめったにありません。空欄のままなのは、書けないからではなく、何を書けばいいか教わっていないからであることが多いのです。
年代整序も、実は取り返しが早い側です。出来事どうしのつながりが分かれば、細かい年号がなくても順序は決まります。逆に時間がかかるのは資料の読み取りで、これは覚え直しでは動きません。
形式で分けると、×が同じ場所に固まるご家庭が出てきます。そこが、社会でいちばん差がつくところです。
「暗記で解ける問題」と「考察が要る問題」の見分け方
冒頭でお伝えした宿題を、ここで回収します。「社会は暗記科目だから、点が取りやすい」。この前提は、そのままでは成り立ちません。
社会の設問は、大きく2種類に分かれます。暗記で解ける問題と、考察が要る問題です。
- 暗記で解ける問題:一問一答の形に直せる設問。「〜を何というか」「あてはまる語を書け」
- 考察が要る問題:2つ以上の情報を結ぶ設問。資料の数値と用語、2つの資料の比較、出来事の因果、制度の目的と結果
一問一答で測れるのは、前者だけです。後者は、覚えた用語を別の情報と結びつける作業なので、用語を何周しても届きません。「全部覚えたのに伸びない」の正体は、たいていここにあります。

親でもできる判定法が2つあります。 ひとつは、問題文から資料(地図・グラフ・年表・史料)を隠してみること。隠しても答えられる設問は、暗記で解ける問題です。隠すと答えられなくなる設問は、考察が要る問題です。もうひとつは設問の語尾を見ること。「何というか」は暗記、「なぜか」「どのような変化か」「〜をふまえて説明せよ」は考察です。社会の内容が分からなくても、この仕分けはできます。
この見方には、参考になる公的な資料があります。東京都教育委員会が公表した「令和8年東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査」では、社会の平均点は59.9点(前年度も59.9点)で、5教科の中で最も低い数字でした(数学60.4点、英語61.2点、理科66.7点、国語74.9点)。そして同じ資料で、社会の指導改善の視点として挙げられているのは2項目で、①「歴史に関わる事象について…多面的・多角的に考察する学習の充実」、②「国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みについて…多面的・多角的に考察する学習の充実」です。歴史と公民、どちらの項目にも「考察」という言葉が入っています。
つまり、挙げられているのは知識の不足ではありません。 覚えた事項を使って考えるところです。「社会は暗記科目だから点が取りやすい」という前提は、少なくともこの調査の上では成り立っていない——このデータは、そう読めます。なお、これは東京都のデータです。お住まいの都道府県の傾向とは限りませんので、そのまま当てはめないでください。
同じ「よく出る問題」でも、教科によって事情は違います。数学は積み上げの教科なので、頻出単元より前提が足りている単元から取りに行くほうが早く、その考え方は高校入試の数学でよく出る問題(頻出単元と得点源の決め方)にまとめました。理科は分野より出題形式で×が固まる教科で、こちらは高校入試の理科でよく出る問題(頻出分野と出題形式の見分け方)で扱っています。
では、時事問題はどうか。ここも、追いかける方向を1つ変えるだけです。
時事問題は「今年のニュース」を追わない
時事問題と聞くと、「この一年の出来事を覚えなければ」と考えたくなります。ですが入試での出方を見ると、時事がそれ単独で問われることは多くありません。実際には、公民や地理の単元に接続した形で出ます。選挙の話題なら選挙制度のしくみ、物価の話題なら価格と景気のしくみ、災害の話題なら地形と防災、国際的な話題なら国際連合や地球環境問題。入り口がニュースで、中身は教科書という作りです。
ですから、追うべきは「今年のニュース」そのものではなく、そのニュースが教科書のどの単元につながるかのほうです。ニュースが目に入ったときに、「これ、社会のどの単元の話だと思う?」と一言だけ聞いてみてください。答えが「選挙」「税金」「国際連合」あたりまで出れば十分です。単元名まで戻れていれば、あとは教科書の知識で答えられます。
最後に、保護者の方がよかれと思ってやると、かえって原因が見えなくなる関わり方を1つだけお伝えします。
「覚えたのに解けない」が続くときは、覚える量では戻らない
同じテーマで「覚えたのに解けない」が何度も続くなら、それは覚える量では戻りません。用語を単体で覚えた状態のままだと、資料や記述でつながりを問われた瞬間に止まるためです。覚えたことをどう結び直すかは、中学社会の覚え方(暗記が定着する3ステップ)にまとめています。
保護者ができること――社会は、親が手伝える数少ない教科
ここまでの内容を、今日の夜にお子さんと確かめてみようと思われた方へ。聞き方だけ、先に決めておいてください。
社会は、保護者の方が直接手伝える数少ない教科です。一問一答を読み上げるのに、社会の知識は要りません。だからこそ、読み上げの向きと、そのあとにやることを決めておく価値があります。
やらないこと:用語の読み上げテストで終わらせる
一問一答を親が読み上げて、答えられたら○。この方法は取り組みやすく、親子ともに達成感が残ります。ですが、測れているのは答案の一部だけです。しかも「できた」という実感だけが残るので、模試との差が説明できなくなります。読み上げるなら、用語のほうを言わせる向き(説明を読んで用語を答えるのではなく、用語を見せて説明させる)に変えてください。
やること:3つだけ
- 答案の×を、4つの形式に仕分ける。 用語/資料の読み取り/記述/年代整序。社会に詳しくなくても、設問の指示文(「何というか」「読み取れることを書け」「理由を書け」「古い順に並べよ」)を見れば仕分けられます。×が一か所に固まっていれば、それが次にやることです
- 資料つきの設問を1問だけ選び、「この資料、何が書いてある?」と聞く。 正解を聞くのではありません。資料から読み取れる事実を言わせます。ここで止まるなら、知識ではなく資料の見方が原因です
- その場で教えない。 ここがいちばん難しいところです。教えてしまうと、次から説明しようとしなくなります。「そこ、あとで一緒に調べよう」で止めてください
形式で仕分けるところまでは、ご家庭でできます。 難しいのはその先です。同じ×でも、用語が入っていないのか、覚えた用語を資料と結びつけられていないのかは、答案を見ないと分かりません。
受験勉強全体をいつから始めるかという考え方は、高校受験の勉強はいつから始めるかに整理しています。また、入試の点だけでなく通知表の評定も合否に関わるため、そちらの計算方法は内申点の計算方法(素内申・換算内申と自分の県の調べ方)にまとめています。
あるご家庭の話
中3の秋。社会の一問一答はほとんど答えられるのに、模試の社会だけが戻らないというご相談でした。ご家庭では「まだ覚えが足りない」と考えて、一問一答をもう一周していたそうです。
答案を見せていただき、×を4つの形式に仕分けてみました。用語を答える問題はほぼ正解。×は、資料の読み取りと記述に固まっていました。そこで一問一答の周回をいったん止め、資料を1つ選んで「読み取れることを一文で書く」練習に替えたところ、記述の空欄が減り始めました。本人は「何を書けばいいか分かった」と話していました。
※個人の事例であり、結果を保証するものではありません。
同じ「社会が苦手」でも、用語が入っていない子と、用語は入っているのに資料と結びついていない子では、次にやることがまったく違います。仕分けまでは、ご家庭でできます。
よくある質問(FAQ)
地理・歴史・公民のどれから対策すればいいですか?
志望校の過去問で、×が固まっている分野からです。 分野の得意・不得意は子どもによって大きく違うので、一般論より手元の答案が正確です。そのうえで一点だけ挙げるなら、公民は手薄になりやすい分野です。3分野の中で最後に学ぶため、触れている期間が短いからです。全体像だけでも早めに見ておくと、あとが楽になります。
一問一答は、入試でも役に立ちますか?
用語の確認としては有効です。 ただし、測れるのは答案の一部だと知っておいてください。入試には、資料を読んで説明する設問や、理由を書く設問が並びます。一問一答を全問正解しても、そこは空欄のままになり得ます。これは一問一答の欠点ではなく、役割の範囲です。
記述問題は、何をどう書けば点になりますか?
理由を一文で、「〜だから」「〜のため」で結んでください。 そのうえで、指定語句があれば全部使い、資料の数値や語句を一つ入れます。長く書く必要はありません。いちばんもったいないのは空欄のまま出すことなので、思いついたことを一文でも書くほうが結果は変わります。
資料の読み取り(雨温図や地形図)が苦手です。どうすればいいですか?
見る順番を決めてしまうのが早道です。 ①何の資料か(表題)②単位と軸は何か ③いちばん大きい数値と小さい数値はどこか——この順で声に出してから設問に戻ります。地形図は縮尺から実際の距離を出す計算だけ、型として一度通しておいてください。手順が決まると、知っている知識が使える状態になります。
時事問題はどこまで対策が必要ですか?
単独で追う必要はありません。 時事は公民や地理の単元に接続した形で出るため、ニュースを見たときに「これは教科書のどの単元か」を確かめるだけで足ります。単元名まで戻れていれば、あとは教科書の知識で答えられます。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|社会は「分野」より「形式」で見ると、次にやることが決まる
- 出るのは3分野。ただし何がどれだけ出るかは都道府県で違う。 「歴史がいちばん多い」という順序に、公表された裏づけは見当たりません。手元の過去問3年分のほうが正確です
- 点が動くのは、分野ではなく形式。 用語/資料の読み取り/記述/年代整序。同じテーマでも、聞かれ方が変われば別の問題になります
- 暗記で落ちているのか、考察で落ちているのかを分ける。 資料を隠しても答えられるかどうかが、その境目です
社会は、覚えた量が点に変わりやすい教科だと思われがちです。実際、入口はそのとおりです。差がつくのは、その先——覚えたことを資料や制度の目的と結びつけるところにあります。
今日できることは1つだけです。直近の答案を1枚開いて、×が4つの形式のどこに固まっているかを見てください。 そこから先は、この記事の表のとおりに進みます。
お子さんの社会が「暗記」と「考察」のどちらで止まっているかを、一緒に確かめませんか
答案の×を形式で仕分けるところまでは、ご家庭でも今日できます。難しいのはその先です。同じ×でも、用語が入っていないのか、覚えた用語を資料と結びつけられていないのかを見分けるところ。同じ「公民が苦手」でも、原因が制度の用語にある子と、歳入と歳出のグラフを読めない子では、次にやることがまったく違います。これは、答案を見ないと分かりません。
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