執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年/専門:高校受験・数学の単元別やり直し)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。
テスト前に証明の問題を開いたら、図は見えているのに、解答欄の1行目から何も書けない――そんな中2の人に向けて書いています。
先に結論です。三角形の合同の証明は、「比べる三角形→等しいことと根拠を3つ→合同条件の名前→結論」の4行の型で書けます。
ただし、1行目で止まるときに見直すのは、書き方より手前の問題文の読み方です。また、合同条件のどれを使うかは、等しいとわかった辺と角の位置で決まります。
まず結論(一問一答)
Q. 中2の証明が書けないのはなぜ?
A. 多くの場合、「どの2つの三角形を比べるか」と「なぜ等しいと言えるか」の言葉が決まっていないからです。 ほかの場所で止まっていないかは、後半の表で確かめられます。
Q. 証明の書き方に型はある?
A. あります。①比べる2つの三角形 ②等しいことと、その根拠 ③合同条件の名前 ④結論、の4行です。三角形の合同の証明では、②の等しいことを3つそろえます。
Q. 合同条件はどう覚えればいい?
A. 「3組の辺」「2組の辺とその間の角」「1組の辺とその両端の角」がそれぞれ等しい、の3つを言葉どおりに書けるようにします。「間の」「両端の」まで含めて1つの条件です。
Q. 「仮定」と「結論」って何?
A. 仮定は問題文で「わかっていること」、結論は「証明しなさい」と言われていることです。「〜のとき、…であることを証明しなさい」なら、「〜」が仮定、「…」が結論です。
Q. 全くわからないときは、何から始めればいい?
A. 図に印をつけるところからです。仮定で等しいとわかっている辺や角に同じ印をつけ、結論の辺や角に別の印をつけます。
――5つの答えは、どれも問題文を2つに分けるところから始まります。
問題文を「仮定」と「結論」に分ける
問題文を読んだら、すぐに図を見て考え始めている人へ。証明を書く前に、問題用紙の上でやることがあります。
「〜のとき」が仮定、「〜を証明しなさい」が結論
問題文に、鉛筆で2本の線を引きます。
- 仮定:「〜のとき」「〜ならば」の「〜」。わかっていること。「このとき」の前の文や、「〜です。」と先に書いてある辺や角のこと(例題3)も仮定です
- 結論:「〜であることを証明しなさい」の「〜」。これから示すこと
仮定は根拠として使えますが、結論は証明が終わるまで使えません。
仮定は「等しい」の形に言いかえて、図に印をつける
そのままでは印をつけにくい仮定は、「等しい」の形に言いかえます。
| 問題文の言い方 | 言いかえ |
|---|---|
| 点Mは線分ADの中点 | AM=DM |
| 半直線OPは∠AOBの二等分線 | ∠AOP=∠BOP |
| AB∥CD | 平行線の同位角・錯角が等しいと言える(どの角かは図で探す) |
等しい辺には同じ本数の線(|や‖)、等しい角には同じ印、結論の辺や角には「?」など別の印をつけます。
結論から、比べる2つの三角形を決める
1行目の「△ と△ において」は、結論から決めます。
- 結論が「△ABC≡△DEF」なら、その2つ
- 結論が辺や角(「∠BAC=∠DAC」など)なら、それを1つずつ含む2つの三角形
後者のときは、合同を示したあとに1行足します(例題3)。
印がついたら、次は「なぜ等しいと言えるか」を言葉にします。中2で使う根拠の言葉は、それほど多くありません。
根拠に使える言葉――「仮定より」「共通な辺だから」「対頂角は等しいから」
2行目は、等しいことと根拠をセットで書きます。中2の合同の証明でよく使う根拠の言葉は、次のとおりです。
| 根拠の言葉 | 使う場面 |
|---|---|
| 仮定より | 問題文に書いてあること(言いかえたものを含む) |
| 共通な辺だから/共通な角だから | 2つの三角形が同じ辺や角を分け合っている |
| 対頂角は等しいから | 2本の直線が交わってできる、向かい合った角 |
| 平行線の同位角は等しいから | 平行な2直線に1本の直線が交わってできる、同じ位置の角 |
| 平行線の錯角は等しいから | 同じく、Z(逆Z)の形の内側の角 |
| 三角形の内角の和は180°だから | 2つの三角形で2組の角が等しいとき、残りの1組の角も等しいと言う |
| 二等辺三角形の底角は等しいから | 二等辺三角形の、底辺の両端の角 |
| 合同な図形の対応する辺(角)は等しいから | 合同を示したあと、結論の辺や角を言う |
「仮定より」は、教科書によっては「仮定から」と書きます。習った書き方に合わせてください。
見落としやすいのは、共通な辺・角と対頂角です。問題文に書かれていないので、2つの三角形が辺を分け合っていないか、線が×の形に交わっていないかを、図で毎回確かめます。
等しいことが見つかったら、合同条件を選びます。ただし、辺2つと角1つがそろっても、合同条件に当てはまらないことがあります。
三角形の合同条件の選び方――わかったものの組み合わせから決める
3つの合同条件
2つの三角形は、次のどれかが成り立つとき合同です。
- 3組の辺がそれぞれ等しい
- 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
- 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
「間の角」か「両端の角」か――角の位置で選ぶ
等しい辺と角を数えたら、角の位置を確かめます。
- 辺2組・角1組:角が2辺にはさまれた角なら条件2。△ABCのABとACなら、間の角は∠A
- 辺1組・角2組:2つの角がその辺の両端の角なら条件3。辺BCなら、両端は∠Bと∠C
角が2辺の間にないときは、合同条件になりません。同じ2辺と角で、形の違う三角形がかけることがあるからです。等しい辺か角をもう1つ探します(どちらも直角三角形でその角が直角なら、下の「斜辺と他の1辺」を確かめます)。
辺1組・角2組で片方の角が辺の端にないときは、三角形の内角の和(180°)から、残りの角も等しいと言えます。その1行を足して両端の角をそろえます(2行目に書く等しいことは4つになりますが、合同条件に使うのは3つです)。
角が3組等しいだけでは、合同とは言えません。大きさの違う三角形があるからです。
直角三角形の合同条件
どちらも直角三角形なら、次の2つも使えます(斜辺=直角の向かい側の辺)。二等辺三角形の性質のあとに習うので、まだなら飛ばしてかまいません。
- 斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい
- 斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい
直角であること(例:∠C=∠F=90°)も1行に書くので、ここでも3つそろえます。

条件が選べたら、あとは4行に並べるだけです。
4行の型で書く――合同の証明の場合
証明は、次の4行の型で書きます。
- 比べる2つの三角形を書く(「△ と△ において」)
- 等しいことを、根拠とセットで書く。三角形の合同の証明では3つです
- 合同条件の名前を書く(「①、②、③より、〜がそれぞれ等しいので」)
- 結論を書く
例題1(自作):線分ABと線分CDが、点Oで交わっています。AO=BO、CO=DOのとき、△AOC≡△BODであることを証明しなさい。
(点の位置の例:Aが左上、Bが右下、Cが左下、Dが右上。2本の線分が×の形に交わり、AとC、BとDを線で結んだ図です)(証明)
△AOCと△BODにおいて
仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいから ∠AOC=∠BOD …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△AOC≡△BOD
仮定からわかるのは辺が2組。線分がOで×の形に交わるので対頂角が使え、∠AOCはAOとCOの間の角なので条件2です。どの行も、ひらめきは使っていません。仮定を写し、図で対頂角に気づき、条件を選んだだけです。
≡の左右は、対応する頂点の順に書きます。 AとB、OとO、CとDが対応するので△AOC≡△BOD。△AOC≡△DOBでは対応がずれます。2行目の等しいことも同じ順で書きます。
記入シートは図解①です(印刷して書き込めます)。

同じ4行の型は、高校入試の数学の記事証明を4行の型で書く(相似の証明と入試での問われ方)でも紹介しています。そちらの例は2組の角を使う相似なので、等しいことは2つでした。三角形の合同の証明では3つです。型の順番は同じです。
例題は、型を見せるための自作です。そのまま覚えて写さず、自分で図をかいて書いてください。
書けなかった人は、何行目で止まったかを見てください。止まった行で、戻る場所が決まります。
止まる場所別の練習――「全くわからない」から1行ずつ
「全くわからない」と感じるときも、4行の型のどこか、またはその手前で止まっています。
止まった行から、戻る節を決める
| 止まった場所 | そのときの様子 | 戻る節 |
|---|---|---|
| 書き始める前 | どこが仮定か分からない。図に印がつけられない | 問題文を「仮定」と「結論」に分ける |
| 1行目 | 比べる2つの三角形が決まらない | 結論から、比べる2つの三角形を決める |
| 2行目 | 等しいことが3つ見つからない。根拠の言葉が出ない | 根拠に使える言葉 |
| 3行目 | 合同条件が選べない | 三角形の合同条件の選び方 |
| 4行目 | 頂点の順が分からない。結論が辺や角で、合同のあとが書けない | 4行の型で書く(頂点の順)/下の例題3 |
1行ずつ書く練習――例題2・例題3
練習は、次の順で進めます。
- 問題文に線を引いて仮定と結論に分け、図をかいて印をつける
- 証明を見ずに、1行目だけ書く
- 下の証明の1行目と比べる。合っていたら2行目へ進む
止まった行が、いま練習する場所です。
例題2(自作):線分ADと線分BCが、点Mで交わっています。AB∥CD、AM=DMのとき、△ABM≡△DCMであることを証明しなさい。
(点の位置の例:Aが左上、Bが右上、Cが左下、Dが右下。ADとBCがMで交わる、砂時計の形の図です)(証明)
△ABMと△DCMにおいて
仮定より AM=DM …①
対頂角は等しいから ∠AMB=∠DMC …②
AB∥CDより、平行線の錯角は等しいから ∠BAM=∠CDM …③
①、②、③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△ABM≡△DCM
AB∥CDは、「平行線の錯角は等しいから」と言いかえて、角が等しいことにします。∠BAMと∠AMBは辺AMの両端の角なので、条件3です。
例題3(自作):四角形ABCDで、AB=AD、CB=CDです。対角線ACをひくとき、∠BAC=∠DACであることを証明しなさい。
(点の位置の例:Aが上、Cが下、Bが左、Dが右。対角線ACで左右2つの三角形に分かれる図です)(証明)
△ABCと△ADCにおいて
仮定より AB=AD …①
仮定より CB=CD …②
共通な辺だから AC=AC …③
①、②、③より、3組の辺がそれぞれ等しいので
△ABC≡△ADC
合同な図形の対応する角は等しいので ∠BAC=∠DAC
結論は角なので、∠BACを含む△ABCと、∠DACを含む△ADCを比べます。ACは共通な辺です。合同を示したあと、問われた角までの1行を足しています。
例題2・3も、そのまま写さず、自分で1行ずつ書いてください。
この4行の型は、中2のテストで終わりではありません。
同じ行で何度も止まるなら
止まった行が何行目かを、おうちの人に伝えてみてください。家庭教師の中学生コースのページに、つまずいている部分を見つけ出し、マンツーマンの個別指導でポイントを絞って進める「苦手科目克服」が載っています。一緒に見てみてください。
▶ 中学生コースの苦手科目克服(マンツーマンの個別指導)
定期テストの証明と、中3・入試の証明のつながり
中2では、このあと二等辺三角形や平行四辺形の性質を使う証明も習います。合同を示してから辺や角を言う形なら、例題3と同じ流れで書けます。
中3で習う相似の証明も、同じ4行の型です。2組の角を使う相似なら等しいことが2つになるだけで、順番は変わりません。入試での証明の問われ方は、先ほどの高校入試の数学の記事で扱っています。
表のどの行にも当てはまらず、角の記号や図形の用語など中1の図形で止まるときや、中3の相似で止まったとき、どの単元まで戻ればいいかは、中学数学のつまずきやすい単元と、やり直す順番で確かめられます。
よくある質問(FAQ)
証明は暗記すればいいですか?
問題ごとの証明を丸ごと覚えるより、4行の型・合同条件・根拠の言葉の3つを覚えます。図が変わると、覚えた証明はそのままでは使えないからです。
穴埋めの証明が多いテストでは、どう練習すればいいですか?
穴埋めの形は、学校や先生で違います。空欄が4行の型の何行目で、何が入るか(根拠の言葉か、条件の名前か)を見れば、同じ型で埋められます。
「〜がそれぞれ等しいので」という書き方で合っていますか?
合同条件は「〜がそれぞれ等しい」までを1つの言葉として書きます。「ので」か「から」かは、教科書や先生の書き方に合わせてください。
証明の問題集は何冊やればいいですか?
冊数より、学校のワークの証明を見ずに1行ずつ書けるかで決めます。
教科書の証明を写す練習には意味がありますか?
写すだけでは、自分がどの行で止まるかが分かりません。見て、隠して、1行ずつ書いて、比べる練習なら意味があります。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせて見てみてください。
まとめ|証明は「仮定と結論」から始めて、4行の型で書く
- 問題文を仮定と結論に分け、図に印をつける。 仮定は「等しい」の形に言いかえてから
- 等しいことを3つ、根拠の言葉とセットで探す。 共通な辺・対頂角・平行線の角を見落とさない
- 合同条件は、辺と角の位置で選ぶ。 「間の角」か「両端の角」かを確かめる
まずは例題1を、見ずに4行で書いてみてください。図解①の記入シートに書いて、止まった行に印をつけたら、おうちの人に見せてみてください。
保護者の方へ――解き方を教えずに「どの2つを比べているの?」と聞く
ここからは、保護者の方に向けて書きます。
この記事でお子さんが自分でやることは、問題文を仮定と結論に分けて図に印をつけること、等しいことを根拠つきで3つ探すこと、合同条件を辺と角の位置で選ぶこと、4行の型で書いて止まった行を見つけることです。数学の中身が分からなくても、記入シートの何行目まで埋まっているかが分かれば十分です。
保護者の方にお願いしたいのは1つです。お子さんが証明の問題で手を止めていたら、「どの2つの三角形を比べているの?」と聞いてください。 答えが返ってくれば、1行目までは進んでいます。詰まったら、そこが戻る場所です。正解かどうかを判断する必要はありません。
反対に、やらないでほしいことも1つあります。解き方を説明して、正しい証明を書いて見せることです。写すだけになりやすく、お子さん自身がどの行で止まっていたのかが分からなくなります。
証明の単元は、学校によって2学期の定期テストの範囲に入ることがあります。テストまでの4週間の組み方は、定期テスト1ヶ月前からの勉強計画にまとめています。
こうした確認を家庭の中だけで続けるのが難しい場合の相談先として、家庭教師があります。最後に、当協会の中学生コースの内容をご紹介します。
お子さんの証明がどこで止まっているか、無料体験で一緒に確かめてみませんか
仮定と結論を分けることも、4行の型で書くことも、お子さん自身でできます。難しいのは、止まる場所が証明の外(角の性質や、前の学年の図形)にあるとき、どこまで戻るかを見極めることです。
全国家庭教師協会の中学生コースでは、お子さんがつまずいている部分を見つけ出し、マンツーマンの個別指導でポイントを絞って進める苦手科目克服や、必要に応じて前の学年までさかのぼる基礎の見直しを行っています。まずは無料体験で、お子さんに合う進め方かどうかを確かめてみませんか。入力は30秒、費用はかかりません。相談だけのご利用も歓迎です。
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