不登校の中学生の勉強はどう進める?遅れを取り戻す4ステップと出席扱い制度・高校受験の道

不登校の中学生の勉強はどう進める?遅れを取り戻す4ステップと出席扱い制度・高校受験の道 勉強法

執筆・監修:佐伯 悠介先生(学習コーチ/指導歴8年・学習習慣づくり/不登校・先取り支援)
勉強の前に「机に向かえる仕組み」から。つまずいた子の伴走が専門。

学校に戻ることをゴールにしなくても、進路は選べます。

朝、制服に着替えられないままのお子さんを見て、「勉強、どうするの」という言葉を飲み込んだ——中学生のお母さん・お父さんへ。この記事は、その飲み込んだ言葉のあとに、何ができるかをお伝えするために書きました。

先に結論をお伝えします。不登校でも勉強の遅れは取り戻せますし、高校にも進めます。そして取り戻す量は、多くの場合「学年まるごと」ではありません。実際に埋めるべきは、限られた数の単元です。

ただし——遅れを取り戻す順番を1つ間違えると、頑張った時間がほとんど無駄になります。その分かれ目は、記事の後半でお伝えします。

この記事では、復学を目標にしません。今日からご家庭でできることだけを書きます。

中学校の不登校は、いま21万人を超えている

まず、数字を見ておきます。

文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人(前年度346,482人)。12年連続で増加し、過去最多を更新しました。このうち中学校が216,266人を占めます。

この数字をお伝えするのは、不安を煽るためではありません。「うちの子だけではない」という事実を、先にお伝えしておきたいからです。21万人という規模は、支援の制度も、進路の選択肢も、すでにそれを前提に用意されているということでもあります。

では、その中で高校に進めるのか。そのために越えるべきハードルは、実は「学力」ではありません。

「勉強の遅れ」の正体は、学年分ではなく”単元分”

「1年休んだら1年分の遅れ」——多くのご家庭がそう考えます。でも実際に指導に入って確認すると、埋めるべき量はもっと少ないことがほとんどです。

理由は2つあります。

ひとつは、中学の学習内容は積み上げ式で、後の単元が前の単元を含んでいること。たとえば数学の「二次方程式」は、その手前の「因数分解」と「平方根」が入っていれば追いつけます。全単元を順番になぞる必要はありません。

もうひとつは、入試で問われる範囲が、教科書の全ページではないこと。実際に出題されるのは、教科ごとに重点が偏っています。

そのため、多くのケースで「本当に埋めなければいけない単元」は、教科あたり数個から十数個に収まります。ここを正確に特定できるかどうかが最初の勝負であって、量そのものは思われているより小さい——これが現場の実感です。

ここまでは「量」の話です。問題は、その量を学校に行かないまま埋めたとき、内申はどう扱われるのかです。

先に受験の現実を確認する——出席日数と内申の扱い

ここは、逃げずにお伝えします。

多くの公立高校入試では、調査書(内申書)が使われます。そして調査書には評定だけでなく、出欠の記録も記載されるのが一般的です。欠席が多い場合、この点が不利に働く可能性は、正直あります。

ただし、ここで2つ、押さえておいてほしいことがあります。

ひとつめ。評定は「学校に来た日数」で決まるわけではありません。定期テストを別室で受ける、課題を提出する、といった形で学習の状況が確認できれば、評定がつくケースがあります。学校によって対応は異なりますので、まず担任に「どうすれば評定をつけてもらえるか」を確認してください。これは聞いていいことです。

ふたつめ。そもそも内申の比重が小さい入り口が、複数あります。——ただしその前に、不利な条件そのものを制度で減らす方法があります。知らないまま受験期を迎えるご家庭が、とても多い制度です。

自宅での学習が「出席扱い」になる制度がある

文部科学省は、不登校児童生徒が学校外で学習した場合に、校長の判断で指導要録上の出席として扱えるという考え方を示しています。対象になりうるのは、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクール等への通所、そしてICT等を活用した自宅学習です。

認定されやすくするための条件

一般に、次のような点が確認されます(※詳細な要件と最終的な判断は、学校・自治体により異なります)。

  • 保護者と学校の間に、十分な連携・協力関係があること
  • 学習の状況が、計画的な学習プログラムに沿って進められていること
  • 学習の記録が残り、訪問等により対面での状況把握が可能なこと
  • その学習が、校長が教育的に適切と判断できる内容であること

学校への切り出し方

「制度を使わせてください」と切り出すより、次の言い方のほうが話が進みます。

「家では〇〇(教材やオンライン指導)で、こういう内容を、週にこれくらい進めています。記録もお出しできます。指導要録上の扱いについて、ご相談できますか」

ポイントは、先に”やっている実態と記録”を示すことです。制度の適用は校長判断ですが、判断材料がないと検討自体が始まりません。

制度を使っても内申が届かない場合はどうするか。実は、内申の比重が小さい入り口があります。

内申が不利になりにくい進路ルート

一般論として、次のような選択肢があります(※制度・名称・実施状況は都道府県により大きく異なります。必ずお住まいの自治体の入試要項をご確認ください)。

  1. 自己推薦・特色選抜など——調査書の評定以外に、面接・作文・活動実績などで評価される枠。学校によっては欠席理由の記載欄で事情を説明できます
  2. 定時制高校——学力検査と面接が中心で、内申の比重が小さい傾向。近年は昼間部を持つ学校も増えています
  3. 通信制高校——出席日数の考え方が全日制とまったく異なり、自分のペースで単位を積み上げられます。大学進学に対応したコースを持つ学校も多くあります
  4. 不登校生徒を対象とした特別枠——一部の自治体・学校で、欠席日数を選考で考慮しない、あるいは別枠を設けている場合があります

お伝えしたいのは、「行ける高校がない」という状況にはならないということです。むしろ選択肢は、保護者世代の想像よりかなり広がっています。

ここまでが”地図”です。次は、お子さんの現在地によって最初の一歩が変わります。

今の状態別・勉強の進め方

ここからは、お子さんの”今の状態”だけを見てください。他のご家庭の話は、いったん忘れて構いません。

不登校の中学生の状態別・勉強の進め方。①行き渋り〜欠席が増え始めた段階は登校刺激より生活リズムと1日10分の学習接点、②完全不登校が続いている段階は本人が選べる教科から週2〜3回の型づくり、③中3で受験が迫っている段階は志望校の出題範囲から逆算して2教科に絞る、と段階別に整理した図

①行き渋り〜欠席が増え始めた

この段階でいちばん大事なのは、勉強の量ではなく「学習との接点を切らないこと」です。

  • 1日10分でいい。教科は本人が選ぶ
  • 学校の進度に追いつこうとしない(追いつけない焦りが接点そのものを切ります)
  • 起床時間だけは、できる範囲で固定する

この時期に無理に量を増やすと、勉強そのものが「嫌なもの」として記憶されます。接点さえ残っていれば、後からいくらでも増やせます。

②完全不登校が続いている

この段階では、学校の時間割から完全に離れて構いません。

  • 本人が「まだできる」と思える教科から始める(多くの場合、数学か英語より社会・理科のほうが再開しやすい)
  • 週2〜3回、同じ曜日・同じ時間に型をつくる(毎日にしない)
  • 1回30分から。終わりの時刻を先に決める

ここでの目的は学力ではなく、「やれば進む」という感覚を取り戻すことです。

③中3で受験が迫っている

この段階では、全教科をあきらめてください。……という言い方は乱暴に聞こえるかもしれませんが、正確にはこうです。志望校の入試で問われる範囲から逆算して、2教科に絞る。

  • まず志望校の出題範囲と配点を確認する(過去問を1年分見るだけで分かります)
  • 点が動きやすい教科(多くは理科・社会)から手をつける
  • 同時に、内申の扱いと出願方式を担任に確認する(前章の進路ルートの検討はここで)

3つのどのタイプでも、勉強を再開する手順そのものは共通です。冒頭でお伝えした”順番”が、ここです。

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遅れを取り戻す4ステップ——最初にやるのは「問題を解くこと」ではありません

不登校中学生が勉強の遅れを取り戻す4ステップ。ステップ1=今の学年から始めず、つまずき地点まで戻って特定する。ステップ2=1日の型をつくる。ステップ3=戻った地点から積み上げる。ステップ4=入試の出題範囲に接続する。順番を守ることが最重要と示した図

ステップ1:今の学年から始めない——つまずき地点を特定する

これが、冒頭でお伝えした「間違えると時間が無駄になる順番」の正体です。

多くのご家庭が、再開するときに「いま学校が進んでいるところ」から始めます。これがほぼ確実に失敗します。土台が抜けている状態で今の単元をやっても、解けない → 自信を失う → また止まる、という流れになるからです。

正しい順番は、戻れるところまで戻ってから始めること。数学なら小学校の分数まで戻ることもあります。それは後退ではなく、最短ルートです。

なお、どこまで戻ればいいかの判断は、本人にはできません。ここだけは、誰か第三者の目を入れることを強くおすすめします。

ステップ2:1日の型をつくる(量ではなく時刻)

「1日2時間」ではなく、「14時から30分」と決めます。量で決めると体調に左右されて続きませんが、時刻で決めると再開しやすくなります。

ステップ3:戻った地点から積み上げる

ここで初めて演習量の話になります。1単元ずつ、「解ける」を確認しながら上がる。飛ばさないことが、結果的にいちばん速い進み方です。

ステップ4:入試の出題範囲に接続する

中3であれば、ある時点で過去問に接続します。全範囲が終わっていなくて構いません。出る範囲から埋めるほうが、効率が高いからです。

一方、この手順を家庭で進めるとき、多くの保護者が良かれと思って踏んでしまうブレーキがあります。

良かれと思って、逆効果になりやすい3つ

  1. 「今日は何時間やったの?」と量を聞く——量を聞かれると、量が目的になります。聞くなら「今日はどこまで進んだ?」と進んだ地点
  2. 学校の話を勉強の話に混ぜる——「勉強するなら学校も行けるよね」は、勉強を復学の条件にしてしまう言い方です。勉強と登校は切り離してください
  3. 調子がいい日に一気に増やす——動けた日にまとめてやらせると、翌日以降の反動が大きくなります。調子がいい日ほど、いつも通りで終える

3つに共通するのは、「せっかく動き出したのだから」という親心です。だからこそ、意識しないと止められません。

実際に、数学から再開した中2のお子さんの話

2学期から欠席が続いていたお子さんのケースです。ご家庭は「まず学校の進度に追いつかせたい」と考えていましたが、確認すると中1の正負の数と文字式で止まっていました。

そこで、学校の進度は完全に無視して、中1の最初まで戻ることにしました。週2回・1回30分、曜日と時刻を固定して。最初の1か月は正負の数だけです。

3か月後、本人から「理科もやりたい」と言い出しました。学力が戻ったからではなく、「やれば進む」という感覚が戻ったからだと思っています。その後、進路については定時制と通信制も含めて一緒に検討しました。

※上記は指導現場でよくあるケースをもとにした事例です。状況の現れ方には個人差があり、同じ経過を保証するものではありません。

なお、当協会でも不登校のお子さんへの学習サポートについてご案内しています。自宅で、カメラをオフにしたままの受講もできます。

よくある質問(FAQ)

不登校の中学生は、勉強の遅れをどれくらい取り戻す必要がありますか?

「学年まるごと」ではありません。中学の学習は積み上げ式で後の単元が前の単元を含むうえ、入試で問われる範囲も教科書全ページではないため、実際に埋めるべき単元は教科あたり数個から十数個に収まることが多くあります。重要なのは量より、どの単元で止まっているかを正確に特定することです。

不登校でも高校受験はできますか?

できます。多くの公立高校入試では調査書に出欠の記録が記載されるため、欠席が多いと不利に働く可能性はあります。一方で、自己推薦・特色選抜、定時制、通信制、自治体によっては不登校生徒を対象とした特別枠など、内申の比重が小さい入り口が複数あります。※制度は都道府県により大きく異なるため、必ずお住まいの自治体の入試要項をご確認ください。

自宅での勉強が「出席扱い」になると聞きましたが本当ですか?

文部科学省は、不登校の児童生徒が学校外で学習した場合に、校長の判断で指導要録上の出席として扱える考え方を示しています。ICT等を活用した自宅学習も対象になりえます。ただし認定は校長判断で、学習計画・記録・学校との連携・対面での状況把握などが確認されるのが一般的です。要件と運用は学校・自治体により異なります。

勉強を再開するとき、どこから始めればいいですか?

「いま学校が進んでいるところ」から始めないでください。土台が抜けたまま今の単元をやっても解けず、自信を失ってまた止まります。戻れるところまで戻ってから始めるのが最短ルートです。ただし、どこまで戻ればよいかの判断は本人にはできないため、第三者の目を入れることをおすすめします。

そのほかの疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。

まとめ|学校に戻らなくても、進路は選べる

  • 不登校は21万人超(中学校)——制度も進路も、それを前提に用意されている
  • 遅れの正体は学年分ではなく単元分——埋めるべきは教科あたり数個〜十数個
  • 受験の現実からは逃げない——調査書に出欠は記載される。ただし評定の付け方は担任に相談できる
  • 出席扱い制度がある——認定は校長判断。先に”実態と記録”を示すと話が進む
  • 内申の比重が小さい入り口が複数ある——自己推薦・定時制・通信制・特別枠
  • 順番を間違えない——今の学年からではなく、戻れるところまで戻ってから始める
  • やめたい3つ——量を聞く/学校の話を混ぜる/調子がいい日に増やす

今日すぐ何かを決める必要はありません。ただ、「うちの子の場合、どこから戻せばいいのか」だけは、早く分かったほうが気持ちが軽くなります。

まずは、ご家庭の状況だけ聞かせてください

全国家庭教師協会では、「どの単元まで戻ればいいか」を一緒に見つけるところから始めます。入会を前提にしたご相談である必要はありません。

すぐに相談したい方へ

【全国家庭教師協会の実績】 入会後の成績アップ率 96.1%/お客様満足度 97.3%/志望校合格率 97.6%(2025年度・自社調べ・全体指標)。※学習効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。

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