執筆・監修:小川 真理子先生(受験アドバイザー/指導歴15年・志望校選び/学習計画/進路相談)
「何から手をつければいいか」を、現実的な学習計画に翻訳するのが役目。
通知表を見返して「オール3って、偏差値でいうとどのくらい?」と検索し、出てきた数字で、行ける高校まで決まった気がした——そんな中学生のあなたに向けて書いています。
先に結論です。オール3・オール4を偏差値に直す、公的な換算表はありません。 通知表の評定と模試の偏差値は、測っているものが違う「別のものさし」だからです。
ただし、「3はちょうど真ん中」と思い込むと、自分の位置を読み違えます。東京都と千葉県が公表している中学3年生の評定の割合を並べると、同じ「3」の周りの様子がかなり違うからです。その表は記事の中ほどで。自分の位置を確かめる手順は後半にあり、最後の手順は紙1枚でできます。
まず結論(一問一答)
Q. オール3だと、偏差値はいくつですか?
A. 決まった数字では出せません。通知表の評定(内申点のもと)と模試の偏差値は別のものさしで、内申点から偏差値を割り出せる公的な換算表はないからです。
Q. オール4だと、偏差値はいくつですか?
A. オール4も同じで、偏差値には直せません。9教科の評定をそのまま足した数字(素内申)なら、オール3は27、オール4は36です(9教科×5段階の単純合計)。公立高校の入試で使う内申点は、ここから県ごとの計算方法で変わります。
Q. オール3は「真ん中」ですか?
A. 東京都の公表値では、評定3がいちばん多くついています。都内公立中学校等619校の中学3年生(令和7年〈2025年〉12月31日現在)の9教科の評定を合わせた割合で、3が47.3%。ただし、3より上(4と5)は合わせて35.4%、3より下(1と2)は合わせて17.4%で、上のほうが多くついています(東京都教育委員会・2026年3月26日公表。合計は当協会の計算)。
Q. オール3で行ける高校はどこですか?
A. 評定だけでは決まりません。公立高校の入試では、内申点と当日の学力検査の点を合わせて合否を決めるのが一般的で、その比重が県や入試の方式で違うからです。
Q. 自分の位置は、どうやって確かめればいいですか?
A. 2つに分けて確かめます。内申は自分の県の計算方法で、学力は模試の偏差値と志望校の合格ラインの差で見ます。
まずは、なぜ偏差値に直せないのか。理由は、2つの数字が「何と比べた数字か」にあります。
内申点と偏差値は、測っているものが違う
通知表の評定は「目標に照らした評価」
通知表の5段階の評定は、学習指導要領の目標に照らして、どこまでできるようになったかを学校の先生がつけたものです。ほかの生徒と比べて順位で割り振るのではなく、目標を基準にする評価で、「絶対評価」とも呼ばれます。材料もテストの点だけではありません。評定がどう決まるかは、中学の通知表で、評定が観点別評価からどう決まるかの記事にまとめています。
模試の偏差値は「その模試を受けた人の中の位置」
模試の偏差値は、その模試で平均点をとった人を50として、自分の点がどれだけ離れているかを表す数字です。受けた人の顔ぶれが変われば、同じ点でも偏差値は変わります。読み方は模試の偏差値の見方(平均との差と上位何%か)で詳しく扱っています。
比べる相手が違うから、決まった換算の式がない
評定は「目標」と比べた数字、偏差値は「同じ模試を受けた人」と比べた数字です。比べる相手がそもそも違うので、片方からもう片方を出す決まった式はありません。内申点から偏差値を割り出せる公的な換算表がないのは、このためです。

それでも、ネットには「オール3=偏差値◯」という数字が出回っています。見かけたときに確かめることは3つです。
「オール3=偏差値◯」が出回る理由と、見かけたときの確かめ方
オール3を偏差値に置き換えた目安は、ネット上にいくつもあります。1つの数字で答えてほしい人が多いので、経験からの目安を書くページが増えるのは自然なことです。ただ、検索で上位に出てくるページを当協会が確かめた範囲では、偏差値の数字を挙げているページで、評定から偏差値を出す換算の式まで示しているものは見当たりませんでした。
見かけたら、次の3つを確かめてください。
- どこの話か:どの都道府県の、何年生の評定をもとにしているか
- どの模試の偏差値か:模試が違えば、同じ人でも偏差値は変わる
- どうやって出したか:換算の式と、もとのデータが書かれているか
どれかが書かれていなければ、その数字は「誰かの目安」です。自分の位置を決める材料には使えません。
実際、同じ「3」でも、都県によって周りの割合は違います。公表されている2つの都県の数字を並べます。
評定の分布は地域で違う——東京都と千葉県の公表値
評定は各学校が目標に照らしてつけるので、どの評定が何%つくかは、学校や地域によって違います。東京都と千葉県が公表している中学3年生の値を、原典の区分のまま載せます(単位は%)。
東京都:都内公立中学校等619校の中学3年生(令和7年〈2025年〉12月31日現在)
令和8年度選抜(2026年春の入試)に用いる評定の調査です。義務教育学校は9年生が対象です。原典にあるのは、9教科それぞれと「9教科合計」です。
| 教科 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国語 | 12.1 | 23.1 | 47.3 | 13.9 | 3.6 |
| 社会 | 13.3 | 23.2 | 44.1 | 15.4 | 4.0 |
| 数学 | 13.0 | 20.7 | 42.8 | 17.6 | 5.8 |
| 理科 | 12.5 | 22.3 | 45.5 | 15.6 | 4.0 |
| 音楽 | 12.3 | 24.4 | 50.0 | 10.5 | 2.9 |
| 美術 | 12.7 | 24.3 | 50.5 | 9.8 | 2.7 |
| 保健体育 | 9.5 | 25.1 | 52.4 | 10.1 | 2.8 |
| 技術・家庭 | 10.9 | 24.3 | 50.0 | 12.0 | 2.8 |
| 外国語(英語) | 14.0 | 20.2 | 43.0 | 18.5 | 4.3 |
| 9教科合計 | 12.3 | 23.1 | 47.3 | 13.7 | 3.7 |
出典:東京都教育委員会「令和8年度選抜の調査と令和7年度選抜の調査における都内公立中学校等の評定状況についての比較」(参考資料1・2026年3月26日公表)の令和8年度選抜の値
千葉県:県内の公立中学校・義務教育学校など363校の中学3年生(令和8年〈2026年〉3月卒業見込み者・12月末日時点)
令和8年度(2026年春)の千葉県公立高校入試の、調査書の評定の調査です。原典に「9教科合計」の行はありません。小数第1位で示しているため、合計が100にならない教科があります(原典の注記)。
| 教科 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国語 | 23.3 | 21.5 | 43.5 | 8.2 | 3.5 |
| 社会 | 29.7 | 21.2 | 36.8 | 8.6 | 3.8 |
| 数学 | 26.7 | 21.4 | 35.1 | 12.8 | 4.0 |
| 理科 | 26.2 | 21.3 | 39.7 | 9.1 | 3.7 |
| 音楽 | 27.0 | 28.1 | 37.6 | 3.3 | 4.1 |
| 美術 | 24.0 | 30.5 | 38.4 | 3.1 | 4.0 |
| 保健体育 | 25.1 | 27.6 | 40.0 | 3.3 | 4.1 |
| 技術・家庭 | 24.2 | 28.2 | 39.9 | 4.1 | 3.6 |
| 外国語 | 27.1 | 18.1 | 39.7 | 11.4 | 3.8 |
出典:千葉県教育委員会「令和8年度千葉県公立高等学校入学者選抜における調査書の第3学年の評定に係る調査結果の概要」

この2つの表から言えること・言えないこと
言えるのは、次の3つです。
- どちらの都県でも、どの教科も「3」の割合がいちばん大きい
- 東京都の9教科合計では、3より上(4と5)が35.4%、3より下(1と2)が17.4%で、上のほうが多い(合計は当協会の計算)
- 「5」の割合は、東京都が教科によって9.5〜14.0%、千葉県が23.3〜29.7%で、どの教科も千葉県のほうが大きい
たとえば同じ数学の「3」でも、その上の4と5の割合は、東京都の表では20.7%と13.0%、千葉県の表では21.4%と26.7%です。同じ「3」でも、周りの様子はこれだけ違います。
一方で、言えないこともあります。
- オール3の人が何%いるか、上位何%か:原典にあるのは、教科ごとの評定の割合と、東京都の「9教科合計」(9教科の評定をまとめた割合)だけです。どちらも評定のつき方の割合で、生徒の人数の割合ではありません。1人の生徒が9教科でどんな評定の組み合わせを持っているかは載っていないので、オール3の位置は計算できません
- 偏差値:表は評定の割合で、模試の点数ではありません。ここから偏差値は出せません
- 都県どうしの違いの理由:2つの原典は、なぜ割合が違うのかまでは示していません
ほかの道府県は、「(都道府県名) 評定 分布 中学校」などで検索し、教育委員会のサイトの資料かを確かめてください。当協会が調べた範囲では、見つからない県もありました。
表は都県全体の話です。ここからは、自分の通知表と模試の結果で確かめます。
オール3・オール4から、自分の位置を確かめる3つの手順
① 9教科を足して素内申を出し、自分の県の計算方法に当てはめる
通知表の9教科の評定を、そのまま足します。これが素内申です。ただし公立高校の入試で使う内申点は、どの学年の評定を入れるか、実技4教科に倍率をかけるか、満点をいくつにするかが、県ごとに決められています(私立高校は、各高校の募集要項で確かめます)。調べ方は素内申の出し方と、自分の県の内申点の計算方法で手順にしています。
② 模試の偏差値と、志望校の合格ラインの差を見る
学力の位置は、模試の偏差値で見ます。比べる相手は、同じ模試の成績表に載っている志望校の合格ラインです。別の模試の数字と比べると、ものさしがずれます。偏差値の読み方は、上で紹介した偏差値の見方の記事が詳しいです。
③ 2つを1枚の紙に並べて、足りない側を見る
①と②の結果を、1枚の紙に並べます。
- 9教科の評定と素内申
- 自分の県の計算方法で出した内申点と、志望校の内申の基準(分からなければ空欄でよい。基準は、進路の面談で担任の先生に聞いてみる)
- 模試の名前・偏差値・志望校の合格ライン
- 調べても分からなかったこと
内申の側にも学力の側にも比べる相手(志望校の内申の基準と、模試の合格ライン)が書けると、足りないのが内申なのか、当日の学力なのかが見えてきます。内申点と当日の点をどんな比重で合わせるかは県と入試の方式で違うので、分からなければ最後の欄に書いておき、県の資料で埋めていきます。どの教科の評定なら動かせそうかは、内申点を上げる方法(今からできる5つの行動)にまとめています。
内申と模試の両方を並べて、志望校との距離を確かめたいなら
手順③の紙ができたら、おうちの人に見せてみてください。そのうえで、「評価の対象となる要素」など各県の受験情報を踏まえた高校入試対策の中身を、一緒に見てみてください。
▶ 各県の受験情報を踏まえた、家庭教師の高校入試対策
よくある質問(FAQ)
オール3はやばいですか?
「やばい」かどうかは、オール3という数字だけでは決まりません。東京都と千葉県の表では、どの教科でも3がいちばん多い評定です。足りるかどうかは、自分の県の計算方法で出した内申点と、志望校の基準を並べて初めて分かります。
オール3に4が2個だと、偏差値はいくつですか?
これも偏差値には直せません。素内申は29(3が7教科で21、4が2教科で8)です。実技4教科に倍率をかける県では、4がどの教科についたかで内申点が変わります。
オール2やオール5だと、偏差値はいくつですか?
考え方は同じで、決まった数字はありません。どの評定でも、内申は県の計算方法で、学力は模試の偏差値で、別々に確かめます。
内申がオール3で、偏差値60の高校は目指せますか?
ここでは決められません。確かめるのは2つです。志望校のある県の入試で内申点と当日の点をどんな比重で合わせるか、そしてその「60」がどの模試の基準で、自分の偏差値との差がいくつか。比重は県の入学者選抜の実施要項に書かれています。
模試の偏差値は高いのに、内申が低いのはなぜですか?
測っているものが違うからです。模試は当日の得点を、同じ模試を受けた人の中で比べた数字。評定は、テスト以外の材料も含めて、目標に照らして学校がつけた数字です。片方が高くても、もう片方も同じように高くなるとは限りません。
家庭教師の利用についての疑問は、よくある質問にまとめています。
まとめ|オール3・オール4は、偏差値ではなく「県の計算」と「模試」で確かめる
- オール3・オール4を偏差値に直す公的な換算表はない。評定と偏差値は別のものさし
- 「オール3=偏差値◯」を見かけたら、どこの話か・どの模試か・どう出したかを確かめる
- 評定の割合は地域で違う。東京都と千葉県では、どの教科も3が最多だが、5の割合は千葉県のほうが大きい
- 自分の位置は、内申(県の計算方法)と学力(模試と合格ライン)に分けて確かめる
今日できるのは1つです。通知表の9教科を足した素内申と、直近の模試の偏差値・志望校の合格ラインを、1枚の紙に並べてみてください。その紙をおうちの人に見せておくと、次に何を確かめるかを一緒に決めやすくなります。
保護者の方へ——「オール3だから◯◯高校」と決める前に、県の資料を1つ開く
この記事でお子さんが自分でやることは、3つです。9教科を足して素内申を出すこと、模試の偏差値と志望校の合格ラインの差を見ること、その2つを1枚の紙に並べることです。
保護者の方にお願いしたいのは、1つだけです。お住まいの都道府県の教育委員会が公表している入学者選抜の実施要項(選抜要領)を開き、内申点の計算方法が書かれた箇所を、お子さんの紙を横に置いて一緒に確かめてください。全部を読む必要はありません。対象になる学年・教科ごとの倍率・満点の3つが分かれば、紙の「内申点」の欄が埋まります。
県の資料を先に開いてほしいのは、ネットで見かけた「オール3なら偏差値◯・◯◯高校」という目安で、志望校の幅が先に狭まってしまうのを避けるためです。評定の割合は地域で違い、評定から偏差値に直す公的な換算表もありません。
三者面談で「内申が足りない」と言われたときに、何をどの順で確かめるかは内申点が足りないと言われたときに確認することにまとめています。
県の資料を読んで志望校との距離を考える時間が取りにくい場合や、受験の情報を一緒に整理できる大人が身近にいない場合は、家庭教師という方法もあります。当協会では、各県の最新の受験情報も踏まえた高校入試対策を、1対1の指導で行っています。
お子さんの「内申」と「模試」を並べた紙を手に、無料体験で相談してみませんか
まとめで紹介した1枚の紙に、お子さんの内申点と模試の結果が並んだら、それが相談の出発点です。指導は1対1で、お子さま一人ひとりのペースに合わせて進めます。高校入試対策は、公立・私立、一般入試・推薦入試・特色選抜に対応しています。
まずは無料体験で、お子さんの成績と志望校のことをご相談ください。入力は30秒、費用はかかりません。相談だけのご利用も歓迎です。
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