執筆・監修:田村 健一先生(数学・理科指導/指導歴12年)
「方程式が苦手」の本当の原因を、2単元手前まで戻って特定するのが得意。
テストが返ってきた日、答案をそっとテーブルに置いた我が子。平均点の欄の数字を見て、うちの子は高いのか低いのか、とっさに判断がつかなかった——そんな中学生の保護者の方へ。まず結論から言うと、中学生のテストの平均点に「全国共通の正解」はありません。学校・教科・回によって違います。ただし、平均点との差の見方を一つ間違えると、お子さんの本当のつまずきを見逃してしまいます。その分かれ目は、後半でお伝えします。
この記事では、①なぜ全国共通の基準が無いのか、②ネットの「目安」より先に確かめること、③学年・時期で平均点が動きやすい傾向、④実力テストの平均点が低く出やすい理由、⑤平均点との差の見方、⑥平均を下回ったときにまず確かめる3つ、⑦保護者の声かけ、⑧家庭で変わらないときの目安を、順にお伝えします。
まず結論(一問一答)
Q. 中学生のテストの平均点はだいたい何点ですか?
A. 全国共通の数字はありません。学校・教科・回で違います。まずはお子さんが通う学校の平均点で見てください。確かめ方は、このあとの「ネットで見かける『目安』より先に、自分の学校の平均を確かめる」の章で説明します。
Q. 全国共通の基準はないのですか?
A. ありません。定期テストは学校の先生が問題・配点を作るため、学校ごとに難易度も違います。文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査は、対象も内容も別のテストです(次の章の後半で説明します)。
Q. 平均を下回っていたら、まず何をすればいいですか?
A. 教科・範囲・提出物の3つを確かめてください。詳しくは後半の「平均を下回ったとき、まず確かめること」でお伝えします。
では、なぜ全国共通の基準が無いのか、その仕組みから説明します。
テストの平均点は学校ごとに違う——全国共通の基準が無い理由
定期テストは、学校の先生が問題と配点をつくります。同じ「中間テスト」という名前でも、問題を作る先生が違えば、難易度も配点の重さも変わります。だから、学校が違えば平均点も違って当然です。また、通知表の評定は、クラスや学年の中での順位で決める相対評価ではなく、目標にどれだけ到達したかで見る評価(目標準拠評価)で付けられます。平均点より上か下かが、そのまま評定を決めるわけではありません。
「平均点は全国的に公表されているはずだ」と思われがちですが、学校ごとに独自に作られる定期テストの平均点を、全国規模で集計・公表している主体は見当たりません。「平均点が公表されている」という話を見かけたときは、次に説明する別の調査を指していないか、一度確認してみてください。
公表されている全国調査は、学校の定期テストとは別物
文部科学省が行う全国学力・学習状況調査は、小学6年生と中学3年生(中学生で受けるのは中3だけ)を対象に年1回実施される調査で、公表されるのは教科ごとの「平均正答率」などの集計結果です。「平均点」が公表されるわけではありません。これは学校の定期テストとは別の調査で、出題する主体も、テストの範囲も違います。この調査の数字を、通っている学校の定期テストの平均点として当てはめることはできません。
仕組みが分かったところで、ネットでよく見る「平均点の目安」の数字は信じていいのでしょうか。
ネットで見かける「目安」より先に、自分の学校の平均を確かめる
「平均点はだいたいこのくらい」という数字をネットで見かけることがあります。ただ、学校ごとに問題も配点も違う以上、その数字がお子さんの学校に当てはまる保証はありません。よそで挙げられている数字は、お子さんの位置を測る物差しにはならないということです。
では、自分の学校の平均点はどこで確かめればいいのでしょうか。確認先は主に3つです。
①答案返却時の配布物——答案と一緒に、得点分布や平均点が書かれた用紙が配られる学校があります。配られている場合は、この用紙を見るのが一番早い方法です。
②成績表・個人票——学期ごとの成績表や、テストごとの個人票に平均点が記載されている場合もあります。答案返却時に見落としても、成績表・個人票で確認できることがあります。
③担任の先生——すべてのテスト・すべての学校で平均点が公表されるわけではありません。配布物や成績表に平均点が見当たらないときは、担任の先生に聞ける範囲を確認してみてください。
自分の学校の平均が確かめられたら、次は学年が上がるとどう動きやすいのかを見ておきましょう。
学年・時期で平均点が動きやすいところ
平均点そのものは学校・教科・回で違いますが、指導現場で見えてくる「動きやすい方向」には、ある程度共通した傾向があります。

| 時期・テスト種 | 動きやすい方向 | 理由 |
|---|---|---|
| 中1の1学期 | 高くなりやすい | 範囲が狭く、小学校からの接続もゆるやか |
| 中1の2学期以降 | 低くなりやすい | 単元が抽象化し、範囲も広がる(例:方程式・文法) |
| 中2 | 横ばい〜やや低くなりやすい | 既習範囲が積み上がり、苦手が点数に出やすくなる |
| 中3(定期テスト) | 学校・単元による | 受験を意識した出題に変わる学校もある |
| 実力テスト | 定期テストより低くなりやすい | 出題範囲が「今回の範囲」でなく「これまで習った全範囲」になるため |
※この表は指導現場の経験則にもとづく傾向であり、学校・教科・回によって実際の動き方は変わります。
中1:1学期は高め、2学期以降は下がりやすい
中1の1学期は、範囲が狭く、小学校からの接続もゆるやかなため、点が取りやすい時期です。中間テストで思ったより点が取れた、というのはこの時期によくあることです。一方、2学期以降は単元が抽象化し(方程式・文法など)、範囲も広がるため、平均点は下がりやすくなります。1学期はほぼ全員が点を取りやすく、差が出てくるのは2学期以降が多い、というのが指導現場の実感です。
中2・中3:既習範囲の積み上がりと、受験を意識した出題
学年が上がるにつれ、これまで習った内容が積み上がり、苦手が点数に出やすくなる傾向があります。中3になると、学校によっては受験を意識した出題に変わることもあり、傾向を一律には言えなくなります。
学年の傾向が分かったところで、実力テストになると点が下がる、という相談もよく聞きます。理由は出題範囲にあります。
実力テストの平均点は、定期テストより低く出やすい
定期テストは直近の学習範囲から出題されますが、実力テストはこれまで習った内容全体から出題されます。範囲が広い分、平均点が定期テストより低く出やすいのは自然なことです。
定期テストで慣れた点数の感覚のまま実力テストの結果を見ると、大きく下がったように感じることがあります。ですが、これは出題範囲の違いという構造的な理由によるもので、実力テストの点数だけを見て一喜一憂する必要はありません。
平均点との差そのものより、実は見るべき「もう一つの見方」があります。
平均点との差の見方——「差」と「差の変化」を見る
平均点との比較で大切なのは、点数そのものより「差」と「差の変化」の2つです。

| ステップ | 見ること |
|---|---|
| ①今回の差 | 平均より上か下か、どれくらい離れているか |
| ②差の変化 | 前回の平均との差と比べて、広がったか縮んだか |
| ③教科ごとの比較 | 教科ごとに並べて、差が広がった教科を1つ選ぶ |
①今回の平均との差(平均より上か下か、どれくらい離れているか)を見て、②前回の平均との差と比べて、差が広がったか縮んだかを確認します。そのうえで、③教科ごとに並べて、差が広がった教科を1つ選びます。同じ「平均を下回った」でも、差が縮んでいるなら回復の途中かもしれませんし、広がっているなら早めに手を打つ意味があります。
偏差値との違いが気になる方は、模試の偏差値の読み方(平均点との差を順位に置き換える)も参考にしてください。
差の見方が分かったら、いよいよ、平均を下回っていたときに何を確かめればいいのかに進みます。
平均を下回ったとき、まず確かめること——教科・範囲・提出物
平均点を下回ったときに、まず確かめてほしいことは3つあります。「原因を1つに決めつけない」ことは大切ですが、それは「確かめること自体を曖昧にしていい」という意味ではありません。次の3つは、どのご家庭でも今日から確認できます。
①教科——5教科のうち、平均との差がいちばん大きい教科はどれか
②範囲——間違えた問題は、今回新しく習った内容か、それとも前の単元の復習部分か
③提出物——テスト前に出すワークや課題を、期限内に出せていたか
この3つを確かめずに「とにかく勉強量を増やす」だけでは、同じところでつまずきを繰り返しやすくなります。
返ってきた答案の間違いを種類ごとに分ける方法は、テストが返ってきてから48時間でやること(間違いの種類の分け方)で詳しく解説しています。また、勉強のやり方そのものを見直したい場合は、勉強しても成績が上がらない中学生へ|1日2時間の努力を点数に変える3ステップを参考にしてください。
確かめることが分かったところで、次のテストまで、親としてどう声をかければいいのでしょうか。
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保護者ができること——答案が返ってきた日の聞き方
答案を渡された日、点数の数字にはすぐに触れず、まず「どの問題が難しかった?」と聞く。ひと呼吸置いてから、「その教科は、平均と比べてどうだった?」と聞く。
※そのまま写さず、ご家庭の会話のリズムに合わせて言葉を変えてください。
点数の話から入ると、お子さんは身構えてしまいます。どの問題でつまずいたかという中身の話から始めると、会話が続きやすくなります。平均との差の話をする場合は、一度に1教科までに絞ってください。何教科も並べて比べると、伝えたいことがぼやけてしまいます。
家庭で変わらないとき——塾や家庭教師を考える目安
ここまでの内容を試しても変わらないと感じたときは、外の力を借りるタイミングかもしれません。
中1で定期テストの平均を下回ったときの目安は、中1で平均を下回ったときの、塾を考える目安で扱っています。すでに塾に通っていて成績が上がらない場合は、塾に行っても成績が上がらない中学生|原因診断チェック10と見直しの期限で原因の見分け方を扱っています。
全国家庭教師協会の指導現場では、平均点との差から教科・範囲・提出物を一つずつ確かめ、つまずいている単元まで戻って指導にあたるケースが多くあります。家庭だけで確かめきれないと感じたら、一度相談してみるのも一つの方法です。
よくある質問(FAQ)
中学校の定期テストの全国平均は公表されていますか?
公表されているものは見当たりません。定期テストは学校が独自に作るため、全国で集計・公表する主体がありません。全国規模で公表されているのは全国学力・学習状況調査の平均正答率などの結果で、これは学校の定期テストとは別の調査です。
中1の最初のテストで平均を下回ったら心配すべきですか?
1学期はほぼ全員が点を取りやすい時期です。差が出るのは2学期以降が多く、自分の点だけが下がっているときが本当のサインです。1学期の結果だけで判断せず、2学期の結果で、平均との差が広がっていないかを見てください。
実力テストの平均点が低いのはなぜですか?
出題範囲が「これまで習った全範囲」になるためです。定期テストより低く出やすいのは自然なことで、点数だけで一喜一憂する必要はありません。
平均点以下だと高校受験に不利になりますか?
平均点より上か下かが、そのまま入試で使われるわけではありません。高校受験の内申点は「評定」で決まり、評定はテストの点数だけでなく提出物や授業への取り組みも含めて付けられます。詳しい仕組みは評定(内申点)の仕組みと、今からできる行動で解説しています。
偏差値と平均点はどう違いますか?
平均点は、そのテストを受けた人の点数を平均した数字です。偏差値は、自分の点数が平均点からどれだけ離れているかを、点数の散らばり具合も合わせて表した数字で、主に模試の成績表で使われます。学校の定期テストと模試とでは、受けている人の集まり(母集団)も違うため、定期テストの点数を模試の偏差値に置き換えて考えることはできません。
そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
まとめ|平均点は「学校ごとの目盛り」。差と差の変化で見る
- 全国共通の数字はありません。学校・教科・回で違うため、まずはお子さんの学校の平均点を確かめてください
- 学年・時期で動きやすい方向には傾向があります。ただし指導現場の経験則であり、実際の動き方は学校・教科・回で変わります
- 平均を下回ったときは、教科・範囲・提出物の3つを確かめてください。確かめずに勉強量だけ増やしても、同じところでつまずきを繰り返しやすくなります
平均点は、それ自体が答えを教えてくれる数字ではありません。自分の学校の平均という目盛りに合わせて、差と差の変化を見ていくための道具です。今日できることは、直近のテストの答案を出して、平均との差がいちばん大きい教科を1つ確かめることです。
平均点との差から、次にやることを一緒に確認しませんか
ここまでの内容は、ご家庭だけでも進められます。それでも「どこから手をつけるか」を一緒に整理したいときは、いつでもご相談ください。
【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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